エッセイ

「老後2,000万円問題」ってなに?年金問題を看護師はどう乗り越えるか

2020/2/3

2019年6月に金融庁が公表した報告書*1が大きな話題となりました。

「年金がもらえなくなるって本当?」
「老後に2,000万円必要になるってどういうこと?」
「このまま看護師を続けて大丈夫なのかな…」

“老後2,000万円“というフレーズを耳にして不安を感じていませんか?

安心して老後を迎えるためには、まず“老後2,000万円問題”の真相を知らなければなりません。そして、「人生100年時代」と呼ばれる現代を、看護師としてどのように働くか、キャリアプランを考えていきましょう。

本記事では2000万円問題の概要や年金について、看護師が考えるべきキャリアプランについて解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。

 

老後2000万円問題とは

「老後2000万円問題」とは、金融庁の報告書で、夫婦の老後資金に2,000万円が必要であるという試算が盛り込まれていたことが発端で注目を浴びている金額です。

2,000万円という金額は以下の根拠より算出されています。

  • 夫65歳、妻60歳で夫婦共に無職
  • 30年分の生活費(夫95歳、妻90歳まで)
  • その間の生活費は毎月5.5万円不足する
  • 毎年66万円、30年間で1,980万円の貯蓄を取り崩す
  • この2,000万円という数字は衝撃的ですが、この数字はあくまで「夫婦で余裕のある老後を65歳から送りたい場合に準備しておきたい金額」です。そして、しっかりと対策を考えていけば怖くありません。

    上記の試算では65歳から無職になっていますが、65歳以降でも現役で働いている看護師もたくさんいますよね。現役時代が長くなればその分、年金暮らしの期間が減りますので準備すべき老後資金も少なくてすみます。 できるだけ長く働き、年金に頼らないキャリアプランを描いていきましょう。

     

    看護師が受給できる年金

    キャリアプランを考える前に、老後資金の柱となる年金がどれくらい受給できるかのイメージを掴んでおきましょう。一般的な看護師が受給できる年金は「①国民年金」と「②厚生年金」です。

    ①国民年金は、1年間払い込むごとに受給できる年金額が約1万9500円増えていき40年間払い込むと約78万円に*2なります。

    ②厚生年金は、払い込んだ期間とその間の平均給与で決まります。一般的に厚生年金の加入期間が1年長くなると受給できる年金額が1~5万円増える*3とされています。

    ■Aさん:25歳から65歳までの40年間、常勤看護師として勤務した

    ①国民年金は40年間払い込むため満額の約78万円受給。
    ②厚生年金は40年間払い込み、1年ごとに3万円受給できるとすると120万円受給。

    Aさんの場合、「①78万円+②120万円=約198万円」という計算で、毎年約198万円の年金を受給できます。

    ■Bさん:20歳から30歳までの10年間常勤看護師として勤務、その後は専業主婦となった

    ①国民年金は10年間払い込み、30年間扶養されるので満額の約78万円受給。
    ②厚生年金は10年間払い込み、1年ごとに3万円受給できるとすると30万円受給。

    Bさんの場合、「①78万円+②30万円=約108万円」という計算で、毎年約108万円の年金を受給できます。

    年金の受給開始年齢は65歳が原則とされていますが、5年間の繰り上げ・繰り下げが可能です。

    繰り上げて年金を早くもらうと年間の受給金額が減り、繰り下げて遅くからもらい始めると年間の受給金額が増える仕組みになっています。満65歳で年金をもらい始めた場合の年間の受給金額を100%とすると、「満60歳で受給開始した場合は70%」「満70歳で受給開始した場合142%」となります。つまり、70歳まで看護師として働き続けられると、1年ごとの年金受給額は一番増えるのです。

    では、どのようなキャリアプランを持てば、看護師として長く働き続けられるかを見ていきましょう。

     

    高齢者化する社会で看護師に求められる役割

    看護師のキャリアプランに大きく影響するのが高齢者人口です。

    団塊世代(1947〜1949年生まれの人)が後期高齢者になる、いわゆる「2025年問題」が目前に迫っています。2025年には、3人に1人が65歳以上の高齢者、4人に1人が75歳以上の後期高齢者になる時代がやってくる*4のです。

    医療の対象者に占める高齢者の割合が増えるにつれて、看護師に期待される役割は以下のように拡大していく*5でしょう。

    ①地域包括ケアシステムに携わる

    地域包括ケアシステムとは、要介護状態の高齢者が住み慣れた地域へ戻るのを支援する仕組みです。2025年問題への対策として、国をあげて医療機関から地域へと療養の場の移行が進められています。

    診療報酬改定では急性期病棟の削減も始まり、在宅医療に高い診療報酬の点数が設定されました。今後は国の方針に沿って、地域包括ケアシステムに携わる看護師が増えていくでしょう。

    ②看護の枠を超えて多職種連携の中核を担う

    地域包括ケアシステムには多職種連携が欠かせません。

    医師、ケアマネジャー、介護職といった職種が十分に連携を図ることで高齢者が安心して地域で生活できます。この連携をスムーズに行うために看護師の役割は重大です。

    高齢者や家族に寄り添った視点から医療と介護をつなぐことができる看護師には、多職種連携での中核的な役割が期待されます。

    ③在宅や介護領域での求人ニーズが高まる

    看護師の求人ニーズが在宅や介護領域で高まることが予想されます。 求人ニーズが高まる領域での経験や知識を積んでおきましょう。 そうすれば、自分の体力が落ちてきても、これまで培ってきた経験や知識を生かした働き方に移行することができます。

    例えば、老健施設で働いたり、訪問看護事業所の所長や管理者になったりといった選択肢が挙げられます。

     

    社会環境の変化を見据えたキャリアプランを考えよう!

    看護師が年金問題を乗り越えるためには、長く働くことができるキャリアプランを考え、年金に頼らなければならない期間をできるだけ減らすことが大切です

    現役看護師でいられる期間を伸ばすポイントは、超高齢社会に突入する日本において、看護師が求められる役割を理解し、そこに向けて経験や知識を積み重ねておくことです。

    看護師の働き方は多様化しており、病院で働くだけが選択肢ではなくなりつつあります。社会環境の変化を見据えたキャリアプランを考えることが、看護師が年金問題を乗り越えるためのポイントです。

     

    参考文献

    *1 金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」(2019年6月3日)
    *2 老齢基礎年金の受給要件|日本年金機構(2019年12月24日閲覧)
    *3 わたしは年金いくらもらえる?年金のプロ・社会保険労務士が教えます|たあんと(2019年12月24日閲覧)
    *4 今後の高齢化の進展~2025年の超高齢社会像~(2006年9月27日)
    *5 2025年に向けた看護の挑戦 看護の将来ビジョン いのち・暮らし・尊厳をまもり支える看護(公益社団法人 日本看護協会、2015年6月)

    この記事を書いたのは

    看護師FP:しまづ 看護師として働く中で、お金の知識がないと時に自分や大切な家族の生活を脅かすことを実感し、ファイナンシャルプランナーの資格も取得。みなさんのお財布の健康を守るお手伝いをさせていただきます!

    イラスト・まえかわしお

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