会社員や主婦など、さまざまな経験を積んでから、看護師の道を志す方も増えてきています。 看護師免許を取得し、晴れて看護師として働き始めた時、多くの社会人経験のあるナースにとって問題になるのが「“年下”先輩ナースとの人間関係」です。そこで今回は、「“年下”先輩ナースとの関係性」について考えていきたいと思います。
問題になりやすいのは、こんな部分
“年下”先輩ナースとの関係を築く上で、問題となりがちなのはどういった部分なのでしょうか?まずはそこから考えてみましょう。
ケース1 年下過ぎて、普段どういった口調で接すれば良いかわからない
看護師として2~3年経験を積んだナースが、新人ナースとペアを組んで指導を行う、という方法が近年多く採用されています。そのため、多くの社会人経験のある新卒ナースは、指導役の先輩ナースが自分より年下、という場面に遭遇します。
実際の年齢ではこちらが年上でも、仕事としては新人。後輩として敬語を使うものの、年下先輩ナースからあからさまなため口で話されると、気持ち的に戸惑うこともあると思います。
ケース2 先輩ナースたちの基本的な社会マナーができていないのが気になってしまう
特に会社勤め経験のある社会人ナースがよく思うことの一つとして、「基本的な社会人としてのマナーができていない人が多い」と感じるケースも多いように思います。
高校生からそのまま看護学校へ進学していると「病院」というクローズドな環境でしか社会を学ぶ機会がありません。そのため、会社内で教わるような基礎的ともいえる社会人としてのマナーがあまり身に付いていないことも。そんな年下先輩ナースを見ると、社会人経験のある新卒ナースは、違和感を覚えてしまうことがあるのではないでしょうか?
ケース3 子どもや家庭への配慮がない
特に、既にお子さんがいる場合、仕事と同時に育児や家事もこなさなくてはいけません。しかし、独身の先輩ナースの割合が高い職場だと、社会人経験のある新人ナースのこういったケースに配慮がないのが実情です。
それどころか、「新卒なんだからこれくらい当然でしょ?」と、勤務時間が終わってからも振り返りや課題についての話をされることも。そういう先輩ナースに対して「両立の苦労もしらないで・・・」と思ってしまい、関係が悪化していく・・・なんて事態も。
“年下”先輩ナースへは、こう対応!
実際に年上の後輩ナース指導経験のある筆者が、年下の先輩ナースへの対処方法として、ぜひ試していただきたい3つのことをご紹介します!
相手が誰であっても敬語を崩さない
どんなに年下先輩ナースの口調がため口でイライラしてしまっても、「先輩だ」という敬意を表するという意味で、敬語は崩さないほうがよいでしょう。
これは筆者の実体験なのですが、以前勤務していた職場では、特に40代以上の新卒ナースが毎年のように採用されていました。そして、年下先輩ナースに対して「うちの娘より若いわね」と言ったり、ため口で「あぁ、ごめんね。ちょっと間違えちゃった」と言ったりするような新卒ナースは、残念ながら周囲からの評価は低いままでした。
逆に、誰に対しても敬語を使う新卒ナースは、たとえ40代以上で歳が離れていても全く問題なく関係性を築き、他の新卒ナースよりも早い段階で次々と責任のある仕事を任せてもらえるようになっていました。
敬語を使うことで、「きちんと先輩/後輩を線引きしている」ことを示せるため(そしてそれによって、先輩ナースは快く思うため)まずは敬語を崩さないことを、ぜひ意識してみてください。
社会人として気になることがあれば、役職のついた上司へ報告・相談する
年下先輩ナース達より年齢を重ねているからこそわかる、社会人として気になる部分。これについては、直接、年下先輩ナースへ伝えるのではなく、役職のついた上司、主任や師長へ報告することをオススメします。
年下先輩ナースへ直接伝えてしまうと、先輩ナースとしては「なんで新卒の人に注意されなければいけないんだ」となってしまい、素直に受け止めてもらうことは難しいものです。あえて当事者を飛ばして直接上司へ伝え、上司からさりげなく指導してもらうほうが、後々トラブルにならずに済みます。特に師長レベルならば、比較的自分と年が近いということもあるため、話しやすいというメリットもあります。
「子どもがいるので無理です」で終わらせず、代替え案を同時に提案する
すでに家庭があり、子育て中の新卒ナースの場合、保育園へのお迎えなどで早く帰らなければいけないというのは、よくあることです。ここで大事なのが「子どもがいるので、できません」で終わらせず、同時に必ず代替え案を提案する、ということです。
例えば「今日はお迎えの時間が迫っているので難しいですが、〇日は家族が代わりにお迎えへ行ってくれることになっているので、その日ならば大丈夫です」というようにすると、先輩ナースも「そうか、その日は大丈夫なのか。なら今日は仕方ないな」と肯定的に捉えてもらえるはずです。
子育てに限らず、みんなそれぞれ、さまざまな事情を抱えながら仕事をしています。自分の権利ばかり主張してしまうと、先輩ナースの印象はさらに悪くなってしまうので、控えたほうが無難です。
社会人経験を、病棟でのメリットにしよう!
「私はもう若くないから」なんて、自分の社会人経験をデメリットにするのではなく、ぜひ「社会人経験があるからこそ気づけること」を強みにしていただけたらと思います。 自分の強みを生かして、今日も一緒に頑張りましょう!
この記事を書いたのは
山村 真子
看護師として働きながら、ライターの仕事もしている、アラフォーママナース。看護系以外にも、育児や病気、介護など幅広い分野の執筆を行っています。時短勤務中だが、毎日定時に帰れるはずもなく、保育園の送迎はいつもギリギリなのが最近の悩み。
イラスト・はや舌