過去11年分の看護師国家試験の問題から、検査値の理解が問われる問題をまとめて出題します。
実力チェックにぜひ挑戦してみてください。
※ナース専科の国試対策アプリで過去に出題した一斉模試の問題を公開しています。
検査値問題 20問
Aさん(61歳、男性)は、水分が飲み込めないため入院した。高度の狭窄を伴う進行食道癌(advanced esophageal cancer)と診断され、中心静脈栄養が開始された。入院後1週、Aさんは口渇と全身倦怠感を訴えた。意識は清明であり、バイタルサインは脈拍108/分、血圧98/70 mmHgであった。尿量は1,600 mL/日で、血液検査データは、アルブミン3.5g/dL、AST〈GOT〉451U/L、ALT〈GPT〉401U/L、クレアチニン1.1mg/dL、血糖190 mg/dL、Hb 11.0g/dLであった。
Aさんの口渇と全身倦怠感の要因として最も考えられるのはどれか。
1.貧血
2.低栄養
3.高血糖
4.腎機能障害
5.肝機能障害
1.(×)Hbは低値であるが貧血では口渇は出現しない。
2.(×)アルブミンは低値であるが低栄養では口渇は出現しない。
3.(○)中心静脈栄養による高血糖(血糖190 mg/dL)によって口渇と全身倦怠感が出現していると考えられる。
4.(×)腎機能障害では口渇は出現しない。
5.(×)AST〈GOT〉、ALT〈GPT〉は高値であるが肝機能障害では口渇は出現しない。
Aさん(57歳男性)は肺癌で放射線治療後、放射線肺炎を発症し、1か月半前から副腎皮質ステロイドにより治療中である。2日前から38.0℃の発熱と頭痛が出現し、検査の結果、前頭葉に膿瘍が認められた。現在のAさんの血液検査データは、白血球12,000/ul,空腹時血糖101mg/dl、HbA1C5.9%、CRP4.6mg/dlである。膿瘍の発症に関与した副腎皮質ステロイドの副作用はどれか。
1.糖尿病
2.易感染
3.高血圧症
4.創傷治癒遷延
1.(×)副腎皮質ステロイドは糖尿病を発症させることがあるが、患者の場合、血糖値、HbA1cともに異常はない。
2.(○)副腎皮質ステロイドによる免疫低下が関与したと考えられる。
3.(×)副腎皮質ステロイドに血圧上昇の副作用はあるが、膿瘍発症の原因とはならない。
4.(×)膿瘍は創傷に生じたものではない。
35歳の男性。震度6強の地震発生36時間後、がれきの下から救出され、病院に搬入された。長時間大腿部が圧迫されていたため、下肢に知覚・運動障害を認めたが、意識は清明で呼吸と循環動態とは安定していた。入院後、両下肢が著しく腫脹し、赤褐色尿を認め、全身状態が急速に悪化した。血液検査で血清クレアチニンキナーゼ値(CK)と血清カリウム値が急激に上昇した。最も考えられるのはどれか。
1.PTSD
2.深部静脈血栓症
3.ネフローゼ症候群
4.挫滅症候群(クラッシュシンドローム)
長時間大腿部が圧迫された後に全身状態が悪化し、血清CKとカリウム値が上昇したことから、挫滅症候群(筋肉の組織が大量に破壊され、CK・K値が上昇し心室細動や腎不全を発症して死に至る)である可能性が高い。
ペースメーカー装着患者における右心室ペーシング波形の心電図を別に示す。心電図の記録速度は通常の25 mm/秒であり、矢印で示した小さなノッチがペースメーカーからの電気刺激が入るタイミングを示している。心電図波形によって計測した心拍数で正しいのはどれか。
1.30/分以上、 50/分未満
2.50/分以上、 70/分未満
3.70/分以上、 90/分未満
4.90/分以上、99/分以下
心電図上では、ペースメーカーからの電気刺激(矢印)からQRS波がでている。R-R間隔は約18mmから20mmとなっており、心電図上の心拍数は、75-84回/分と考えられる。
1.(×)心電図上より回数が少ない。
2.(×)心電図上より回数が少ない。
3.(○)心電図上で計算するとこの範囲と考えられる。
4.(×)心電図上より回数が多い。
50歳の男性。事務職。飲酒は缶ビールを350ml/日。特定健康審査でLDLコレステロール156mg/dl、HDLコレステロール35mg/dl、中性脂肪200mg/dl。他の検査項目に異常はない。 食事指導で適切なのはどれか。
1.飲酒の禁止
2.食物繊維摂取の推奨
3.動物性脂肪摂取の推奨
4.植物性蛋白質摂取の制限
1.(×)アルコールは、適量摂取ではHDLコレステロールを増加させるため、飲酒を禁止しなくてもよい。缶ビールを350ml/日は適量飲酒である。
2.(○)食物繊維は食品中に含まれるコレステロールの吸収を抑え、植物性食品がLDLコレステロールを下げるため、摂取の推奨は指導として適切である。
3.(×)動物性脂肪に含まれる飽和脂肪酸はLDLコレステロールを増やすので摂取の推奨は不適切である。
4.(×)植物性蛋白質の大豆油、ゴマ油などはLDLコレステロールを下げ、オリーブ油、ナタネ油はHDLコレステロールの低下を防ぐので、制限することは不適切である。
Aさん(60歳、男性)は、胃癌の手術目的で入院した。大動脈弁置換術を受けた既往があり、内服していたワルファリンをヘパリンに変更することになった。確認すべきAさんの検査データはどれか。
1.PT-INR
2.赤血球数
3.白血球数
4.出血時間
5.ヘモグロビン値
ヘパリンを使用することによって、血液凝固に時間がかかるようになる。PT-INR(プロトロンビン時間)は、出血が始まってから肝臓で プロトロンビン(血液凝固因子)がつくられるまでの時間のことである。
貧血がなく、体温36.5℃、血液pH7.4の場合、動脈血酸素飽和度(SaO2)90%のときの動脈血酸素分圧(paO2)はどれか。
1.50Torr
2.60Torr
3.70Torr
4.80Torr
2.(○)動脈血酸素分圧(動脈血中の酸素の量)が60Torrのとき、動脈血酸素飽和度(ヘモグロビンに占める酸化ヘモグロビンの割合)が約90%となる。
血液中の総ヘモグロビンに対する酸素化ヘモグロビンの割合を表すのはどれか。
1.酸素飽和度
2.動脈血酸素分圧
3.ヘマトクリット値
4.ヘモグロビン濃度
1.(○)酸素飽和度(SpO2)とは、ヘモグロビンに酸素が結合している割合を示している。
2.(×)動脈血酸素分圧(PaO2)は動脈血中に溶解している酸素の量を示したものである。
3.(×)ヘマトクリット値(Ht)は全血液に占める細胞成分(ほとんどが赤血球)の割合を示したものである。
4.(×)ヘモグロビンは鉄を核とする蛋白質で、赤血球内に存在し、酸素を運搬にあずかっている。
34歳の男性。運送会社で配達を担当している。6ヶ月前の職場の健康診断で、血圧142/90mmHg、尿蛋白(2+)、尿潜血(2+)を指摘されたが放置していた。1週前、風邪症状の後に紅茶色の尿がみられたため内科を受診した。血清IgAが高値のため精査が必要となり入院した。
仕事が忙しくなり、退院後は一度も受診せずに2年が経過した。2ヶ月前から疲れやすくなったが、仕事のせいだと思い放置していた。1週間前から息切れ、食欲不振、および浮腫が出現し、昨日から眠気と嘔気および嘔吐とがあり外来を受診した。体温36.5℃。脈拍数98/分。血圧238/112mmHg。血液検査で尿素窒素100mg/dl、クレアチニン12.0mg/dl、Hb7.1g/dl。胸部エックス線写真で心拡大と肺うっ血とが認められ入院した。
直ちに行われるのはどれか。
1.輸血
2.血液透析
3.利尿薬の内服
4.胸腔ドレナージ
1.(×)貧血の原因は、腎臓から分泌される造血ホルモン(エリスロポエチン)の不足と考えられる。輸血ではなくエリスロポエチンの投与によって対応する。
2.(○)血液透析の適応は、クレアチニン8mg/dl、尿素窒素100mg/dl以上である。患者はこの基準を満たしているほか、心拡大と肺うっ血がみられ、体内に水分がたまりすぎている。ただちに血液透析を行う必要がある。
3.(×)利尿薬の投与だけでは体外に水分や老廃物を排泄させることはできない。
4.(×)胸腔ドレーンは胸腔に貯留した液体や気体を排除するものである。肺うっ血は胸腔内に液体がたまったわけではないので、胸腔ドレーンの適応にはならない。
Aさん(65歳、男性)は、右下葉の肺癌(T3N2M0)と診断され、抗癌化学療法(シスプラチン+エトポシド)1クール4日間を4クール行うことになった。入院時のAさんは、体温36.2℃、呼吸数18/分、脈拍72/分、血圧124/74mmHgであった。経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉は98%で、咳嗽が時々みられるが、痰の喀出はなく、胸部の聴診にて副雑音はない。Aさんの血液検査の結果は、白血球5,600/μlアルブミン3.7g/dl、CRP0.3mg/dlであった。Aさんは20歳のころから毎日20本の煙草(たばこ)を吸っていたが、60歳のときに禁煙した。
Aさんの入院時の状態で正しいのはどれか。
1.喫煙指数(ブリンクマン指数)は60である。
2.肺炎の徴候がみられる。
3.低栄養の可能性がある。
4.リンパ節転移がある。
1.(×)喫煙指数は800(毎日20本×40年)である。
2.(×)白血球数やCRPなど感染を示す検査データは正常であり、体温や呼吸状態、胸部の聴診にも異常はみられない。肺炎の徴候はないと判断する。
3.(×)アルブミンは3.7g/dlで、低栄養(3.0g/dl以下)ではない。
4.(○)TNM分類で、リンパ節転移を示す[N]が[2]なので、リンパ節転移があると判断する。
低値によって脂質異常症と診断される検査項目はどれか。
1.トリグリセリド
2.総コレステロール
3.低比重リポ蛋白コレステロール(LDL-C)
4.高比重リポ蛋白コレステロール(HDL-C)
1.(×)150mg/dl以上で異常である。
2.(×)総コレステロールの値は診断に含まれない。
3.(×)140mg/dl以上で異常である。
4.(○)40mg/dl以下で異常である。
糖尿病の血糖コントロールの指標となる検査値はどれか。
1.総ビリルビン
2.総コレステロール
3.グリコヘモグロビン
4.クレアチニンクリアランス
1.(×)総ビリルビンは、ビリルビン代謝の異常の指標となる。
2.(×)総コレステロールは、脂質異常症の指標となる。
3.(○)グリコヘモグロビンは、長期的な血糖コントロールの指標となる。
4.(×)クレアチニンクリアランスは、腎臓の糸球体の機能の指標となる。
術前の検査値で創傷治癒の遅延因子となるのはどれか。
1.血清アルブミン低値
2.血清総ビリルビン低値
3.糸球体濾過値〈GFR〉高値
4.動脈血酸素分圧〈Pa02〉高値
1.(○)創傷の癒合を遅延させたり、感染の原因になったりする。
2.(×)創傷治癒とは関係がない。
3.(×)創傷治癒とは関係がない。
4.(×)細胞の代謝が活発になり、創傷治癒を促進させる。
Aさん(16歳、女子)は、両親と弟と4人で暮らしている。中学生の頃からモデルにあこがれてダイエットを始めた。高校に入ってからは、太ることへの恐怖から食べた後に吐いたり、緩下薬を服用することも多くなった。次第にやせが顕著になり、無月経となった。Aさんの状態を心配した母親に伴われ、心療内科を受診し、医師から入院治療を勧められ、Aさんは入院した。入院時、Aさんの身長は162cm、体重は36kg、体温35.0℃。血圧90/60mmHg。脈拍56/分、不整。血液検査で最も注意すべきデータはどれか。
1.尿酸
2.血清カリウム
3.中性脂肪
4.HbA1c
1.(×)尿酸値は低下するが、最も注意すべきデータではない。
2.(○)緩下剤の乱用や食物摂取の不足から低カリウム血症に陥りやすい。すでに不整脈もあるため、突然死する危険がある。
3.(×)中性脂肪は低下するが、最も注意すべきデータではない。
4.(×)痩せであるため、HbA1Cよりも血糖値が重要である。低血糖による症状に注意する。
白血球減少症で正しいのはどれか。2つ選べ。
1.好塩基球数は増加する。
2.EBウイルス感染によって起こる。
3.白血球数が3,000/μL以下をいう。
4.好中球減少症では細菌に感染しやすくなる。
5.無顆粒球症は単球がなくなった病態をいう。
1(×)好塩基球数も減少する。
2(×)薬剤の副作用や造血器障害などで発症する。
3(○)白血球が3000/μL以下をいう。
4(○)好中球減少症では、細菌に感染しやすくなる。
5(×)顆粒球には好中球、好酸球、好塩基球がある。単球は顆粒球ではない。
脂肪分解の過剰で血中に増加するのはどれか。
1.尿素窒素
2.ケトン体
3.アルブミン
4.アンモニア
1.(×)尿素窒素は血液中の尿素に含まれる窒素成分で、蛋白質が利用された後にできる。
2.(○)ケトン体は脂肪の分解により肝臓でできる。
3.(×)アルブミンはタンパク成分で、肝臓でつくられ分解される。
4.(×)アンモニアは蛋白質や尿素が分解され、腸で生成され肝臓などで処理される。
血中濃度が上昇すると黄疸となるのはどれか。
1.グルコース
2.ビリルビン
3.クレアチニン
4.総コレステロール
1.(×)グルコース濃度が上昇すると血糖値が上がる。
2.(○)ビリルビン濃度の上昇によって黄疸が出現する。
3.(×)クレアチニン濃度の上昇は腎機能障害を示す。
4.(×)総コレステロールの濃度上昇は、脂質異常症の所見である。
無尿の定義となる1日の尿量はどれか。
1.0mL
2.100mL未満
3.400mL未満
4.700mL未満
1日の尿量が100ml以下の状態を無尿という。
成人の正常尿で正しいのはどれか。
1.尿比重が1.025である。
2.排尿直後は無色である。
3.1日尿量は400 mlである。
4.排尿直後にアンモニア臭がある。
1.(○)尿比重は、1.010~1.030である。
2.(×)排尿直後は、淡黄色~無色で無色とは限らない。
3.(×)1日尿量は、1000~1500mlで、一度に膀胱内にためることができる量が300~500mlである。
4.(×)尿成分である尿素が空気中の細菌によりアンモニアに分解されることで発生する。そのため、排尿直後の尿はあまり強くないのが正常である。
正常な胃液のPHはどれか。
1.PH1~2
2.PH4~5
3.PH7~8
4.PH10~11
1.(○)胃液は塩酸を含み、PH1~2の強酸性である。
2.(×)
3.(×)
4.(×)
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