こんにちは、看護師のsin.cos.tanです。 前回、いじめ加害者の心理、いじめることのメリットについて触れました。
今回は、集団(病院組織)という視点から、いじめを捉えてみたいと思います。 「人の命を救いたい、健康を守りたい」という共通目標を持つ、医療集団でなぜいじめが起こるのか?そして、なぜ止めないのか?を考察していきます。
良識を持った医療者の間でいじめが起こるのはなぜか?
集団という視点から考える
いじめを傍で見ているはずの医療者。しかし、なぜいじめを止めないのかを不思議に思います。 教科書としてよく使われている文献、「精神看護の基礎」でこのような文があります。
集団というのは、その中で不安が生じると退行し、依存的になる
実は集団というものは、単純な個人の足し算にはなりません。グループになった途端、1人では想像もできない行動をとることがあるのです。
たとえば、暴走族やサッカーファンの暴徒化(フーリガン)など、渋谷ハロウィンの暴徒化も記憶に新しいことでしょう。
病棟の中のスタッフもいわば集団です。 同じようなことが起こるのでしょう。しかし、退行し依存的になった結果、何が起こるのでしょうか?
それは、生贄(いけにえ)の存在です。
生贄的役割の人がいることで、集団が一致団結(凝集性)しようとする働きが生まれます。詳しく見ていきましょう。
生贄が生まれるメカニズム
- グループの中に不安が生じる
- それにより依存的になる
- その依存が満たされないと、今度は分裂(スプリッティング)しようとする
- そこから対立や抗争が生じたり、特定のメンバーを標的にして全員で攻撃する
- 結果、グループの分裂を防ぐことになる
このような闘争モードに入り、戦う相手を作ります。
つまり、集団が分裂しないために特定の敵を作るのです。
いくらベテランの医療職でも、病院という命の現場での業務は、不安の連続。 消化できることのない連続した不安が、依存や退行が生じさせているのは間違いないでしょう。
いわゆる「お局様」と呼ばれるいい大人が、ワケの分からないルールを振り回し、横暴な態度を撒き散らす。それも依存や退行の表れなのかもしれません。
いずれにしても、今にも分裂しそうな集団(病棟)を繋ぎ止るために、生贄が必要な状態になってしまっていると考えられます。
その生贄が、新人看護師になってしまっているのではないでしょうか。
なぜ周りの人はいじめを止めないのか?
「最初は普通に接してくれる先輩達もいました。でも今は…
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