• 公開日: 2020/4/27
  • 更新日: 2020/5/18

退職を考える看護師が知っておきたい制度や給付金

退職してゆっくり休みながら次の就職先を探したい…そんなときには、失業中の生活を支えるための制度や給付金を活用するのがおすすめです。

退職後の手続きの種類は意外と見落とされがち。退職後に慌てなくて済むようにしっかりと把握しておきましょう。今回は退職を考える看護師が知っておきたい制度や給付金について解説します。

 

失業したらもらえる「失業保険」とは?

「失業保険」とは、勤めていた会社を退職した際に失業手当を受け取ることのできる雇用保険の一つ*1です。一定以上の労働契約条件で働く労働者は雇用保険に加入する義務があります。雇用保険料は会社と労働者の両者で負担しています。失業時に活用できる雇用保険の種類は以下の2つです。

■基本手当*2
基本手当は失業後から再就職までの期間の生活を支えるための給付金です。 これがいわゆる「失業保険」と呼ばれるものです。失業保険を受給するには、離職前2年間のうち12ヶ月間雇用保険に加入している必要があります。しかし、会社都合での退職の場合や、やむを得ない事情がある場合は6ヶ月の加入で受給可能です。1日あたりの基本手当は「退職前6カ月間の給料総額÷180日」の計算で決定されます。

■就職促進給付*3
就職促進給付とは早期再就職を促進することを目的とし、「再就職手当」「就業促進定着手当」「就業手当」などが支給されるものです。

このように雇用保険は失業の際に強い味方になってくれるのです。

 

失業保険をもらうメリット・デメリット

失業保険は失業時にとても心強い給付金です。しかし、失業保険にはデメリットもあり、すべての失業者が受給したほうが良いとは限りません。失業保険をもらうメリット・デメリットをチェックし、活用するかどうかの判断材料にしてみましょう。

■メリット
失業保険を受給すれば生活費がゼロになる精神的不安を軽減することができ、転職活動にじっくり取り組むことができます。 転職先の仕事は慎重に選びたいものですよね。 しかし、退職・失業によって収入がなくなってしまうと、精神的な不安や焦りからじっくり転職先を選べないこともあります。

■デメリット
失業保険を給付するデメリットは「①雇用保険の加入期間がリセットされる」「②手続きが大変」です。

雇用保険に加入している期間が長ければ長いほど失業保険の額も多くなります。しかし、一度失業保険を受給してしまうと、そこで保険加入期間がリセットされてしまうため「すぐに次の職場で働き始められる」という方は、失業保険を受給せずに雇用保険加入期間を継続させるのも一つの方法です。

じっくり転職先を検討することも大事ですが、仕事をしていない期間が長くなると、転職活動に影響が出ることも。可能であれば、退職前から転職サイトやハローワークなどで自分の希望沿った転職先がないか探してみるのもいいかもしれません。

また、注意点として、自己都合退職の場合は失業保険をすぐにはもらえないことも覚えておかなければなりません。受給するまでに最短でも3ヶ月7日間の時間がかかります*4。失業保険の手続きはハローワークで行います。手順が多いので早めに準備しておきましょう。

 

失業保険をもらいながらアルバイトはできるのか?

失業保険受給中はたとえアルバイトであっても働いてはいけない、と思われている方もいるかもしれません。実際は制約があるものの、失業保険を受給しながらもアルバイトすることは可能*5です。

ハローワークで失業保険受給の申し込み手続きを行い、その後7日間待機期間があります。この待機期間中はアルバイトができません。しかし3ヶ月の給付制限期間中(自己都合の場合)や基本手当受給期間中にはアルバイトすることができます。

ただし、好きなだけアルバイトできるというものではありません。 週20時間以上の勤務や31日以上の雇用が見込まれる場合、新しい職場に就職したと見なされ、受給資格を失ってしまうことがあります。 また、失業保険受給中に1日4時間以上のアルバイトをすると、働いた日数分支給が先送りになりますので注意しましょう。

看護師は、単発派遣やアルバイトなど様々な働き方があります。 失業保険をもらいながらも、制限範囲であればバイトも可能です。 アルバイトをした場合は、忘れずにハローワークへ申告しましょう。 医療行為や看護技術など、長い期間実施しないと不安になりますよね。 定期的に現場で感覚を維持しておきたいという方は失業保険受給期間中のアルバイトを検討してみてください。

 

失業保険手続きの流れ*6

退職後の失業保険の手続きは手順が多いので早めに取りかかりましょう。 まず、退職した会社から「離職票」「雇用保険被保険者証」をもらいます。 離職票が手元に届いたら、マイナンバーカード・身分証明書・印鑑・顔写真・通帳等の必要書類を揃えてハローワークにて申請手続きを行いましょう。 申請手続き後、受給資格があると判断されると説明会の日程や会場が案内されます。

初回説明会では、失業保険受給に関する重要な内容の説明がありますので、必ず参加するようにしましょう。また、第一回目の失業認定日も初回説明会で伝えられます。初回説明会後は4週間に1度、失業の認定を管轄のハローワークにて行われます。求職活動は最低28日間に2回以上は行わなければなりません。ハローワークの窓口でも求職活動をサポートしてくれますので、なかなか見つからないという方はぜひ相談してみてください。失業保険は、認定日から1週間程度で指定した口座に振り込まれます。

 

まとめ

今回は、退職を考える際に知っておきたい制度や給付金について説明しました。雇用保険は退職時に強い味方になってくれる制度です。給付金や手当を受給することでメリット・デメリットがあります。自分の転職活動や状況にあったものなのか検討し、必要であれば利用してみてください。

 

参考文献

*1 厚生労働省.”雇用保険制度”(参照 2020-3-20)
*2 厚生労働省.”基本手当について”(参照 2020-3-20)
*3 厚生労働省.”就職促進給付について~”(参照 2020-3-20)
*4 エン転職.”自己都合退職、会社都合退職の違い~”(参照 2020-3-20)
*5 厚生労働省.”Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~”(参照 2020-3-20)
*6 ハローワーク インターネットサービス.”雇用保険の具体的な手続き”(参照 2020-3-20)

この記事を書いたのは

看護師FP:しまづ 看護師として働く中で、お金の知識がないと時に自分や大切な家族の生活を脅かすことを実感し、ファイナンシャルプランナーの資格も取得。みなさんのお財布の健康を守るお手伝いをさせていただきます!

イラスト・まえかわしお

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