「看護師は転職しやすい職業だから、職場に対して不満があった時は転職すれば良い」そう考えてしまっていませんか?今回は、どのような人が転職した方が良いのか、また、どのような人は転職しない方が良いのか、転職経験のある現役看護師がお伝えします。
看護師として転職すべきとき
数年おきに職場を変えている方もいれば、ひとつの職場で長く働く方もいる、看護師の職場。中には「転職しないほうが…」と感じてしまう方もいます。では、どういった理由ならば、転職した方が良いのでしょうか?その理由をあげていきます。
自分の生活と職場環境が合わないとき
結婚・介護・闘病など、家庭の様々な事情により、これまで通りの勤務が難しくなることがあります。看護師を続けたいけれど、今のままでは両立ができないと感じた時は、転職というのもひとつの手段となります。
例えば、親が倒れて介護が必要な状況になり、自分一人しか介護が担えず、日勤常勤になりたくても職場側が「夜勤は入ってもらわないと困る」といった場合。職場側が寄り添わず、個人へ対策を検討するように言われてしまったときは、日勤常勤として働きながら介護ができる職場へ転職するのが良いと考えます。
自分がどう頑張っても、状況を改善できないとき
「周囲を変えることは難しい」これは看護師に限らず、どの職業でもそうだと思います。しかし、どれほど自分を変えて状況を改善しようと努力しても、状況を改善できないと感じてしまった場合は、転職も選択肢のひとつだと考えます。
実際に筆者は過去、先輩から今でいう「パワハラ」を、連日のようにうけていました。「あなたがなんで看護師なのか、理解に苦しむ」「こういう風にあなたを育てた親を見てみたい」と言われる毎日。それでも看護師として自分が少しでも成長できるよう、勉強方法を工夫したり、先輩との関係改善のために自分から話しかけるなど努力をしたりしてきました。
しかし、それでも先輩からの厳しく、親や学校についての批判を受け続けてしまったため、「これ以上ここにいては、自分がダメになる」と判断し、転職を決意しました。転職先では、これまで言われていたようなことは一切言われず、看護師として成長させていただくことができたため、「転職して良かった」と今でも思っています。
看護師が転職すべきでない理由
転職しやすい職業だからこそ、転職する理由があいまいでは、後で後悔してしまいます。では、転職すべきでない理由には、どういったことが考えられるでしょうか?
転職理由がはっきりしていない
転職理由として、「より良い環境で働きたい」というような、あいまいな理由を挙げる方がいます。仕事につながるような明確な転職理由がなく、「なんとなく」職場を変えたくて転職活動を始めることは、とても危険です。
そもそも、看護師として働きやすい環境を整えている職場は、職員も長く働き続けるため、中途採用はほとんど行っていないというのが実情です。そのため、「なぜ自分が転職したいのか」を明確にして、その理由が確実にかなう転職先を探すということが、とても大切となります。
例えば筆者の場合は、転職について「経験はあるけれど、もう一度看護師として1から勉強しなおしたいので、新人同様の教育を受けられる職場」という条件を出して転職活動をしました。また、現在はママナースという立場から、「急なお休みや子供のイベント時でも、休みやすい環境である職場」という条件のもと、転職先を探しました。
このように明確に叶えたい理由を挙げることではじめて、自分が納得できる転職ができるはずです。
「この転職がダメでも、またすぐ転職すれば良い」と考えてしまっている
看護師は転職しやすい職業である、という考えで転職するのも、とても危険な行為です。いくらどの職場も人手不足であるとはいえ、何回も転職を繰り返している看護師を採用したいと思う職場は少数です。
家族の転勤など、ご自身だけではどうしようもない理由で転職を重ねている方ならまだしも、きわめて個人的で、あいまいな理由で転職を繰り返している場合は、面接などでよい印象を持ってもらえないことが多いでしょう。「この転職先で、私はずっと働く」という強い意志をもてる転職でなければ、転職はせずに、現在の職場で頑張るのが良いと考えます。
転職は慎重に、しっかりと目標を持って
採用にも携わったことのある知人が以前、こう言っていました。「転職理由を真剣に考えると、自分の欠点が次々浮かんできて、泣きそうになることもあると思う。でも、それくらいの真剣さがないと、転職は成功しないと思う」
転職理由を「ダメな職場だから」というように自分以外にせず、ぜひご自身を中心にした理由で考えていけば、良い転職ができると思います。「転職して良かった。ずっとここで働きたい」と思える転職をしていただきたいです。
この記事を書いたのは
山村 真子
看護師として働きながら、ライターの仕事もしている、アラフォーママナース。看護系以外にも、育児や病気、介護など幅広い分野の執筆を行っています。時短勤務中だが、毎日定時に帰れるはずもなく、保育園の送迎はいつもギリギリなのが最近の悩み。
イラスト・ミキ