みなさんは“コミュニティナース”という言葉を聞いたことがありますか?いま、看護師の新しい働き方として大きな注目を集めています。
今回は、コミュニティナースカンパニー代表の矢田明子さんに、お話をお聞きしました。
自身もコミュニティナースとして活躍し、現在は育成も行っている矢田さんが語る、コミュニティナースとは?そして、日本の看護の未来とは?
※コミュニティナースとは?
元々は海外で広まった、社会的アプローチとしての看護のかたち。
日本では矢田さんが一からコミュニティナースのメソッドを作り、これまでに約70名のコミュニティナースを育成。巣立ったコミュニティナースたちが各地域で活躍している。
>>Community Nurse Company 株式会社
!大決定!
5月27日(日)・29日(月)に開催される「NURSE FES TOKYO 2018」に、矢田明子さんの登壇が決定しました!
詳細は近日公開。お楽しみに☆
「NURSE FES TOKYO 2018」公式サイトでは、ただいま事前参加登録を受付中です。
コミュニティナースは”究極のおせっかい”!?
Q.コミュニティナースの具体的な活動や役割について教えてください。
結論から言うと、コミュニティナースに決まった形は無いんです。
100人のコミュニティナースがいると、100通りの活動や役割があります。ただ、達成しようとしている目標は共通していて、“より健康で、より喜んで暮らしている人を増やす”ということ。
その目標に対して、コミュニティナースとして地域に入り込み、人と人を繋いだり、住民と病院を繋いだり、健康相談を受けたり。
すでに地域で行われている活動(サークル活動や住民運動のような)に”ケア”を取り入れたりといったように、コミュニティナースの活動や役割も、地域や住民のみなさんからの要望によって変わるんです。
Q.今活躍されているコミュニティナースはどんな活動をしているんですか?
地域の人が多く集まる”場”、たとえばガソリンスタンドとか、産直市とか、郵便局などに定期的に常駐して健康相談にのっていたり、移動スーパーや宅配便のトラックに同乗して集落を回ったり、個別に家庭を訪問したりするケースがありますね。
地域の人に接触できる”場”や”機会”を見つけて、住民のみなさんとの関係性を構築することで、コミュニティナースとしての活動が始まります。
移動販売に同乗し、健康観察を行うコミュニティナース
Q.どうやって地域に入り込んでいくんですか?
まずは、住民の方との関係構築が活動のスタートです。
基本的なことですが、挨拶をして存在を認識してもらい、その地域の人たちが何に困っているのか、何が必要なのかをコミュニケーションを通じて明確にしていきます。
ここでは看護の世界で使っていた”傾聴”ではなく、“アクティブリスニング”といったスキルを使って、どんどん住民の方々のニーズや思いを引き出していくんです。
Q.”アクティブリスニング”?
要はおせっかいですよ(笑)
コミュニケーションの中で、積極的に話を振ったり、質問を投げかけたりして、相手の潜在的な思いやニーズを引き出します。
そういったコミュニケーションを繰り返すことで、地域の状態が見えてくるんです。
例えば、誰がどんな健康状態か、健康の情報が欠落している人は居ないか、などがわかります。それに対して効果的なアプローチは何かを、地域ごとに見極めるのです。
そのアプローチ方法の1つが、ガソリンスタンドに常駐することだったりするんですよね。
ガソリンスタンドで気軽に健康相談に対応するコミュニティナース
コミュニティナースの役割や働き方は決まってない!?
Q.地域で実際にどんな活動をしてるんですか?
コミュニケーションの中で、病気を早期発見することがあります。
何か兆候がある方は、コミュニケーションや状態から判断ができます。そういう方には、病院への受診を薦めますし、場合によっては一緒に受診しにいくこともありますよ。
ガソリンスタンドに常駐しているケースでは、その地域の住民の95%がそのガソリンスタンドを利用するんです。ガソリンスタンドで健康相談にのることで、地域全体の様子がわかります。
今では、ガソリンスタンドの方が”コミュニティナースいます”という看板を作ってくれて、完全に地域の一員として認識していただいてますね。
このようにコミュニティナースの活動が住民の方にも知られてくると、住民の方の健康への意識が少しずつ変わってくるんですよね。もっと健康について知りたいという気持ちが生まれてくるんです。健康への関心が高まると、今度は教室などを開いて情報をシェアしたり。
こういった一連の活動を通して、地域全体で”より健康で、より喜んで生活している人”を増やすことができるんです。
空き店舗をリノベーションした交流スペースでイベントを開催し住民と関係づくりをするコミュニティナース
Q.病院や自治体と住民のハブ役なんですね。
現状は、自治体の保健師さんたちが住民の健康に寄与する活動を行っています。
ですが、それだけだと病院・自治体の目が行き届かない方がまだまだいて、そういう方たちをコミュニティナースが見つけてコミュニケーションをとる事で、健康への意識を高め、予防したり適切な対処をしたりすることが可能です。病院にも繋ぎますし、自治体との連携も図ります。
コミュニティナースに形がないというのはそういうことで、その地域に必要な役割を自由に選択し、柔軟に対応することで、新しい看護を提供できるのではないかと考えています。