複数の看護師が同じ利用者さんを看護する上で重要なのが、「申し送り」です。
「伝えたいことはたくさんあるのに、なかなか要点を絞って伝えられない」「いつも長いと怒られる」そんな申し送りに悩む看護師さんへ、今回はわかりやすい申し送りの伝え方について、ご紹介します!
申し送りのための準備
申し送りは、いつもその場で行うものだと思っていませんか?わかりやすい申し送りをするためにぜひ行いたい、申し送りのための準備について、まずはご紹介しましょう。
仕事中のメモに「申し送りすること」をわかりやすく記載しておく
ほとんどの看護師さんが、仕事中にバインダーか、電子カルテ用のパソコンを持ち歩き、患者さんについての情報を記載しているかと思います。このとき、「申し送りしなければいけない項目」を書く欄をあらかじめ作っておき、申し送りする内容を準備しておくことをオススメします。
例えば、「Aさんのご家族へ電話してほしい」「Bさんの検査は〇日へ延期になった」といったことをその項目に入れておくことで、伝え忘れを防止することができます。筆者はタイムスケジュールとともに申し送りしたい項目をわけて整理しやすいよう、自作の用紙を作成することで、申し送り内容を濃くすることができるようになりました。
申し送り前に「何を申し送るか」を自分の中で整理しておく
特に夜勤から日勤への申し送りの際は、夜勤担当の看護師よりも日勤看護師の人数が多いため、伝えなければならない情報も多く、ついだらだらと長くなってしまいがちです。そのため、申し送り前に自分で「何を申し送るか」について優先順位の高い順に番号を付けるなどして、整理する時間をつくることをオススメします。
「この人はこれを送りたい」「これは記録に書いたから大丈夫」というように整理して、申し送りたい内容を色のついたボールペンなどで線を引くことで、ある程度整理することができます。また、このように事前に準備しておくことで、申し送りに対する不安感も軽減することができます。
なるべく記録は勤務時間中に済ませておこう
申し送りをする上では「記録はなるべく勤務時間内に済ませておくこと」も大切です。勤務前に、自分の受け持ち患者さんの情報として、記録は一通り目を通すため、事前にある程度記録しておくことで、申し送りの内容を大幅にお互いスムーズに申し送りすることができます。
全部の記録が難しい場合には、申し送り内容が多い人だけ先に記録しておくだけでも、申し送りの時間を大きく短縮することができるはずです。業務が忙しく、なかなか記録ができないという方もいらっしゃるかと思いますが、ぜひ記録を勤務時間内に済ませることを意識してみてください。
申し送りをわかりやすく伝える方法
準備を一通り終えたところで、いよいよ申し送りをわかりやすく伝える方法について、ご紹介していきましょう。
先に結論から伝えよう
申し送りにおいて大切なのは、「端的に、重要な情報を伝えること」です。その上で大切となるのが「先に結論を伝える」こと。
例えば、「Aさんの家族へ日勤帯に連絡をお願いします。持参のおむつがなく、現在は病棟から貸し出しを行っています」というように、まずどうしてほしいかを伝え、その後になぜそうしてほしいかを伝えることで、スムーズに申し送り内容が伝わりやすくなります。
相手によって伝える内容を変えよう
看護師として働く世代は、様々です。「この人は〇〇で搬送され、搬送時にはこういった状態でしたが」と時系列で細かく申し送ることは、新人看護師の方には情報をとりやすくなりますが、ベテランの方にはだらだらとした申し送りだと思われるかもしれません。
申し送る相手がベテラン看護師の場合には「記録を参照してください」「今はこの症状の訴えがあります」というように、より端的に、要点のみ絞って申し送りすることが求められます。このように、相手によって申し送り内容や伝え方、まとめ方を変えることで、より的確に必要な情報を相手の求める形で伝えることができます。
常に時計を気にしながら申し送りをしてみよう
申し送りに時間がかかる・・・という場合には、時計を気にすることを意識してみましょう。常に時計を気にしながら申し送りをすることで、「自分ってこんなに申し送りで時間がかかっていたんだ」と自覚することができますし、「この人はこれくらいの時間で終わらせよう」と時間を気にすることができます。
以前筆者が務めていた病院では、ストップウォッチを持って、「一人あたり〇分まで」と時間をはかりながら申し送りをしていました。そうすることで、朝の申し送り時間が10分以上短縮したという経験があります。時間を意識しないとだらだらと長くなってしまうため、申し送り内容とともに、時間についても意識するようにしましょう。
申し送りがうまい人をよく観察しよう
「ポイントっていったって、すぐにはうまくならないよ・・・」と思っている方もいると思いますが、そういう方はぜひ、職場にいる申し送りがうまい人がどのように申し送りをしているか、よく観察してみましょう。その人のまねを少しずつでもすることで、きっとあなたも徐々に申し送りがうまくなってくるはずです。
この記事を書いたのは
山村 真子 看護師として働きながら、ライターの仕事もしている、アラフォーママナース。看護系以外にも、育児や病気、介護など幅広い分野の執筆を行っています。時短勤務中だが、毎日定時に帰れるはずもなく、保育園の送迎はいつもギリギリなのが最近の悩み。
イラスト・k.nakano