エッセイ

看護師のためのストレス回避術!アンガーマネジメントで「怒り」をコントロールする方法

2019/11/20

看護師は「感情労働」です。毎日たくさんの患者さん・家族・スタッフと関わるため、考え方の違いや他人の行動に、つい「イラッ」としてしまうことがあります。今回は看護師が仕事上で抱えるストレス、とくに「怒り」の感情にフォーカスを当て、怒りに振り回されず仕事をするための方法をご紹介します。

 

看護師が怒りを感じるのはこんな場面

みなさんは、日常のどんな場面で怒りを感じますか?私が実際に「こんなときにイラッとした!」という場面を思い浮かべて書き出してみたところ、なんと10個以上もありました。怒りを感じるポイントは人それぞれですが、みなさんもこんなことにイラっとするのではないでしょうか。

ナースコールを取らない同僚に「イラッ」!

真っ先に思い浮かんだのがこれです。みなさんの周りにもいないでしょうか?ナースコールが鳴っているのに、あえて(?)取らない同僚が…実際に、私が職場でよく耳にした不満も「〇〇さんはいつもナースコールを取らない」というものでした。

よほどの理由がない限り、看護師は仕事の手を止めてナースコールに対応します。そんな中でいつも自分の仕事を優先する、担当患者のナースコールさえ取らない看護師を見ると、つい「イラッ」としてしまいます。

依頼したことをやってくれない、態度が横柄な医師に「イラッ」!

患者さんを診察してほしい、処置をやってほしい、点滴の指示を出してほしい。このような日常業務をすんなりやってくれる医師もいますが、残念ながらそうでない医師もいます。当然患者さんを待たせることになり、看護師の仕事も滞ります。

しまいには「いつになったらやってもらえるの?」と患者さんや家族からお叱りを受けることも…丁重に謝罪し、再度医師にお願いするとあからさまにムッとされ、「どうして私がこんな嫌な思いをしなきゃいけないの?」と悲しくなります。

なかなか仕事を覚えない新人看護師に「イラッ」!

質問するのは悪いことではありません。安全に看護をするためには、質問・相談をすることが大切だと頭ではわかっているのですが、「今すごく忙しいのに!」「前にもそれ教えなかったっけ?」と思うことが多々あります。キツく当たったことを後悔し、自分の器の小ささに自己嫌悪に陥ることも…

 

イライラが止められない!そんなときのアンガーマネジメントの方法

そもそも、「怒り」とはなんでしょうか?精神科医として、対人関係療法を専門にする水島広子さんによると「怒りというのは、自分が『困った状況に置かれている』ことを示す感情」*1だといいます。つまり、相手や出来事そのものに怒りを感じるというよりは、それによって自分自身が「困っている」「傷ついている」から怒りが生まれるのです。

さらに、何に対して「困る」「傷つく」かは、物事の捉え方・価値観によって一人ひとり異なります。私たちは、あらゆる物事を「価値観」というフィルターを通して見ているため、フィルターを調整してあげることで感情のコントロールが可能です。この「怒りをコントロールする」という考え方を「アンガーマネジメント」といいます。

ここからは、日本における「アンガーマネジメント」の第一人者である安藤俊介さんの著書*2をもとに、怒りをコントロールする方法について見ていきましょう。

イラッとしたら「6秒待つ」

怒りの感情のピークはおよそ6秒。この6秒をやり過ごすことができれば、他人との感情的な衝突を避けられます。意識をそらすために数をかぞえる、いったんその場から離れるなどの方法があります。次に紹介する「コーピングマントラ」を唱えてもいいでしょう。

気持ちを落ち着かせる「コーピングマントラ」

怒りを感じたら、自分を落ち着かせるためのフレーズを唱えます。「大丈夫」「リラックス」など何でもかまいません。言葉ではなく、深呼吸や伸びをするといった動作でもOKです。

自分の「感情のクセ」を知る

安藤氏によると、怒りは一種の「感情のクセ」だといいます。他人のミスに対して「許せない」と考えるか、「誰だってミスをする」と考えるか。自分の仕事を優先する同僚を「ズルい」と思うか、「業務に余裕がないのね」と思えるか。

自分の考え方のクセを自覚することが、怒りをコントロールする第一歩です。怒りを感じたら、それを紙に書き出してみましょう。そうすることで「自分はどんなことに怒りを感じやすいか」という傾向が見えてきます。

自分が信じる「〇〇べき」を絶対視しない

自分基準の「〇〇べき」というのも要注意です。怒りを感じるかどうかは自分の捉え方次第ですから、自分の価値観が絶対だと思っているうちは、他人を許すことはできません。「〇〇して当然」「〇〇するのが正しい」という自分の中の正義が、「他人にとってそうとは限らない」ということを認めましょう。

変えられないことにこだわらない

よく「過去と他人は変えられない」といいます。すでに起きてしまったことや他人の性格・行動は変えることができません。コントロール不可能なことにエネルギーを使うより、いっそ「仕方がない」「そういうものだ」と受け入れる、もしくは受け流すほうが精神的にラクになれます。

不快な感情や相手に気付いてほしいことはきちんと伝える

アンガーマネジメントの目的は、怒りを我慢することではありません。怒りは「困っている」「傷ついている」ために生まれる感情なので、怒りに蓋をすることは自分の感情から目をそらすことになります。勇気のいることですが、「こんな態度を取られて傷ついた」「お互いに気持ちよく仕事をするために、どうやったらいいかきちんと話したい」と伝えることが大切です。

一番よくないのは「察してほしい」と沈黙すること。言葉にしなければ相手には伝わりませんし、感情を抑えることで新たな怒りを生み出すリスクがあります。

 

怒りは自分でコントロールできる!

怒りの正体は「困っている」「傷ついている」という自分自身の心の叫び、そして物事をどのように解釈するかという価値観が生み出すものです。「イラッ」とすることがあったら、今回お伝えしたアンガーマネジメントの方法をひとつでも試してみてください。

怒りをコントロールすることは対人関係を円滑にするだけでなく、あらゆる物事を前向きに捉え、気分良く生きるための必須スキルなのです。

参考・引用文献

*1『それでいい。自分を認めてラクになる対人関係入門』(細川貂々・水島広子 著 創元社)

*2『自分の「怒り」タイプを知ってコントロールする はじめての「アンガーマネジメント」実践ブック』(安藤俊介 著 ディスカバー・トゥエンティワン)※電子書籍

この記事を書いたのは

遠藤 愛 看護師として約13年間病院勤務。病院時代、高齢患者と家族の介護問題に直面したことをきっかけに、介護老人保健施設・訪問看護に従事。現在は看護師の知識と経験を活かし、ライターとして活動中。

イラスト・まえかわしお

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