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【連載】キャリアアップStory 私の「転職」と「いま」

【看護師の転職story】第5回 徴候をキャッチして即対応できる看護師を増やしたい~救急看護師~

  • 公開日: 2009/3/31
  • 更新日: 2020/4/2

 

救命救急の知識を看護師がしっかりと身に付けることで、患者さんへの負担や後遺症が軽減し、家族への対応もできるようになる──そう実感した救急看護師は、一般病棟でも急変対応への知識の普及やスキルアップが必要と確信しました。院内学習会や事例検討会を通して、急変時の実践知識の普及に努める上川さんの取り組みを紹介します。

本番さながらの防災訓練を実施

「この防護服は外部との通気を遮断するため、会話が困難です。そのため、マイクを使って話をします」

山梨県立中央病院では、化学テロを想定した防災訓練の真っ最中。同院救命救急センター主任の上川智彦さんが、師長たちに説明をします。

救急看護認定看護師でもある上川さんは、その活動の一環として、院内防災訓練に関する計画立案、必要物品の準備などを担当しています。

この日の訓練は、師長などの管理職に向けての実演といった意味合いもあり、訓練の必要性や流れ、必要物品などについて師長たちに説明し、参加スタッフの動きなどを確認、問題点をチェックしました。

領域を超えて認定看護師たちが協働

上川さんの院内での主な活動は、新人研修、院内学習会の企画・開催、救急カートを含めた院内救急関連の環境整備、院内の他領域の認定看護師とのリンク活動などがあります。

「認定看護師のリンク活動では、関連する領域の認定看護師が一緒に実践します。例えば、病棟から依頼のあった患者さんの問題について、それぞれの専門領域の視点から意見を出し合い、その問題に関連する領域の認定看護師が病棟を訪問し、スタッフとケアについて相談するわけです。

ほかにも、私の場合なら、子どもやその家族に関して小児救急認定看護師と話し合ってケアを提供したり、救命救急センターで起きている感染について感染管理認定看護師と相談したりと、互いの知識・技術を提供し合っています」

さらに、教育活動でも協働しており、上川さんは小児救急、集中ケアの認定看護師と一緒に、呼吸器疾患に関する講座をシリーズで開催してもいます。

化学テロを想定した訓練で、説明をする上川さんの写真

化学テロを想定した訓練で、説明をする上川さん。救命救急センターに搬送されてきた患者さんには、防護服を着た医療者が対応する。患者さんはまず、背後に見えるテント設備内でシャワーの処置を受けてから、院内に入る

テント内で模擬患者さんのシャワー処置をする上川さんの写真

テント内で模擬患者さんのシャワー処置をする上川さん。シャワー室内は、自力歩行のできる患者さんと、ストレッチャー搬送の患者さんのスペースに分けられている。防護服を着て対応するのは、救急部署の看護師3人と医師2人。この合計5人で1チームとなる

看護師の知識が患者ケアの幅を広げる

院内教育に邁進する上川さんは、看護経験5年目のころにACLS(Advanced Cardiovascular Life Support:二次救命処置)プロバイダーコースを受講し、看護師が知識を身に付けることの重要性を認識したといいます。

「ACLSが身に付くと、医師の次の動きが予測でき、医師から指示を受ける前に自分のすべきことがわかり、精神的にも時間的にも余裕ができたのです。それによって、治療時間が短縮され、患者さんの負担を軽減できたり、患者さんへの声かけ、家族への対応ができたりするようになりました」

このような実感を得た上川さんは、周囲に知識・技術を伝えることで、さらなるケアの質の向上、患者さんの利益を目指せると確信。ACLSインストラクターコースを受講し、自身の役割を見いだしていったのです。

院内のニーズに合わせた内容と工夫を盛り込んで

上川さんが学習会を開催するときは、事前に企画書を提出して、看護部の了承を得てから実施します。

「院外の講習であれば、そのテーマに関心を持つ人が集まりますが、院内の場合はテーマの主旨を理解してもらい、いかに関心を引き付けるかが重要なポイントの一つです。そのため、自分の考えをきちんと伝えるようにし、また、一方的な説明にならないように、できるだけ参加型の学習会にしています」

クイズ形式にしたり、事例検討のような実践レベルの内容を盛り込んだり、シミュレーションをしたり、参加者が自然と関心をもつように工夫しています。そうすると、開始時は緊張していた参加者の表情も明るくなり、質問が多くなるなどの反応が返ってくるそうです。

院内での急変看護学習会は、ある病棟での急変事例で、「戸惑ってしまって、どうしたらいいのかわからなかった」という看護師の声と、「看護師の対応が、もう少しスムーズになれば」といった医師の要望をきっかけに開催されました。そのため、その病棟での二次救命に即した内容を講習に盛り込みました。

このように、院内のスタッフがどのようなニーズをもっているのかも、学習会の構想を練るときの大切なポイントです。

次ページに続きます。

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