プリセプティとして、先輩から指導をしてもらっていた新人時代から数年経った今。まだまだ先輩から指導を受けている立場なのに、新人を指導するプリセプターなんてとんでもない!!そう思っていませんか?今回は、そんな漠然とした不安を抱える方へ、ぜひお伝えしたいことをまとめてみました。
こんなことが不安!プリセプターになれる?
プリセプターになるにあたって、なぜ不安に感じるのでしょうか?まずは、何に不安を感じているかについて、考えていきたいと思います。
まだ一人前の看護師じゃないと感じている
プリセプターは、新人看護師にとってまさに「一番頼りになる先輩」です。新人時代に自分を指導してくれた先輩看護師のように、自分はまだまだそこまで到達していないと感じてしまっていることはありませんか?
自分のことに精一杯で、とてもじゃないけれど後輩を教える余裕なんてない。だからこそ、自分のことに加えて後輩のサポートなんてできるだろうかと、不安が大きくなってしまいます。
自分以外にも適任の人がいっぱいいる
プリセプターに任命される人というのは、来年度入職予定の新人看護師の人数と同じです。そのため、プリセプターとして適任とされている3~5年目の間にプリセプターになることなく、そのままを経験重ねている先輩や、同期内でもプリセプターに指名されない人もいます。
プリセプターは、誰もがやらなければならないことではないため、「私以外にも適任の人はいるのに、なんで私なんだろう」と自分が任命された理由がわからず、不安を感じてしまいます。
人に何かを教えるタイプじゃない
人に何かを教える、というのは自分が完全に理解していなければできないことです。そして、相手がどこまで理解しているかを考え、その人が理解しやすいように伝えるというのは、かなり難しい技術でもあります。
元々そのようなことに対して、苦手意識を感じている方は、自分には向いていないと感じてしまい、大きな不安を抱いてしまいます。
なぜ、あなたがプリセプターなのか?
プリセプターに任命されたということは、自分を成長させるチャンスともいえます。そこで、どうしてあなたがプリセプターに指名されたのか、メリットはあるのか、指導役の経験者としてお伝えします。
看護師として一人前ならプリセプターに適任、というわけではない
まず、プリセプターになるにあたって理解しておきたいこと、それは「一人前の看護師だから、プリセプターに任命しているわけではない」ということです。
「私よりももっと仕事ができる人のほうが…」「私自身がまだまだ未熟なのに、人に教えるなんて」と思っている方もいるかと思いますが、プリセプターはそもそも、仕事の優秀さで任命される役割ではありません。むしろ相談役としての役割を期待されています。毎日あらゆる方面から様々な指導を受けるプリセプティにとって、プリセプターは一番近くにいて、相談に乗ってくれる先輩なのです。指導役だけに特化すれば、経験を積み、知識や経験が豊富な先輩方がやればいいことです。
では、そのような先輩方がプリセプターにならないのはなぜなのでしょうか。それは、「新人時代から年数が経っているため、新人特有の悩みに気づいてあげにくいから」です。新人時代を2~3年前に経験したばかりであり、新人看護師さんに一番寄り添える存在である、あなただからこそ任命しているのです。
「看護師として成長してほしい」という上司の想い
また、その経験を通して、より看護師として成長してほしい、という主任や師長の想いも込められています。自分のことだけで頭がいっぱいだった新人時代や2年目を経て、自分のことに加え、プリセプティのことを考えるプリセプターを経験すると、周囲の状況を把握した上で仕事ができるようになり、看護師としてより成長できるはずです。
人に教えることで看護技術の再確認
プリセプターは時として、プリセプティと一対一で看護技術を指導することもあります。こうした指導をするということは、実は自分にとって一番良い勉強となります。人に教えるためには、まず自分がその行程とエビデンスを理解しなければいけません。そのため、自分にとっても看護技術の確認になるのです。それがもう一度、自分も看護について学び直すきっかけとなり、結果として自分自身が看護師として成長することができます。
新人ナースに寄り添い、一緒に成長していこう!
プリセプターになると、つい「新人ナースを育てていかなければ」という気持ちをもってしまいがちです。しかしそう思い込んでしまうと指導方法などに悩んでしまい、「自分はなんてできない先輩なんだろう」と落ち込みやすくなってしまいます。
プリセプターとして大事なことは、「新人ナースと一緒に成長していこう」という姿勢。それがプリセプターとして大切な心構えだと考えます。頑張れ、プリセプター!!
この記事を書いたのは
山村 真子
看護師として働きながら、ライターの仕事もしている、アラフォーママナース。看護系以外にも、育児や病気、介護など幅広い分野の執筆を行っています。時短勤務中だが、毎日定時に帰れるはずもなく、保育園の送迎はいつもギリギリなのが最近の悩み。
イラスト・k.nakano