コラム
  • 公開日: 2022/4/5

【連載】知っておきたい お金のはなし

正直、みんな貯金どのくらいあるの? 30代子持ちの貯金平均を知りたい

 「子どもがもうじき小学生。無償化だった保育園と違い、小学校では給食費や学童代に習いごとなど出費が増えそうで不安。でも、小学校時代は貯め時という意見も見聞きする。実際、子育て世帯のみんなはどれくらい貯金しているの?」
 今回は、このような不安や悩みを抱えるご家庭のために子育て世帯や30代世帯の平均貯金額をまとめました。

 

 

 人それぞれとわかってはいても、同じ年代で同じ家族構成の家庭の貯金額は気になるものですよね。この記事で各家庭の平均データを見ながら、ご家庭の貯金額を考えてみてください。




 

30代はいくら貯めている?30代の平均貯蓄額

 まずは、世帯主が30代の世帯の平均貯蓄額を見ていきましょう。

 なお、当記事での「貯蓄額」には預貯金から株式・投資信託・債券といった有価証券まで含みます。各家庭の金融資産はどれほどあるのか、参考としてご覧ください。

 ここでは厚生労働省の国民生活基礎調査より、世帯主が30代の世帯の平均貯蓄額や平均借入金額を紹介します1)


<30代世帯の平均貯蓄額> ・世帯主が30代の1世帯あたり平均貯蓄額:530万円
・世帯主が30代の1世帯あたり平均借入金額:1071.1万円
・世帯主が30代の1世帯あたり平均世帯所得:614.8万円


 30代の平均貯蓄額は530万円ある一方で、マイホームやマイカーの購入による借入れも1071.1万円あります。同調査では前年度と比べて貯蓄が「減った」と回答している世帯が30.8%、「変わらない」と回答している世帯が37.3%いて、何かと出費が多い30代の現状が窺えます。

※貯蓄額・借入金額は2019年6月末の現在高、世帯所得は2018年1月1日~12月31年の1年間の所得


子育て世帯はいくら貯めている?平均貯蓄額

 一方、子育て世帯の貯金額はいくらあるのでしょうか。

 先ほど紹介した厚生労働省の「国民生活基礎調査」より、「児童のいる世帯」の貯蓄平均をご紹介します2)


<児童のいる世帯の平均貯蓄額> ・児童のいる世帯の1世帯あたり平均貯蓄額:723.8万円
・児童のいる世帯の1世帯あたり平均借入金額:1119.7万円
・児童のいる世帯の1世帯あたり平均世帯所得:745.9万円

※貯蓄額・借入金額は2019年6月末の現在高、世帯所得は2018年1月1日~12月31年の1年間の所得


 何かと出費が多い「30代」という枠を省き「児童のいる世帯」に絞ると、平均貯蓄額は700万円を超えています。一方で、児童のいる世帯のうち11.6%の世帯には貯蓄がないという調査結果もあります。また、貯蓄がある世帯の半数は貯蓄額が700万円以下です。平均貯蓄額だけ見ると多くの貯蓄額があるように感じますが、貯蓄額の多い世帯が平均を押し上げている可能性もあります(表1)。

表1 児童のいる世帯の貯蓄額とその割合3) (2019年)

総数 100.0(%)
貯蓄がない 11.6
貯蓄がある 84.4
50万円未満 4.3
50~100 4.9
100~200 10.1
200~300 8.1
300~400 7.7
400~500 4.4
500~700 10.6
700~1000 8.1
1000~1500 8.7
1500~2000 3.8
2000~3000 4.6
3000万円以上 3.9
貯蓄あり額不詳 5.3
不 詳 4.0
1世帯あたり平均貯蓄額 723.8万円

30代 年収別の平均貯蓄額と中央値

 先ほどは「30代」や「子育て世帯」という大きなくくりで平均貯蓄額を見てきました。

 ここからは一歩踏み込んで、年収ごとの平均貯蓄額や貯蓄の中央値をご紹介します。中央値とは、あるデータを小さい数値から大きい数値まで順番に並べた場合、ちょうど中央にくる値のことです。

 平均値は一部の人の貯蓄額に数値が左右される傾向があります。たとえばデータの中に一人貯蓄が5,000万円超ある人がいると、その一人によって平均額が押し上げられてしまう可能性があるのです。そこで平均値とあわせて中央値もあわせて見ることでよりリアルな「中間層」の貯蓄額の実態が見えてくるのではないでしょうか。

 ここでは金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査「2人以上世帯調査」」より、世帯主が30代の世帯の平均貯蓄額と中央値を年収別にまとめました(表2)。

表2 30代の世帯の年収別平均貯蓄額・中央値4)

年数 平均貯蓄額 中央値
300万円未満 187万円 55万円
300~500万円未満 337万円 250万円
500~750万円未満 721万円 550万円
750~1,000万円未満 1,338万円 1,318万円
1,000~1,200万円未満 923万円 850万円
1,200万円以上 905万円 905万円

※上記の「年収」は、就業に伴う収入、年金、不動産賃貸収入、利息収入などの税引き後収入を指す。


 年収ごとの貯蓄額を見ていくと、意外なことに750~1,000万円未満の世帯がもっとも貯蓄額が多い結果となっています。また、年収が上がるにつれて平均値と中央値のギャップはなくなっていく傾向があります。

まとめ:結局、30代で子持ち世帯はいくら用意すればいいの?

 ご紹介してきた30代や子育て世帯の平均貯蓄額を、改めて並べると以下のとおりです。

・世帯主が30代の世帯:平均貯蓄額530万円
・子どもがいる世帯:平均貯蓄額723.8万円
・世帯年収500万円~750万円の30代世帯:平均貯蓄額721万円 貯蓄の中央値550万円

 もちろん、平均値や中央値だけでは個別の家庭状況はわかりませんし、平均値=貯蓄必要額とは言えません。各家庭で必要な貯蓄額やマイホームやマイカーの購入状況、子どもの人数などで大きく変わってきます。平均値や中央値はあくまで一つの目安として、各家庭で必要な貯蓄額を考えることが大切です。

 なお、子どもの教育費の必要貯蓄額については、こちらの記事で詳しく解説しています。あわせて参考にしてみてください。


<関連記事>
教育費はいつまでに・いくら用意すべき? 平均費用と具体的な貯め方をシミュレーション
https://square.nurse-senka.jp/articles/150008710


 繰り返しますが、必要な貯蓄額は各家庭によって異なります。今回ご紹介した平均値や教育費の記事を参考にしつつも、個別の状況についてはお金の専門かであるFPに相談することをおすすめします。FPであれば、各家庭のライフプランにあわせた必要貯蓄額をシミュレーションしてくれるはずです。「30代子育て世帯」という軸ではなく、「我が家の必要貯蓄額」をしっかり計算したいという人は、FPに相談してみてくださいね。


 

 

出 典

1)厚生労働省:2019年 国民生活基礎調査の概況.Ⅱ 各種世帯の所得等の状況、p.10、p.13.
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa19/dl/03.pdf(2022年3月8日閲覧)
2) 厚生労働省:2019年 国民生活基礎調査の概況.p.9、p.12.
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa19/index.html(2022年3月8日閲覧)
3) 厚生労働省:2019年 国民生活基礎調査の概況.Ⅱ 各種世帯の所得等の状況、p.10、p.13.
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa19/dl/03.pdf(2022年3月8日閲覧)
4) 金融広報中央委員会:家計の金融行動に関する世論調査.2人以上世帯調査(令和2年)、シート1.
https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/yoron/futari/2020/20crossf001.html(2022年3月8日閲覧)

 

 

この記事を書いたのは

服部 椿
金融代理店での勤務経験と自身の投資経験を活かしたマネーコラムを多数執筆中。
子育て中のママFPでもあり、子育て世帯向けの資産形成、ライフプラン記事の執筆が得意。
保有資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士



記事監修:株式会社ファーストプレイス



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