今回、ご紹介する利用者さまは長屋宏和さん。自身の目標と生活スタイルに合ったサービスを提供する訪問看護ステーションを見つけるために、4年もの歳月を費やしたという。長屋さんの声から、訪問看護に求められるサービスを探る。
4年越しの願いが現実に
長屋様は元F3レースドライバーで、現在30代のイケメンである。レース中の事故で、頚椎損傷となった。数年の治療とリハビリを乗り越え、「いつも自分の好きな洋服を着たい」という気持ちから、チェアウォーカー(車椅子生活者)・ファッションブランド「ピロレーシング」を立ち上げた、とてもバイタリティある方である。「ピロレーシング」は、チェアウォーカーにやさしいだけでなく、ファッションとしてもクオリティの高いジーンズ等を開発・販売している。
長屋様は、一人暮らしで上記のような仕事をしながらも、2日/週で必ず生活上のケアが必要。ケアの対応はヘルパーと家族が行ってきていたが、家族の手を借りず、自立した生活を送ることが彼の目標であった。その目標を実現するため、訪問看護ステーションを探していたが、なかなか条件に合うステーションを見つけることができず、なんと4年間も探し続けていたというのだ。
生活スタイルに合わせて柔軟に対応
ケアプロとの出会いは偶然で、他のステーションからの紹介がきっかけである。長屋様の職場へ、初めてサービスの説明のためにお伺いしたときのことをよく覚えている。
はじめ、「仕事が休みの日の午前中にケアをしてほしい」とのことであったが、「お休みの日でよろしいですか? 貴重なお休みをつぶすことなく、お仕事の後の夜などでも対応は可能です」と提案をさせて頂いた。「そんな柔軟なステーションがあったなんて・・・。4年も探していたので、感激しました」とおっしゃって頂き、恐縮した覚えがある。
看護師の原動力とは?
今では、時々、当ステーション事務所へお休みの日に顔を出してくださり、一緒に食事をするなど、親密な関係を築かせて頂いている中で、引き続き夜間の訪問もさせて頂いている。
「夜に来てほしいと思う人は、他にもいっぱいいると思う。自分もやっとこれで自立ができた。これからもよろしくね」
看護師がいることで、諦めていた生活を実現できる人がいる。それがケアプロ看護師の原動力であり、24時間365日の訪問看護を実現するために、日々精進していくのである。
チェアウォーカー(車椅子生活者)のためのファッションブランド「ピロレーシング」を立ち上げた長屋様
ピロレーシングの代表作「車いす用レインコート」