結婚・妊娠・育児はとても楽しみなライフイベントですよね。一方で多くの費用が必要であり「お金が足りなかったらどうしよう…」と不安になる方もいるかもしれません。
結婚・出産・育児では多くのお金が出ていきますが、実はもらえるお金もあります。これらのライフイベントを迎える前に収支を把握しておけば、仕事を継続するための計画が立てやすくなりますよ。今回は結婚・出産・育児で出ていくお金ともらえるお金について解説していきます。
結婚で出ていくお金*1
結婚の出費は結婚式の費用だけではありません。 婚約・結婚指輪、結納、ハネムーンなどの出費もあります。 こだわりによって大きく費用は変わってきますが参考にしてみましょう。
■結婚式にかかる平均費用【354.9万円】
主に挙式+披露宴の平均費用です。
招待する人数によって食事代が大きく変わります。
お花やビデオ・DVD、2着目のドレスなどのオプションの有無によっても大きく金額が変わります。
■婚約関連の平均費用【170万円】
主に指輪+結納の平均費用です。
結納金の平均が93.3万円と大きな割合を占めています。
最近は結納を行わずに両家の顔合わせの食事で済ませるカップルも増えています。
■結婚式後にかかる平均費用【73万円】
主にハネムーンの平均費用です。
ハネムーン先やホテルのグレードにより費用は大きく変わります。
この他にも結婚式の2次会費用、新生活の準備費用など、結婚に関する出費は多岐にわたります。夫婦のこだわりや予算に合わせて必要なものを選んでいきましょう。
結婚でもらえるお金
結婚では多くのお金が出ていきますが、もらえるお金も多いです。 期待しすぎるのは少し失礼かもしれませんが、計画を立てやすくなりますのでしっかりと把握しておきましょう。
■ご祝儀 平均【224.3万円】*2
友人や職場の人、親族からいただくご祝儀は、結婚式でもらえるお金の代表格です。結婚式に招待した人数によって大きく変わります。
■両親からの支援 平均【187.8万円】
両親からの支援があった夫婦の割合は77.8%です。
夫婦のそれぞれの両親からの支援を合計すると大きな金額になります。
もちろん、家庭の経済状況によりますので期待しすぎないようにしましょう。
■お祝い金
職場の福利厚生や健康保険・厚生年金基金からお祝い金が出る場合があります。
自分から申請しないともらえないことが多いので忘れずにチェックしておきましょう。
■新婚生活支援事業*3
お住まいの市区町村で「新婚生活支援事業」を行っている場合、補助金を受け取ることができます。
年齢制限や所得制限がありますが最大30万円を受け取れますのでチェックしてみましょう。
出産で出ていくお金
妊娠・出産は病気ではないため健康保険適応にはなりません。 そのため、妊娠~出産に関わる費用は基本的に自己負担となり、大きな出費が発生します。妊娠中は定期的に妊婦健診があります。
■正常分娩による平均的な出産費用【50.6万円】*4
正常分娩に出産費用は地域や利用する施設によって大きく変わります。
全国平均は50.6万円ですが、最も高い東京都の平均は【62.2万円】、最も安い鳥取県は【39.6万円】と大きな差が見られます。*5
病院での平均的な出産費用は【51.2万円】、診療所での平均的な出産費用は【50.1万円】、助産所での平均的な出産費用は【46.5万円】です。
施設はそれぞれメリット・デメリットがありますので、よく検討して納得の上で選びましょう。
また、分娩方法によって差があり、帝王切開、吸引分娩などの医療行為の伴う分娩(異常分娩)は健康保険適応となり入院料や手術代が3割負担で済みます。*6 民間保険に加入している場合、異常分娩は給付金の対象となる可能性もあります。約5人に1人が帝王切開で出産*7しているため、他人事と思わず準備しておきましょう。
出産でもらえるお金
出産では大きな出費が発生しますが、公的支援制度も準備されています。 しっかりと把握しておけば貯蓄が少なくても必要以上に不安にならずに済みますよ。
■出産一時金【42万円】*8
妊娠4カ月以上の出産の場合、1児につき42万円が健康保険から給付されます。
ほぼすべての出産が対象となるので必ず知っておきたい給付金です。
■出産手当金(健康保険から支給される手当金)*9
出産手当金は出産のために仕事を休み、給与がもらえない状態の人を対象に健康保険から給付されます。
支給額は仕事を休んだ日数と標準報酬日額の2/3相当から計算された金額です。
■妊婦健診費用
妊娠中は定期的な健診が欠かせません。
妊婦健診にかかる費用はお住まいの都道府県より助成があります。
育児で出ていくお金
育児には生活費・学費・医療費・おこづかいなど、様々な出費が伴います。学費は私立と公立、学習塾に通うかなどによって大きく変わります。基本的に年齢が上がるとともに必要な基本養育費も高くなるものです。無理なく仕事を継続しながら準備していく計画を立てていきましょう。
■大学卒業まで全て公立だった場合の平均的な育児費用【2,683万円】*10
22年間の基本養育費【1,640万円】+教育費【1,043万円】です。
大学卒業までの22年間にかかる費用の合計なので、一括で準備する必要はありません。また、進学の有無によっても大きく費用は変わってきます。
■大学卒業まで全て私立(理系)だった場合の平均的な育児費用【4,218万円】
22年間の基本養育費【1,640万円】+教育費【2,578万円】です。
公立に進学した場合と比べると教育費に2.5倍ほどの差があります。
上記の金額は子ども1人あたりの金額です。 育児にはとても大きな出費が伴うことがよくわかりますね。
育児でもらえるお金
育児はとても大きな出費です。もらえるお金をしっかりとチェックし、負担を少しでも減らせるようにしましょう。
■児童手当金*11
中学校卒業まで1~1.5万円を給付金として受け取れる制度です。
所得や子供の人数に応じて給付金額が変わります。
■乳幼児医療費助成制度*12
各地方自治体が乳幼児の入院・通院にかかる費用の自己負担分を助成する制度です。お住いの地域により条件や助成の範囲が異なります。
■育児休業給付金*13
会社員が育児休業中に国から給付金がもらえる制度です。給付金額は「休業開始時賃金日額×支給日数×67%(ただし、育児休業の開始から6か月経過後は50%)」で算出されます。1歳未満の子供がおり、雇用保険に加入していることが給付の条件です。
■認可外保育園利用者への補助金
認可外保育園は国や地方自治体からの補助金がもらえません。
地方自治体の基準に沿った認可保育園に限り、保育料の助成が設けられている場合があります。
■塾代サポート制度
学習塾の利用をサポートする地方自治体もあります。
例えば、東京都の「受験生チャレンジ支援貸付事業」*14では一定所得以下の世帯を対象に学習塾などの費用の貸付を行っています。
まとめ
結婚・出産・育児といったライフイベントには大きな出費がつきものです。看護師は女性の多い職業ですが、職場がライフイベントに理解があるかは別問題と考えておきましょう。予め収支を把握しておき、仕事を継続するための計画を立てておきましょう。
参考文献
*1 ゼクシィ.”相場から自己負担金、支払い時期まで分かる【「結婚式のお金」基礎知識】”(参照 2020-3-20)
*2 ゼクシィ.”「結婚の費用」基礎知識”(参照 2020-3-20)
*3 内閣府.”結婚新生活支援事業について”(参照 2020-3-20)
*4 国民健康保険中央会.”正常分娩分の平均的な出産費用について(平成28年度)”(参照 2020-3-20)
*5 国民健康保険中央会.”正常分娩分の平均的な出産費用について(平成28年度)”(参照 2020-3-20)
*6 保険相談サロンFLP.”異常分娩(帝王切開など)の場合、出産費用に健康保険は適用される?”(参照 2020-3-20)
*7 厚生労働省.”平成29年(2017)医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況”(参照 2020-3-20)
*8 全国健康保険協会.”出産育児一時金について”(参照 2020-3-20)
*9 全国健康保険協会.”出産手当金について”(参照 2020-3-20)
*10 mattoco Life.”子育て費用は総額でどれくらいかかるのか”(参照 2020-3-20)
*11 内閣府.”児童手当Q&A”(参照 2020-3-20)
*12 ファイザー.”乳幼児医療費助成制度の実態”(参照 2020-3-20)
*13 厚生労働省.”Q&A~育児休業給付~”(参照 2020-3-20)
*14 塾情報.”「受験生チャレンジ支援貸付事業」とは?”(参照 2020-3-20)
この記事を書いたのは
看護師FP:しまづ 看護師として働く中で、お金の知識がないと時に自分や大切な家族の生活を脅かすことを実感し、ファイナンシャルプランナーの資格も取得。みなさんのお財布の健康を守るお手伝いをさせていただきます!
イラスト・まえかわしお