ナースとして働く中で、死生観や看護観について、あらためて考える瞬間はありませんか?どうやって生きて、どうやって人生を終えるのか、看護師として何ができるのか…
今回は、みみりを さんのストーリーをお届けします。
看護学生時代に出会った、終末期の患者さん
看護学生時代の話です。私が受け持った患者さんは、私が来る前のクールの学生が受け持っていた患者さん。学生間で申し送りを行い、月単位で経過してるとの話でした。とても気持ちの良い患者さんで、でも情緒不安定な面もあると話を聞いていました。
実際に私が初めて患者さんにお会いしたときの印象は、何でも一人でできるし、中々ターミナルというイメージではありませんでした。ただ、リンパ浮腫が著明で痛みが辛そうだな…という感じでした。
「ごめんね」と言われて
しかし日々過ごしていくなかで、麻薬の使用が始まったり、日に日に増量されていったり、そのうち歩けなくなって、何をしてても傾眠傾向が著明になって、眼球が上転するようになって、どんどん話もできなくなりました。
そんなある日、傾眠傾向ながらに患者さんが涙を流しながら、『ごめんね』と言ってきました。
教科書や解答の通りに返答するなら、受け止めて『そう思っていたんですね』と言うべきだったのでしょうね。
でもあの空気感や患者さんの想いは、そんな簡単な言葉では表せないものでした。
看護にゴールはない
なんて言ったらいいのか、なんて言うべきだったのか、今でも答えは出ていません。看護にゴールはないと思った初めての出来事だったと思います。
あの患者さんがいたから今の私があると思います。これからも初心を忘れず、看護に迷ったらあの患者さんのことを思い出して、看護を提供していきたいと思います。