• 公開日: 2019/8/19
  • 更新日: 2019/8/27

看護師の専門学校卒は不利?短大出身者が感じているメリット、デメリット

看護大学卒の看護師の割合が増えている今、「専門卒でよかったのかな」と悩んでしまっている方もいるかと思います。そこで今回は、専門卒の方に比べてより少数派の「看護短大卒」である筆者が、看護3年過程で働くうえでのメリット、デメリットについて考えていきたいと思います。

 

短大卒として感じたメリット・デメリット

筆者は3年過程の看護短大を卒業し、そのまま看護師として10数年間、働き続けています。その中で感じているメリット・デメリットとしては以下のことがあげられます。

メリット 学費が安く、経済的な自立も早くすることができる

進学を考えるにあたり、自分の学力と同等かそれ以上に気になるのが「経済面」です。筆者の場合は経済面も考慮し、大学を選択肢から外して3年過程の学校を中心に受験しました。

3年過程で看護師国家資格を取得すれば、学費も3年間で済みますし、4年過程に比べて1年早く親から自立することもできます。学費が安く、経済的な自立も早くすることができるというのは、3年過程において最大のメリットともいえます。

デメリット 「大学卒」と「それ以外の学校卒」という点でスタートから評価が違う

筆者が新卒として就職した病院は、「看護師国家資格取得予定者」ならば誰でも新卒として応募することが可能でした。そのため、私以外にも他の病棟には3年過程の短大や専門学校を卒業した看護師がたくさん所属していました。

しかし就職後、先輩から「あなたは大学を卒業していないんだから、勉強が浅い。これから死ぬ気になって勉強しないと、同期にすぐ置いてきぼりにされてしまうわよ」と言われたことを覚えています。同じ看護師国家資格を取得しているのに、卒業した学校によって初めから評価が違うんだ、ということをこのときはじめて知りました。

デメリット2 実技は得意だけど、研究は苦手…

3年過程の場合、4年過程に比べて講義にかけられる時間はどうしても短くなってしまうのが現状です。そのため、働きだした後に職場で行わなければいけない看護研究や資料作りに対し、どうしても苦手意識を持ってしまいがちです。

筆者も働き始めてから初めてエクセルやパワーポイントを本格的に使う必要が出てきました。大学卒の同期が「授業である程度使い方を習ったから…」とすらすらと表計算をしている様子を見て、「授業でパソコンの時間があったなんて!」とうらやましく感じました。

また、4年過程の方は卒業論文を提出しなければ卒業できませんが、3年過程では論文は必修ではありません。そのため、卒業後にそういった論文の調べ方や書き方を知っているかどうかが、その後の資料作成や論文検索にも大いに関係していると感じています。

 

「3年過程」という負い目は、こうして乗り越える!

受けた教育内容によって評価が変わってしまうというのは、とても悔しいことです。でも、「3年過程だから」と負い目を感じる必要は全くありません!その乗り越え方について、考えていきます。

ほかの看護師に負けない看護の「強み」を持つ

看護師はオールマイティーな知識と技術が要求される職業ですが、すぐにすべての診療科について深い知識と経験を身に着けることは難しいですよね。そこでぜひおすすめしたいのが、「看護の強みを持つ」ということです。

筆者の場合は、様々な診療科を経験する中で「この病気についてもっと詳しくなりたい」という思いを抱くようになり、その病気の専門資格を取得することで、卒業した学校の違いについて気にならなくなりました。

「私は3年過程卒だし…」と後ろ向きになるのではなく、自分の看護に何か一つでも「これなら任せて!」というものを身につけることで、自分の看護全般に自信が持てるようになるはずです。

「学歴が…」といっている先輩の言葉は参考程度に

先輩の中には、「〇〇さんは××大学を卒業しているから、看護師としても優秀」と、出身校を引き合いにその人を評価する方がいます。しかし、そういった評価をしている先輩ほど、実はその先輩自身が学歴に対してコンプレックスを持っていることがあります。

最終的に自分の看護がどうなのかを判断するのは、先輩ではなく、患者さんです。先輩が学歴について何か言ってきたとしても、あくまで参考程度にしておき、あまり気にしすぎないということもまた、負い目を感じないためには大切です。

進学希望の場合は、「いつか…」ではなく「○年後」と明確な目標にする

最終的に大学編入などの進学を希望している方の場合、ぜひ心がけていただきたいのが、「いつか行きたい」ではなく、「〇年後までに行く」と明確に目標を設定しておくことです。特に女性看護師の場合、結婚・出産によって生活サイクルが大きく変わり、進学が難しくなってしまうことも珍しくありません。「いつか大学へ」と思っていても、そのいつかを叶えることが難しくなってしまうのです。

そのため、進学希望がある場合には、明確に「〇年後に入学する」と目標を定めたうえで、「じゃあこの年までに〇〇万円ためておこう」といった、具体的な目標をぜひ立てていくとよいと思います。

 

学歴によって「できない」ことはない!

卒業した学校にかかわらず、看護師国家資格を取得していれば、大学院や認定看護師の資格を取得することもできます。大切なのは、「私は〇〇学校卒だから…」と学歴を理由にせず、看護師として常に成長しつづけたいという向上心を失わないことです。そして、看護師としてどのように成長したいかを具体的に考えて行動することで、周囲のあなたへの評価も変わってくるはずです。

 

この記事を書いたのは

山村 真子

看護師として働きながら、ライターの仕事もしている、アラフォーママナース。看護系以外にも、育児や病気、介護など幅広い分野の執筆を行っています。時短勤務中だが、毎日定時に帰れるはずもなく、保育園の送迎はいつもギリギリなのが最近の悩み。

イラスト・k.nakano

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