看護師の職場というと、「女性が多いから、いじめも少なくない」という意見が少なくありません。今回は、看護の世界でいじめられないようにする秘訣をお伝えします。
看護師の世界でよくあるいじめのケース
看護師は周囲の人とコミュニケーションをとりながら仕事をしなくてはいけません。しかし、実際には職場で以下のようないじめのケースが、残念ながらよくみられます。
話しかけても無視される
これは主に先輩から後輩に対して行われるいじめです。挨拶をしても何の反応もしてくれない。報告をしたいと思って話しかけても、そのまま無視して通り過ぎてしまう。
こういったことが続いてしまうと、後輩も話しかけるタイミングを逸してしまうため、話しかけたくても話しかけられない、というシーンが多くなり、結果として看護師の仕事の基本である「コミュニケーション」がとれなくなってしまいます。
情報が自分だけ回ってきていない
患者さんの状態は、日々変化しますし、その変化に応じて行われる医療的ケアも日々変わります。「Aさんは昨日から特に吐き気が強いので、今日から吐き気止めのお薬が開始となった」「Bさんは昨日尻餅をつきそうになったので、起き上がり時には特に注意が必要」こういった患者さんについての細かい情報は、記録として残すとともに、看護師同士のコミュニケーション内にて共有が行われます。
しかしこういった情報を仲間内だけで共有してしまい、特定の人へ意図的に流さない場合、それも仕事の妨害であるとともに、いじめといえます。
自分だけ仕事以外の集まりに呼ばれない
昨今の社会背景により、以前に比べると減少しているものの、「歓迎会」や「納涼会」、「忘年会」として年に数回行われる職場での集まりのほかに、職員同士で食事に行くなど、仕事以外での集まりもあります。そうした集まりに、特定の人だけ呼ばないというのもまた、いじめのひとつといえます。
「同期同士の集まりだったのに、私だけ声もかけられなかった」「後からそういった集まりがあったことを知った」というのは、精神的にもショックですし、その後の人間関係にも響いてしまいます。
いじめのターゲットにされないために
いじめは、特定の人をターゲットにして行われます。そして、残念ながら様々なタイプがいる職場だからこそ、どうしてもいじめというものはつきまとってきます。
では、どうすればそういったターゲットにされずにすむのでしょうか?
職場内での「味方」を見つけよう
職場にいるすべての人と同等に仲良くなることは難しいですが、まずは職場内で一人でも良いので「信頼できる味方」を見つけることが大切です。
一人でも職場の悩みや不満についても話すことができる人がいれば、それだけでとても心強いですし、2人以上まとまって行動することで、ターゲットにもなりにくくなります。
仕事内容の改善点を探してみよう
仕事をしているとき、つい先輩たちの視線のみを気にしてしまっていませんか?看護師として、本来向き合わなくてはいけないのは、先輩ではなく患者さんたちです。
そこで、先輩の反応ではなく、仕事内容「のみ」を振り返り、自分の仕事の仕方についての改善点を探してみましょう。そうすることで、自然と仕事に対する取り組み方が変わり、先輩たちの目線もまた違った方へ向けることができるかもしれません。
「仲良くしなきゃ」という思い込みを捨てよう
職場の人たちとは、必ずしも「仲良くしなければいけない」わけではありません。学校とは違い、職場はあくまで仕事をする同士であり、無理をして仲良くする必要はないのです。
「仲良くしなければ、仕事もうまくまわらない」という考えを一度捨てて、「患者さんにとってどうすれば有益になるか」を考えて行動することで、職場での人間関係について、そこまで気を遣わなくてもよくなります。
最低限コミュニケーションをとれるようにしておけば、後は個人の自由です。自分が「仲間はずれにされている」と感じなければ、それはいじめではなくなります。自分を強く持ち、「この人間関係だけがすべてではない」という思いをぜひ強く持っていただけたらと思います。また、そうすることで毅然とした対応ができるため、いじめのターゲットになりにくいという利点もあります。
自分を変えてもダメならば、職場を変えるという方法もある
今回は、自分の考え方や行動を変えることでいじめのターゲットとならないようにしよう、という内容でお届けしましたが、「それでもダメ。毎日が辛い」と感じている方は、無理をせずに職場そのものを変えてしまうというのも、ひとつの手段だと考えます。
筆者も初めて仕事をした現場でいじめと思えることを繰り返し行われましたが、転職したことでそういった悩みから解放され、心身ともに充実した日々を送ることができました。
耐えることも大切ですが、それ以上に自分自身を守ることが一番大切です。ダメだと思ったら、職場を変えて心機一転頑張るという方法も、いじめへの対処方法としてぜひご紹介したいと思います。
この記事を書いたのは
山村 真子 看護師として働きながら、ライターの仕事もしている、アラフォーママナース。看護系以外にも、育児や病気、介護など幅広い分野の執筆を行っています。時短勤務中だが、毎日定時に帰れるはずもなく、保育園の送迎はいつもギリギリなのが最近の悩み。
イラスト・BUFFALO-PEKO