コラム
  • 公開日: 2022/5/12

【連載】知っておきたい お金のはなし

ズバリ!30代看護師向きの投資ってある?働き方別・おすすめ資産形成プラン

 仕事に慣れてきて、子どもにも恵まれ、気付けば30代。
 看護師さんは日々いろんな患者さんと接していることもあり、将来の資産形成を考えることが増えてくると思います。その一方で、こんなお悩みもあるのではないでしょうか?
 「そろそろ投資を始めたいけど、これから子どもの教育費がかかってくるので、あまり大きな金額はかけられない」
 「仕事と子育ての両立で忙しくて、投資や資産形成についてじっくり考える余裕がない」

 

 

 そこでこの記事では、30代で子どもが小さい看護師さんに適した投資をご紹介します。働き方によっても資産形成の方法は変わってくるため、この記事では【非常勤・パートの看護師向け】と【正職員 ・フルタイムの看護師向け】にそれぞれ適したプランを解説します。

 「投資を始めたいけど、教育費の負担もあるし続けられるか心配」という30代の看護師さんは、参考にしてみてください。




 

子どもが小さい30代のうちに、投資で資産形成を始めよう

 看護師の仕事にも慣れ、結婚・出産を経てライフプランも固まってくる30代は、投資で資産形成を始めるのに適した年代です。

 40代になると教育費の負担が増えてくるので、できれば今のうちに資産形成を始めておきたいですよね。

 ただし、ひと口に看護師といっても、パートタイムかフルタイムかで適した資産形成の方法は変わってきます。パートの場合は時間に余裕ができる反面、収入は少なくなり、家計に余裕がないというご家庭も少なくありません。一方でフルタイム勤務だと、収入があっても時間がないというご家庭が多いです。仕事と子育てで手がいっぱいで投資について勉強する時間が取れず、何をどうすればいいかわからない、といった悩みが出てくるのではないでしょうか。

 そこで、次項からは看護師さんの働き方別に、始めやすく続けやすい投資をご紹介します。ご自身の働き方に近いタイプの資産形成プランを参考に、各家庭で投資を始めてみてください。

【非常勤・パートの看護師向け】つみたてNISAで少額積立投資

 現在子育てのために非常勤やパート勤務を選択している看護師さんには、つみたてNISAを使った資産形成がおすすめです。

<つみたてNISAとは>
・長期の資産形成に適した少額投資非課税制度(NISA)の一種
・つみたてNISA口座内で投資すると「年間40万円」「最長20年」投資で得た利益が非課税になる
・投資できる商品は投資信託とETFのみで、「長期・分散・積立投資」に適した商品のみ登録されている
・(証券会社によっては)投資金額は100円から始められる
・積立購入のタイミングも投資金額も自由で、気軽に続けられる

 つまり、つみたてNISAは少額で始められて自由度が高く、初心者にも優しい税優遇制度です。

 仕事量をセーブしているご家庭では、月によっては投資に回せる金額がない、なんてこともあるでしょう。
 つみたてNISAなら、その時々の家計の状況にあわせて、投資するタイミングや金額を自由に設定できます。何かと支出が多い30代の子育て世帯でも、気軽に始められるのではないでしょうか。


※つみたてNISAについて、詳しくはコチラの記事もご覧ください⇒「看護師はiDeCoか つみたてNISA、どちらがいい? FPが改めて詳しく紹介!」


 注意点として、つみたてNISAは長期の資産形成を目的にしている制度のため、数年貯めた程度では大きな資産になりません。そのため子どもが小さいうちから始めて、できるペースでコツコツと続けていくことが何より大切です。今のうちから少額で始めておき、フルタイムで復帰後は金額を増やしてさらに積み立てを継続しましょう。とにかく長く続けることが、資産形成の重要なポイントです。

【正職員・フルタイムの看護師向け】iDeCoで課税所得を減らす節税投資

 30代で子育てしつつ、正職員としてフルタイム勤務を続けている看護師さんには、iDeCoを使った資産形成がおすすめです。


・老後資金の形成を目的とした私的年金の一種で、自ら運用し、資産を育てていくものになる
・原則、60歳まで引き出せない
・掛けた金額は全額所得控除&運用で得た利益は非課税&受け取るときも税優遇があり、節税効果が高い
・国民年金の種別や会社の退職金制度の状況によって掛けられる金額が異なる
・運用対象は投資信託・保険・定期預金の中から自由に選べる。複数組み合わせることも可能
・口座開設料や口座管理料といった手数料がかかる


※iDeCoについて、詳しくはコチラの記事もご覧ください⇒「看護師はiDeCoか つみたてNISA、どちらがいい? FPが改めて詳しく紹介!」


 iDeCoは原則として60歳まで引き出せず、運用を中止しても毎月手数料がかかる制度です。
 自由度が高く手数料も発生しないつみたてNISAに比べると使いにくさを感じますが、その一方で高い節税効果があります。

 30代でフルタイム勤務の看護師さんは、収入も納税額も高くなりがち。そこでiDeCoでいくらか掛金を拠出すれば、課税所得を減らして所得税・住民税の負担を軽減できるでしょう。iDeCoは一度投資対象や掛金を設定したら毎月自動的に引き落としがかかるため、時間がなく忙しいフルタイムの看護師さんでも継続しやすい制度です。

 家計に余裕があれば、iDeCoとつみたてNISAを併用するのもおすすめです。iDeCoは老後資金向けの制度になるため、60歳まで資金を引き出せません。いつでも資金を引き出せるつみたてNISAと組み合わせれば、より柔軟な資産形成ができるでしょう。

投資で子どもの教育資金を用意するのはアリ?

 これまで紹介してきたつみたてNISAやiDeCoを使った資産形成は、準備期間を長く取れる老後資金の備えとして考えることをおすすめします。

 もちろん、教育資金の備えに投資を活用するという方法もあります。つみたてNISAはいつでも資金を引き出せるので、子どもが小さい頃に始めて大学入学になる十数年後に資金を引き出し、大学費用に充てるのもいいでしょう。

 ただし教育資金すべてを投資で備えるのはリスクが高く、おすすめしません。

 株式投資や投資信託は、国際情勢や経営環境の変化、株式市場の状況などで簡単に資産価値が変動します。投資家がコントロールできない外的な要因で変動するため、教育資金として必要な時期に相場が下落し、「資金を使いたくても使えない」という可能性があるのです。

 教育資金は老後資金と違い、高校入学や大学入学時など必要な時期が決まっています。使いたいときに確実に使えなければ、意味がありません。必要な時期が明確な教育資金は、学資保険や元本確保型の商品をメインに積み立て、サブでつみたてNISAを活用して積み立てていく方法をおすすめします。

30代で子育て中看護師さんにはつみたてNISAかiDeCoがおすすめ

 投資で資産形成する場合に重要なのは、時間をかけてコツコツ積み立てていくことです。

 現在パート勤務で家計に余裕がない看護師さんはつみたてNISAで少額から始め、フルタイム勤務で納税額が高い看護師さんはiDeCoで節税しながら始めましょう。今から始めておけば、将来の老後資金にかかる不安を少しでも軽減できるはずです。

 子育て世帯では教育資金の準備も気になるところですが、これらの投資を教育資金準備に使うのはリスクが高くおすすめしません。教育資金は、使う時期が明確です。使いたいときに確実に使える学資保険や、その他の元本確保型商品をメインで活用し、投資はあくまで老後資金か、サブ的な位置づけで活用することをおすすめします。

 老後資金と教育資金の準備方法や、ためる金額について疑問がある場合は、お金の専門家であるファイナンシャル・プランナー(FP)に相談してみてくださいね。


 

 

 

 

この記事を書いたのは

服部 椿
金融代理店での勤務経験と自身の投資経験を活かしたマネーコラムを多数執筆中。
子育て中のママFPでもあり、子育て世帯向けの資産形成、ライフプラン記事の執筆が得意。
保有資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士



記事監修:株式会社ファーストプレイス



イラスト:tetekun
Twitter:https://twitter.com/tete_ponyo



バナー素材:イラストAC



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