「カッコーの巣の上で」
監督/主演俳優
監督:ミロス・フォアマン
主演:ジャック・ニコルソン
あらすじ
主人公のマクマーフィーは刑務所から逃れるために精神病院に(詐病によって)入院してきた。向精神薬を飲んだふりをしてごまかし、婦長の定めた病棟のルールに片っ端から反抗していく。グループセラピーなどやめてテレビでワールドシリーズを観たいと主張し、他の患者たちに多数決を取ったりなどする。最初は患者たちは決められた生活を望むが、マクマーフィーとともに生活をするうちに彼に賛同するようになる。
またほかの患者と無断で外出し船に乗せて、マクマーフィーの女友達とともに海へ釣りへ行く。こうした反抗的な行動が管理主義的な婦長の逆鱗に触れ、彼女はマクマーフィーが病院から出ることができないようにしてしまう。
ある日患者が騒動を起こした際、止めようとしたマクマーフィーも一緒に、お仕置きである電気けいれん療法を受けさせられてしまう。マクマーフィーは、しゃべることのできないネイティブアメリカンであるチーフとともに順番を待っていたが、実際は彼がしゃべれないフリをしていることに気づき、一緒に病院から脱出しようと約束する。しかしチーフは、自分は小さな人間だとその誘いを断る。
クリスマスの夜、マクマーフィーは病棟に女友達を連れ込み、酒を持ち込んでどんちゃん騒ぎをやる。一騒ぎ終わった後別れようとするときになって、ビリーが女友達の一人を好いていることに気づく。ビリーはマクマーフィーに可愛がられていた。マクマーフィーは女友達に、ビリーとセックスをするよう頼み込み、二人は個室に入っていく。二人の行為が終わるのを待っている間、酒も廻り、ついに寝過ごしてしまう。
翌朝、乱痴気騒ぎが発覚し、そのことを婦長からビリーは激しく糾弾され、母親に報告すると告げられる。そのショックでビリーは自殺してしまう。マクマーフィーは激昂し、彼女を絞殺しようとする。婦長を絞殺しようとしたマクマーフィーは他の入院患者と隔離される。
チーフはついに逃げ出す覚悟をしマクマーフィーを待っていたが、戻ってきたマクマーフィーは病院が行った治療(ロボトミー)によって、もはや言葉もしゃべれず、正常な思考もできない廃人のような姿になっていた。
チーフはマクマーフィーを窒息死させ、「持ち上げた者には奇跡が起きる」とマクマーフィーが言った水飲み台を持ち上げて窓を破り、精神病院を脱走する。
おすすめポイント
1975年作。ジャック・ニコルソンがアカデミー主演男優賞を受賞した作品(作品賞、監督賞、主演女優賞、脚色賞も受賞)。
いや強烈。精神病院の話なのだが、ここでのジャック・ニコルソンは、その判定が曖昧だがとりあえず病院にぶち込まれた的な立場。それまで本当に精神に障害がある患者を相手に毎日同じスケジュールで仕事をこなしていた婦長(ルイーズ・フレッチャー)は、今までに居ないタイプの患者(ジャック・ニコルソン)に魅力を感じ、だからこそ自分の監視下にずっと置いておきたかったのだろうと。
正直なところ、衝撃のラストシーンも含めて人権蹂躙紙一重なのだが、ジャック・ニコルソン含め、患者役の役者がどいつもこいつも怪演で、くすっと笑ってしまうシーンも有り…。
観終わったばかりの今は、面白かったとか凄いとか深いとか、何を言っても陳腐な感想になってしまうくらい、複雑な気持ちです。これは久々にズシっと来た映画でした。いつかまた観ようと思います。