• 公開日: 2019/12/18
  • 更新日: 2020/1/15

訪問看護の実情とは?現役訪問看護師が解説します!

病院や施設とは違い、訪問看護の場合は実習期間も短いため、どういった仕事なのかイメージがつきにくいかと思います。そこで今回は、訪問看護師でもある筆者が、実際に働いているからこそわかる訪問看護の職場について、ご紹介したいと思います!

 

訪問看護、就業前とこんな点が違った!

実際に訪問看護師として働くと、イメージとずいぶん違う点がいくつかありました。 その相違点について、まずはご紹介します!

天候に大きく左右される

訪問看護は、自動車または自転車で各ご家庭を訪問するため、天候には大きく左右されます。大雨や大雪のときは、道路も渋滞あるいは迂回などをする必要があり、通常よりも多くの時間がかかってしまいます。そのため、天候不良の時はあらかじめ利用者さんへ「訪問時間が変更となる可能性があります」とお伝えしてから訪問することもあります。

祝日も通常営業している

「訪問看護は祝日お休み」というイメージもあるかと思いますが、利用者さんの状態によっては、訪問しなければいけない方もいるため、基本的に「完全にお休み」という状態にはならず、通常通り訪問することもあります。実際に筆者の勤務先では、GWなども元々の定休日以外は通常通り、訪問していました。そのため、「カレンダー通りの休み」ということはない現場である、といえます。

急変時の対応について不安だったけれど・・・

訪問中、携帯へ利用者さんから「体調が悪いので来て欲しい」と連絡が来ることもあります。病院ではすぐに様々な医療機器を用いて対応できますが、在宅ではそうはいきません。この仕事を始めるまで、「急変時にはどのように対応すれば良いのだろうか」と不安でしたが、先輩からは「看護師にできることは限られているので、看護師としてどう判断するかが大切だよ」というアドバイスをいただきました。「どう行動すれば良いのか」ということではなく、「どう判断するか」が大切なのです。

経験が浅いと訪問看護は難しい…というわけではない

訪問看護ではベテラン看護師が働いている、とイメージしがちですが、看護師経験の浅い方や臨床経験の少ない方も働いています。訪問看護は利用者さんとそのご家族の生活を含めたケアを行うため、病院での対応とは異なります。

もちろん、これまでの経験や知識は役に立ちますが、働き始めてから訪問看護ならではの対応の仕方を学んでいくため、経験の浅い方でも十分に活躍できます。研修がある場合も多く、わからないことはスタッフ同士でフォローしあいながら進めていくため、それほど心配はいらないと思います。

「看護師としてどう接するか」に悩む日々

訪問看護では、利用者さんが何を望んでいて、それに対してどのように対応すれば良いのかを日々検討しています。中には「看護師として、どこまでOKとするか」「看護師として、どのように指導すれば良いのか」を悩むこともあります。

同じ職場の方々に相談し、どのようにすれば良いかミニカンファレンスを開くこともありますが、「介護ではなく、看護としてどのように指導していくか」という点については、今も模索しながら仕事をしています。

 

訪問看護ってこんなお仕事

ここで、訪問看護の仕事内容について、実際に働いているからこそわかる内容をご紹介します!

受け持ちは乳幼児から100歳代まで幅広い!

事業所にもよると思いますが、筆者の事業所では大まかに利用者さんごとに受け持ちの看護師が決まっており、その年代は乳幼児から100歳代までと大変幅広くなっています。筆者自身、病院では乳幼児看護の経験は実習時のみだったため、乳幼児看護については学ぶことが多いと感じています。周囲の看護師さんにアドバイスをいただきながら看護を提供しています。

看護師・利用者同士の「相性」も重要

病院や施設など、複数の看護師で一人の患者さんを見るケースとは違い、訪問看護では看護師と利用者さんが一対一で関わります。そのため、看護師・利用者さん双方の「相性」というものがどうしてもでてきてしまいます。利用者さんの中には、「この看護師さんはちょっと苦手なので、他の看護師さんでお願いできないか」と事業所へ伝えてくる方がいらっしゃいます。

実際に筆者も利用者さんから「以前、他の人が来てくれたけれど、あの人はちょっと合わないから、これからはあなたが固定で来てね」と言われたことがありますし、逆に事業所へ「あの人以外の人で訪問をお願いできないか」と伝えられた経験もあります。こういった利用者さんからの要望に対して、応えられる範囲では応じますが、緊急時の訪問などもあるため、すべての要望に応えることはできません。こういった調整も、訪問看護ならではと言えます。

スケジュールは自分で調整

利用者さんの中には、利用者さんの容態が悪くなり、毎日訪問することになった、というケースや、利用者さんやそのご家族の都合が悪くなり、急遽別日に訪問してほしいとの要望が出るケースもあるため、スケジュールは日々変動しています。事業所にもよりますが、そういったスケジュールの調整は、自分で行わなくてはいけないことが多いです。日々スケジュール帳を確認し、「この日はこの方のところへ訪問するから、次の方の訪問時間は少しずらしておこう」などというように、調整を行っています。

 

大変だけど、やりがいも大きい!

訪問看護では、基本的に一人で利用者さん宅へ訪問するため、慣れるまでは毎日とても緊張していました。しかし、先輩たちより指導を受けながら、そして「経験を積むことで少しずつわかってくるから、大丈夫だよ」と励ましていただきながら、日々仕事をしています。

何より、利用者さんから「あなたが来てくれるからとても心強いよ、ありがとう」と言っていただけることがとても嬉しく、やりがいを感じます。皆さんもぜひ、訪問看護の職場にも興味を持っていただけたら嬉しいです!

この記事を書いたのは

山村 真子 看護師として働きながら、ライターの仕事もしている、アラフォーママナース。看護系以外にも、育児や病気、介護など幅広い分野の執筆を行っています。時短勤務中だが、毎日定時に帰れるはずもなく、保育園の送迎はいつもギリギリなのが最近の悩み。

イラスト・k.nakano

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