~NURSE FES TOKYO運営委員の落合がゆく~ 一般社団法人グッドネイバーズカンパニー代表、清水愛子さんインタビュー

2018/5/22

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医師として勤務をしながら、「くちビルディング選手権」や「ケアクリ会議」など、高齢化地域の課題を創造的に解決するプロジェクトを進めている一般社団法人グッドネイバーズカンパニーの代表理事 清水愛子さん。NURSE FES TOKYO2018にもご登壇頂く清水さんに、これまでのご経歴と、地域や社会に医療を広げる活動のキッカケや想いを訊きました。

 

一般大学出身、一般企業勤務…その後、医学部に編入し、医療の道へ

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笑顔が素敵な清水さん

父は医師、母は看護師という医療が身近な家庭に生まれた清水さんですが、人の命を扱う責任ある仕事には自分は向かないと考え、一般の大学へと進学されたそうです。大学卒業後は一般企業に就職し、イノベーション創出に関わるエスノグラフィックリサーチの専門家として、数多くの国や地域でフィールドワークを重ね、生活者の暮らしの中から見つけだした新しい気づきをもとに、企業の新商品開発や企画提案などをするコンサルティング業務に従事していました。

考え方が変わったのは東日本大震災後のこと。もともと海外での仕事が多かったのが、震災をきっかけに高齢化が進む日本の地方のリサーチ依頼が増加したのです。「地方に足をはこぶと、高齢者の暮らしを通して高齢化社会の実態が見えてきました。」「また、少子高齢化の進んだ地方で仕事をしていくうちに、私がフィールドワークから導く洞察の数々は、保健師や在宅医療に関わっている医療職が見ている世界に近いと思うようになりました。気づけば、高齢化地域や地域保健活動への関心が高まり、両親の仕事に興味を持つようになったんです。」

清水さんは、企業で培ったスキルを地域医療の現場で発揮することで、もっとユニークな活動が出来るのではないかと考え、医学部へ学士編入をしました。そして在学中に、一般社団法人グッドネイバーズカンパニーを設立します。

 

ケアを、より能動的に、より参加型に。グッドネイバーズカンパニーの活動

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くちビルディング選手権公式サイト

清水さんが設立したグッドネイバーズカンパニー。その代表的な活動に、「くちビルディング選手権」があります。摂食嚥下に関わる「食べる筋肉」に着目し、様々な職種のクリエイターとのコラボレーションの中から、口腔機能トレーニングの要素をスポーツ競技へと発展させたプログラムです。2017年にはグッドデザイン賞を受賞しています。

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くちビルディング選手権
従来の口腔機能訓練を「スポーツ競技」に変換したスポーツプログラム。子どもからお年寄りまでの多世代が、混ざり合ってチームで戦う、新感覚スポーツです。医療分野の専門家はもちろんのこと、ゲームやデザインなどの専門家の知見を盛り込んで「思わずやりたくなる」プレイフルな仕掛けが満載のプログラムです。

最近では、くちビルディング選手権の開催に留まらず、摂食嚥下の機能評価ができるアプリ開発や、企業を対象に「くちビルディング選手権の新しい競技種目を考えるワークショップ」を実施するなど、活動の幅は拡大しています。「企業内ワークショップの目的は、新しい競技を考えることだけではありません。実は、企業の方々の、地域の高齢者に対する関心を高めることも、狙いの一つなんです。」

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くちビルディング選手権開催時の一コマ

くちビルディング選手権は、確かに口腔機能訓練のキッカケではあるのですが、こうした一連の活動の意図は、摂食嚥下機能を啓発しトレーニングに誘導することだけではないと、清水さんは語ります。「誰もが気軽に参加できる新しい形の予防医療・保健活動として、医療が持つ『する側/される側』という一方的な関係性や、地域の中にある世代間のギャップ、無関心を越えていきたいと考えています。」「地域の中で、もっとケアを能動的で参加型のものにしていきたいんです。」

 

2つの顔があるからできること

なぜ、清水さんは医師とグッドネイバーズカンパニーの二足の草鞋を履くのでしょうか。清水さんの前職では、クリエイターと共にプロジェクトに関わることが多かったことから、人がワクワク参加したくなるコミュニケーションにはどんなものがあるのか、もっと沢山の人に、コトが広まっていくにはどんな関わり方がいいのかを常に考え、提案する機会が多くあったそうです。「人が、能動的に関わりたいと思うような仕掛けやコミュニケーションデザインの背景には、クリエイターたち知恵を絞って考え抜いた仕掛けが潜んでいるものなんです。」

一方で、医療の分野ではそうした「考え抜かれた仕掛け」がまだ少なく、医療とクリエイターの交わりもまだまだ少ないという事に気づきます。ある種のムーブメントを作っていくためには、医療とクリエイターを繋ぐ人や風穴を開ける人が必要だと考える清水さん。今は「医師」と「グッドネイバーズカンパニー」の二足の草鞋を履き、これまであまり交わることのなかった双方をつなぐコネクターの役割も担っています。

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クリエイターも交えて開発した「くちビルディング選手権」は毎回大盛況。「くちビルディング選手権は、誰が参加してもワクワク感が醸成され盛り上がるという意味で、エンドユーザーの心に響くというクオリティが担保されています。また、運営メンバーや顧客である医療職や行政の方にも非常に好評で、継続開催が決まっている地域が沢山あります。これからの課題は、こうしたアイデアやデザインが盛り込まれた活動を、きちんと持続可能な形で継続していくことです。医療の文脈の中で、こうした活動が重要である指標や成果を提示し理解してもらうことが大切だと考えています。」…課題にぶつかりながらも、清水さんの活動は、少しずつ地域の高齢者そして医療者に、確実に浸透していっています。

おわりに

清水さんは、今後の展望について「医療現場の中で、"現状を面白く問い直す"、"面白い問いを立てる"ということを、引き続き仲間と取り組みたい」と話してくださいました。ナースフェス東京2018では、清水愛子さんとコミュニティナースの矢田明子さんに「創ろう!新しいヘルスケアの取り組み~受け入れ型から参加型へ~」と題した基調講演を実施します。近年、病院や介護施設などのような「受け入れ型サービス」ではなく、グッドネイバーズカンパニーの取り組みのような「参加型のサービス」が広がってきています。なぜ参加型のサービスが必要とされているのでしょう?このような社会の変化に対し、私たち看護師の働き方は変わるのでしょうか?是非ナースフェスの参加者みんなで、一緒に考えてみたいと思います。

落合実

インタビュアー&ライティング
落合 実
NURSE FES TOKYO2018(ナースフェス東京2018)実行委員
(緩和ケア認定看護師/WyL株式会社取締役)

 

●ナースフェス東京2018●

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ナースフェス東京2018
2018.5.27 Sun~28 Mon
@ベルサール渋谷ガーデン

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