エッセイ

新人看護師が知っておきたいお金の基本とは

2020/5/11

学校ではお金について学ぶ機会が少ないですよね。しかし、お金について学ぶことは、看護師の仕事が社会でどのような役割を果たしているのか知るきっかけとなります。また、お金を理解すると今後のキャリアアップやライフイベントを考える手助けにもなります。今回は新人看護師向けに知っておきたいお金の基本を説明していきます。

 

お金と社会の関係

お金はよく「社会の血液」と例えられます。私たちが衣食住の生活必需品を手に入れるときはもちろん、ケガや病気で病院にかかった際にも医療費としてお金がかかります。お金は、資本主義社会を維持していくのに欠かせない存在であり、人間がこの社会において「自分らしい」生活をしていくための道具なのです。

お金は社会において以下の3つの役割を果たします。

■価値の尺度
お金はあらゆるモノの価値を示す尺度(ものさし)です。 医療においては処置や薬、入院など、それぞれのサービスに見合った価値が設定されています。

■支払い手段
お金はサービスや商品を受け取る際の支払い手段です。 昔は物々交換が行われていましたがお互いの需要がマッチしないと交換が成立せずとても不便でした。 お金の発明によって、いつでも好きなサービスや商品との交換が可能になりました。

■価値の保存
お金は価値を保存する役割があります。 お金はモノと違って腐ったり劣化したりすることがありません。 万が一病気になった際のために貯蓄しておくことも価値の保存です。

 

お金を稼ぐとは?

多くの看護師は勤め先の医療機関からお給料をもらい生活をしています。お給料の出どころは診療報酬、つまり医療行為が点数化され、その点数に応じた医療費の一部を患者さんが払い、それ以外の部分は税金や社会保険料で補われ、医療機関の収入となります。それが看護師に支給される仕組みです。

新人看護師に意識してもらいたいのが「どれくらいの期間働けてお金を稼げるか」です。 できるだけ長い期間働けば生涯賃金を大きくすることができます。

お金を稼ぐこととセットで覚えておきたいのが税金。 医療機関に勤める看護師は毎月のお給料から税金分が天引きされています。 そして、勤務先が税金を納める仕組みになっており、この仕組みが「源泉徴収」*1です。

実は源泉徴収は本来の納税額と必ずしも一致しません。その理由は個別の所得控除が計算されていないからです。 所得控除とは個人の事情に配慮して公平性を保つ仕組みであり、活用することで税負担を軽減することができます。 例えば、生命保険に加入している方は支払った保険料に応じた所得控除が受けられる*2のですが、毎月の源泉徴収では所得控除が行われません。所得控除は年に一度、12月の「年末調整」で行われます。申請することで本来の所得控除が受けられるので、自分にも該当する所得控除がないかチェックしてみましょう!

 

お金の扱い方

もらったお給料はどのように扱うべきかを考えていく必要があります。まずはマネープランを立ててみましょう。マネープランとは結婚や住宅購入、老後資金など、将来の大きなライフイベントでの出費への資金計画を立てることです。

マネープランが作成できたら、毎月の貯蓄目標を決めましょう。毎月の貯蓄目標の金額をお給料から自動的に天引きされるように金融機関で自動積立の設定をする「先取り貯蓄」がオススメです。先取り貯蓄であれば手元に残ったお給料で生活をすれば良いので、貯蓄のストレスを軽減できます。

 

お金の備え方

普段は医療を提供する側の看護師であっても、ケガや事故、病気などは予想外に起きるものです。そしてこの予想外の事態に対応するには、やはりお金の備えが必要です。まずは原則誰もが加入している社会保険による備えを知っておきましょう。

社会保険とは以下の5つの公的保険の総称です。

①医療保険
病気やケガなどで発生した医療費の負担を軽減する保険です。 医療費の自己負担分が高額になった場合、一定の金額を超えた部分が払い戻される高額療養費制度もあります。

②年金保険
高齢者、障害者、遺族の生活を支えるための保険です。 現役世代が納める保険料で給付が行われる賦課方式が取られています。

③雇用保険
労働者の雇用や生活の安定を図るための保険です。 失業給付や教育訓練のための給付が受けられます。

④労災保険
労働によるケガや病気に対する給付をする保険です。 労働中だけでなく通勤中も労災保険の対象に含まれます。

⑤介護保険
要介護者が必要な介護や看護を受けるための保険です。 40歳以上になると加入します。

社会保険は私たちが毎月のお給料から支払っている保険料や税金によって運営されています。*3社会保険による備えの内容を知り、足りない部分を貯蓄や民間保険でカバーしていきましょう。特に配偶者や子どもがいる家庭の場合、自分だけでなく家族の生活も考慮した備えが必要です。

 

お金の増やし方

人生100年時代、高齢化が進行する日本において公的年金のみでの老後資金の準備は難しいと言えるでしょう。そこで今、貯蓄ではなく投資での資産形成が注目されています。投資による資産形成のポイントはじっくりと時間をかけることです。投資と貯蓄の違いを知り、投資に使える金融商品の特徴を掴んでいきましょう。「つみたてNISA」や「iDeCo」といった資産形成を有利に進めることができる制度も併せて勉強しておくと良いですよ。

ただし、投資のリターンにはリスクがつきものです。ライフイベントに必要な資金は投資とは別に確保しておきましょう。また、投資とは金融商品を購入することだけではありません。自分が将来期待できる収入を得る能力を「人的資本」と言います。特に新人看護師は、スキルアップ・キャリアアップ・資格取得などのために自己投資をして人的資本を高める選択肢も併せて考えましょう。人的資本を高めることで、長く働き続けることができます。自己投資は若いうちに始めた方が大きな効果が期待できますよ。

 

参考文献

*1 国税庁.”給与所得者と税”(参照 2020-3-20)
*2 国税庁.”生命保険料控除”(参照 2020-3-20)
*3 厚生労働省.”社会保障に関する基礎資料”(参照 2020-3-20)

この記事を書いたのは

看護師FP:しまづ 看護師として働く中で、お金の知識がないと時に自分や大切な家族の生活を脅かすことを実感し、ファイナンシャルプランナーの資格も取得。みなさんのお財布の健康を守るお手伝いをさせていただきます!

イラスト・まえかわしお

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