• 公開日: 2020/4/1
  • 更新日: 2020/5/18

フルタイムVS時短、どっちがいい?育児と仕事を両立させるには

働き方改革が進められ、家庭と仕事の両立支援も注目されていますが、まだまだ男性の家児・育児への参加率も低く*1、両立に悩む女性も多くいらっしゃいます。筆者も子どもが1歳の時にフルタイムで働いていましたが、ワンオペ育児×残業続きの毎日で体調を崩し、働き方にとても悩みました。

子育て世代は教育費などの負担も大きく、故にフルタイムを選択する人もいますが、実は時短勤務の時の方が貯金できていたというケースも多くみられます。どのような働き方を選択していけばいいのか、お金だけではなく、様々な視点から見ていきましょう。

 

フルタイムVS時短勤務

時短勤務は短縮した時間分お給料も減額となる場合が多く、子どもの教育費も考えると家計の負担が大きくなるのではないかと不安に感じ、フルタイムを選択する人もいます。しかし、1時間という時間的余裕ができるだけでも、心に余裕ができて子どもへの接し方までも変わってくるなんていうケースもあります。

フルタイムより時短の方が貯金はできる?

月収30万円で労働時間8時間、1か月の勤務日数20日の場合、1時間の時間短縮勤務では単純計算すると、日給1.5万円、時給1、875円となるため、減給となる金額は3万7500円となります。フルタイムでは時間の余裕が少なくなるため、家事などの時短のための出費が多くなりがちです。

例えば復帰を機に食洗機やお掃除ロボを購入したり、洗濯機も乾燥機付きのものに変えたり。一時的な出費としても数十万円出ていきます。また、食費においてもお惣菜や冷凍食品が増えたり、外食やコンビニ弁当も増えてしまいがちで食費が2倍以上になるケースも。結果、時短勤務による減給分以上の出費となり、フルタイムの方が貯金ができなくなるという人も出てきます。

時間の有効活用

お金だけでなく、時間的なゆとりも見逃せません。例えたった1時間の短縮だとしても、子育て中にはとても貴重な1時間です。自分一人だとスムーズにいく準備も、子どもがいるだけで2倍以上時間がかかり、子どもが寝るまでは一息もつけないなんて事も多くあります。そこで1時間早く帰れるだけで、夕食準備や入浴、寝かしつけ等のスケジュールにも余裕が生まれます。

筆者はクリニック勤務の際、自宅から近かったため1時間の時短と休憩時間を合わせて2時間外出させてもらっていました。この2時間で夕食準備や掃除・洗濯などの家事をまとめてこなすことが出来たのです。休憩時間に外出することに関しては施設によって取り決めは異なると思いますが、勤務状況やライフスタイルに合わせて工夫してみましょう。

 

時短勤務以外に利用できる制度まとめ

復職する時期によっても使える制度の内容は変わりますが、子どもが1歳になるまでは働く人は誰でも、「育児時間」という時間短縮勤務の制度が使えます。*2 時短と混同されがちですが、こちらは労働基準法(男女雇用機会均等法)による別の制度です。子どもが1歳過ぎてからの両立支援としては“育児介護休業法”が使えるようになります*3が、こちらの制度は雇用期間などの条件が職場ごとに定められているため、転職してしまうと使えないケースがあるため注意が必要です。

なお、これらの制度は自分で申請をしなければ使えない制度です。就業規則に制度利用のための条件や提出時期などが記載されている*4のでしっかり確認しましょう。その上で所定の申請用紙を記入し提出します。詳しくは上司や総務の担当者などに確認してみましょう。

両立支援制度

労働基準法
制度 内容 期間
育児時間 生後1年に達しない子どもを育てる女性は、1日2回各々少なくとも30分間の育児時間を請求できる 1歳まで
時間外・休日労働・深夜業の制限 妊産婦が請求した場合、事業主は時間外労働・休日労働・深夜業をさせてはならない 1歳まで

 

育児介護休業法
制度 内容 期間
短時間勤務制度 子どもを養育する男女労働者について、事業主は短時間勤務制度(1日原則として6時間)を設けなければならない 3歳まで
所定外労働(残業)の制限 子どもを養育する男女労働者が請求した場合、事業主は所定労働時間を超えて労働させてはならない 3歳まで
時間外労働・深夜業の制限 子どもを養育する男女労働者が請求した場合、事業主は1ヵ月で24時間、1年間で150時間を超える時間外労働や、午後10時~午前5時までの深夜労働をさせてはならない 小学校入学まで
子の看護休暇 子どもを養育する男女労働者は、事業主に申し出ることで、年次有給休暇とは別に1年間で5日間(子どもが2人以上なら10日)まで、病気・ケガをした子どもの看護や、子どもに予防接種および健康診断を受けさせるために休暇を取得できる 小学校入学まで

 

まとめ

育児と仕事の両立のための制度も整ってきましたが、すべてを完璧にこなすのは難しいです。無理をしすぎて体調を崩してしまうと家族へしわ寄せがきてしまうので、復職前に働き方や家事・育児の分担についてしっかり話し合っていきましょう。また、「家計の負担が大きくなるから働かなければならない」という考え方から、「働く時間を減らしても生活が維持するには何を見直せばいいのか」という視点に変え、家計と向き合うことで貯金額を増やすこともできます。ぜひ、広い視野を持って働き方を考えみてください。

 

参考文献

*1 内閣府“夫の協力 6歳未満の子供を持つ夫の家事・育児関連時間(1日当たり・国際比較)”(参照2020-1-31)
*2 神奈川県神奈川労働局“妊娠~出産~産休・育休~復職 まるっと解説!”(参照2020-1-31)
*3 厚生労働省“育児・介護休業法における制度の概要”(参照2020-1-31)
*4 厚生労働省“育児・介護休業法に関する規則の規定例・様式例”(参照2020-1-31)

この記事を書いたのは

看護師FP:高梨子あやの 看護師・2級FP技能士/日本FP協会認定AFP。HaMaLifeを立ち上げ、看護師やママのQOLアップのために、「無駄なお金を生きたお金にかえていくお金の整理」や「看護師+αの働き方」など発信中。

イラスト・まえかわしお

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