ナーススクエア
ナースフェス東京

「あの日の約束」私を変えてくれたあなたに、ありがとう。【ありがとうエピソードコンテスト】

2018年6月11日

全国から「『ナースで、よかった。』ありがとうエピソード」を募集。特別審査員による審査を行い、3部門の大賞が決定しました。
2018年5月27日、28日に開催された「NURSE FES TOKYO 2018」内で発表した3つの大賞のエピソードをご紹介します。
現役看護師インスタグラマー・Risaさんのイラストとともに、お楽しみください。

「ナースから患者さんへ、ありがとう」部門 大賞受賞エピソード

「あの日の約束」私を変えてくれたあなたに、ありがとう。
沖縄県 Sさん


学生の頃から急性期志望だった私。
でも、新卒で配属されたのは精神科高齢者病棟だった。

希望外の配属にやる気を出せず、淡々と業務をこなす毎日。

そんな時に担当したのが、元軍人で敗戦のショックから発症、入院期間30年以上のAさん。
症状が軽いので、閉鎖病棟にいながら外出は自由な患者さんだった。

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そのAさんが、ある日。

「待ち合わせしてるから○○駅に行ってくる」

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「え?待ち合わせ?!そんなワケないじゃん!」

先輩に相談したら、こう言われた。
「どうせ妄想でしょ?」

この一件がきっかけで、Aさんは「離院リスク」から外出禁止に。
その後、Aさんの体力は日に日に落ち、半年後に肺炎で亡くなった。

Aさんの死後、Aさんの唯一のご家族である、お姉様が来院。
彼女の振る舞いや身なりから家柄の良さを感じた。

「Aさんもいつも身なりはきれいにしている人だったな」とぼんやり思う私。
一通りのお話を終えたお姉様は、こう続けた。

“昔、弟が病院を抜け出したときは、本当に申し訳ありませんでした。
実は、弟は結婚を約束した女性がいました。
ふたりは大恋愛で、よく○○駅で会っていました。
病気になったことで破談になりましたが、一目会いたかったんでしょうね。
もう昔のことなのに“

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「妄想には必ず意味がある」
昔、教えられたことがあった。
でも、やる気のない私は聞き流していた。
「妄想は病気でしょ」と。

Aさんの大切な想いを「ただの妄想」にしてしまった。

その後、私は希望していた急性期病棟へと異動。
そこでは、患者さんの話を聴くことに徹した。
やはり妄想には本人の隠れた思いがあった。
うつ病も依存症も拒食症も、傾聴してみると、本人自身も気づいていない寂しさや思いがあった。
そこに気づいてあげるだけで良くなる人もいた。

それが精神科看護の本質だった。

ありがとう。
Aさん、あなたが私の仕事に対する姿勢を変えてくれました。
待ち合わせは叶いましたか?

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risa_inst_icon Risa(りさ)stage_エピソードコンテスト_Instagramlog
看護や日常で感じたことをイラストにした投稿が人気の現役ナースのインスタグラマー。フォロワーは36,000人以上!
2018年5月26日、「現役看護師イラストエッセイ 病院というヘンテコな場所が教えてくれたコト。」を出版。

〈Risaさんからのコメント〉
このような大役をいただき大変嬉しく思っております。 新人・上司・あるいは患者などあらゆる立場の方の大切な忘れられないできごとを目に見える形で残し、私たちみんなで共有することで明日を頑張る力になれば…と心を込めて描きました。

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