編集部セレクション
  • 公開日: 2025/5/7

筋注後に揉むのはNGなんじゃないの!?

「ラウンジ☆セレクト」は「ラウンジ」で盛り上がった話題と、そこに寄せられたみなさんのご意見を紹介しています。

 今回のトピック 
先日、転職先で筋肉注射をしました。それを見ていたコメディカルに「ちゃんと揉んで!」と怒鳴られました。
その後、指導看護師に、揉んでと言われたこと、薬剤の特性を把握していなかったので結果的に揉んだことを報告しました。
すると指導看護師は「今は揉まないの!?」「私も古い知識しかなくて…」と言いました。

私こそ、看護学校を卒業したのは10年以上前です。もちろん「揉む」と習いました。しかし、「今は揉まない」「アタラックスPは特に揉んではいけない」この2つは知っています。
それに、「揉んではいけない薬はあるが、揉まなければならない薬はない」と思っていたので、今回のことは考えさせられました。
その後調べましたが、揉まなければならない薬も極わずかですが、あるようですね。今回使用した薬剤はその中にはありませんでしたが。

看護師歴が長い方に質問です。筋肉注射の後、揉んでいますか?
また、私は次回からどうしたらよいのでしょうか。郷に入れば…で、揉むべきか、エビデンスに従って、揉まないか。
私は揉みたくありません。いろいろな意見をお伺いしたいです。

 

筋注後に揉むのはNGじゃないの?

■揉みません

文献にも揉んではいけない。はありますが、揉みなさいは無いので揉む必要はない

揉んではいけないものがあり、揉むことにさほどの意味がないという発表を見てからは、基本的に揉んでいません。

薬剤によって揉まない、揉むのが結論じゃないですか?普段、揉まない薬剤ばかりなので、揉みません。

■揉む派とその理由

新人の時初めて筋肉注射をする際に、先輩から「筋肉注射は穿刺によって筋繊維が傷つくこと、薬剤が浸透することで痛みを生じるから、揉んで。」と指導を受けたことがあるので、揉むようにしています。

揉まないと硬結するかと心配で揉んじゃうかな。全くエビデンスない(汗)

定期的に筋肉注射を受けていますが、あまりに痛いので揉んでくれーって思います。注入する薬剤の量が多いから、痛いんだよねーと、注射をする看護師もよく揉んでくれてます。よく揉んでもらった方が、痛みが軽く感じられます。
揉んではいけない薬でなければ、揉んでもらった方が楽な場合もありますよ、という、いち患者の意見です。

基本は揉みませんが、痛いしシコリになるから揉んで欲しいと希望する患者さんもいるので、その時は揉みます。

揉んではいけない薬をきちんと知り、それ以外のものは、揉んではいますね。理由は、筋注はかなり疼痛があります。筋注後に揉む事で、疼痛が緩和出来るからです。

■エビデンスは…?

医学書院の基礎看護技術2という教科書の筋肉内注射の項目には以下のように記載がありました。
以下抜粋です。
「薬液の吸収を促進するために、注射部位をよくマッサージするように説明する(薬剤によってはマッサージをしてはいけないものもあるので留意する)。注射部位に薬液が長く残ると硬結する場合がある。患者が自力でできないときには看護師が行う。」

一般的に浸透圧の高い注射薬の場合は、薬剤の刺激による組織の炎症と、細胞から水分を吸収することにより硬結を生じやすいためマッサージが行われます。(マッサージする)目的は、薬剤を広く拡散して、吸収を促進させることと、薬剤の局所貯留によって起こる硬結や疼痛等の局所の副作用を軽減させることとされています。

■揉んではいけない薬剤って?

2011年の情報では、「もんではいけないもの」として、ケナコルトA・サンドスタンチンLAR・オキセンドロン・リスペリドン・ヒドロキシジンと記載されていました。

インシュリンも皮下注ですがこれも揉むと吸収が早まり持続時間が短くなったり、低血糖をおこしたりするので揉みませんね。
また、ステロイド製剤は揉むと脂肪層へ逆流し、脂肪が融解をおこし、陥没するので揉んではいません

■今後の対応、ベストなのは…?

エビデンスを知らずに揉む揉まないにこだわるのではなく、薬剤の特徴を知ること、なぜこの患者にこの薬剤を投与するのかも知れば、看護技術が有効なものになるのではないでしょうか?

面倒ですが、筋注のたびに、この薬剤は揉むのかどうか、その理由を調べてからやります。覚えた知識が確実ではないこともありますし、確認に越したことはない。先輩といえども確実とはいえません。自信のないことは、患者にする前に確認すべきだと思います。

入職してから色々な薬剤があるので、その都度添付書類を確認するくせつけました。

エビデンスは恒久的に普遍なものものではありません。揉むことによる利益と不利益、揉まないことによる利益と不利益を天秤にかけているだけに過ぎません。いま、揉まないのが当たり前とタカをくくっていると、将来、指導的立場になったときに新人に笑われる「かも」しれませんね。

関連トピック:「 筋肉注射の後、揉みますか?
イラスト・なしま

関連記事

看護知識

ナース専科で看護知識を”学ぶ”記事ランキング