看護に必須なコミュニケーション。多職種のメンバーと人間関係を構築するうえでも欠かせません。そこで今回は、入職して最初の段階で新人看護師が身につけておきたい、職場でのコミュニケーション術を解説します。
目次
可愛がられる新人と可愛がられない新人っているの!?
大丈夫です。医療機関のスタッフたちは、すべての新人を受け入れ、育てる気持ちで新人を受け入れており、可愛がられないなどということはありません。もし、そう感じてしまうことがあるとしたら、それはあなたの主観ではないでしょうか。「私は何もできない新人」という自分を責める気持ちになってしまっていないか、客観的に自分の気持ちを確認してみましょう。
それでも人間同士ですから、先輩たちと合う合わないという相性はあります。どうしても「私は可愛がられていないかも…」と感じてしまうことがあったら、少しの気遣いができると改善できるかもしれません。次の記事を参考にしてみてはいかがでしょうか?
関連記事:気配り上手は「デキるナース」の第一歩
欠けると失敗する、大事なコミュニケーションの基本5つ
人間関係を作っていくうえで大切なのが、以下の5つです。ぜひ参考にしてください。
コミュニケーションのスタートは元気な“挨拶”から
看護師の仕事に限らず、挨拶はコミュニケーションの基本であり、会話のきっかけとなります。また挨拶には、相手の存在を認めたり、心の距離を縮めたりするなどの効果があり、新しい環境で人間関係を築くうえで欠かせません。
もしも挨拶していてもきちんと伝わらなければ、相手は無視されたと感じるかもしれず、あなたに対していい印象を抱かなくなってしまう可能性があります。こんなことでマイナス印象になってしまうなんてつまらないですよね。ですから挨拶はしっかり必ず伝わるように、恥ずかしがらずに大きな声でしましょう。
関連記事:看護師のコミュニケーションとマナー(挨拶・身だしなみ)
“笑顔”は会話内容よりも物をいう
笑顔は周囲を明るくし、相手を安心させる効果があります。笑顔を絶やさない人は、コミュニケーションも円滑になることが多く、楽しみながら仕事に取り組めるでしょう。
多くの看護師はマスクをしているため、相手からは目元しか見えません。そのため、特に意識した笑顔づくりが大切です。たとえマスクの下で笑っていても、見えている目元が笑っていないと「怒っているのかな?」と思われるかもしれません。
ぜひ意識して目元を笑顔にしてみましょう。どうしたら笑顔が伝わるか、マスクをして鏡を見ながら練習してみるのも良いですね。
常に“明るく”前向きに
明るい人がいると、それだけで周りも明るくなり、いきいきと仕事がこなせるようになります。スタッフだけではなく患者さんにとっても同じで、辛い治療や長引く入院で落ち込みがちな気分が明るくなるはずです。
反対に表情が暗いと、周りのスタッフや患者さんの気持ちも暗くしてしまうでしょう。それだけ看護師の笑顔が周りに与える影響は大きいのです。
ですからできるだけ仕事中は笑顔でいるようにしましょう。先輩に叱られたりプライベートで何かあったときも、あなたは看護師というプロになるのです。仕事とプライベート・感情と表面は切り替える方法を身につけ、仕事の間は笑顔でいるようにしたいものです。
切り替えの方法はそれぞれですが、例えば元気が湧くようなお気に入りの歌を口ずさむ、誰もいないところでちょっとダンスを踊ってみるなど、自分なりの切り替え方法を身につけてくださいね。
“失敗してもめげない”
誰しも、失敗すれば落ち込みます。しかし、その落ち込みを引きずるか、気持ちを切り替えられるかで、周りへ与える印象や仕事への影響は変わってきます。新人のうちは、失敗することもありますが、反省を生かして前に進むことが大切です。
また「失敗して怒ってもらえるのは新人の間だけ」という考え方もできます。看護師の仕事は小さなミスが患者さんの不利益どころか生命にまで直結してしまいがちです。ですから「まだ先輩が見てくれるうちに失敗できてよかった」「二度と同じ失敗をしないようにしよう」と考えていくことができれば、失敗に対して落ち込むだけではなく、前向きにとらえられるようになるのではないでしょうか。
“落ち込みすぎない”
先輩看護師に指摘を受けた際に、落ち込むこともあるでしょう。新人のうちはできなくて当然なので、次に同じ指摘を受けないように学ぶことが大切です。また、はじめての患者さんの看取りなど、患者さんの生死にかかわることで落ち込むこともあります。そんな場合でも、看護師にはプロとして自分自身で区切りを決めて気持ちを切り替えることが求められます。最初は気持ちの切り替えが難しいですが、プリセプターや師長などに素直に相談してみることも一つの方法です。
プリセプターも師長も、看護の先輩たちは皆さん同じ思いを経てきています。同じ思いに共感してもらえたり、先輩の経験を話してもらえるかもしれません。周囲を頼って落ち込みすぎないように気持ちをコントロールしてみることも良い方法だと思います。
プリセプターに好かれがちな新人や嫌われがちな新人っているの?
プリセプターは新人看護師の指導係であり、新人が一人前の看護師として活躍できるようにサポートする役割をもっています。ですから厳しく指導することはあっても、基本的にプリセプター自身もプリセプティを嫌うなどという感情は極力抱きたくないと考えています。しかしプリセプターもやはり人間ですから、人間関係の中で嫌だなという気持ちを抱いてしまうことはあるでしょう。プリセプティとしてはそのようなことは避けたいですね。
覚えておきたいプリセプターへの気遣い3つ
1.謙虚であること
プリセプティは教えてもらう存在です。ですから謙虚でありたいものです。教えてもらうことを当たり前と思わず、自分のために時間を割いてくれていることに感謝の気持ちを持ち、それを伝えられると良いですね。
2.素直であること
素直であることも大切です。素直に質問できるとプリセプターも頼られていると感じ、色々と教えてくれるかもしれません。指導を受けたら素直にいったんすべてを受け入れることが大切です。教科書と違うなと思うことがあっても、それがあなたの医療機関のルールかもしれません。いったんはすべて受け入れ、後日、エビデンスを確認した上で、プリセプターに確認してみましょう。
その際にも、新人であるあなたが間違っている可能性は高いのですから相手を否定をしてはいけません。こういうエビデンスを見たがどちらが正しいのだろうかという相談の仕方がよいと思います。
3.勉強熱心であること
プリセプターから説明や指摘を受けているときは、必ずメモを取るようにしましょう。またメモしたことは1日の終わりに必ず確認しなおし覚えましょう。繰り返し指摘をされたり何度も同じことを聞いたりしない姿勢は、いち早く一人前の看護師になるためにも大切です。
プリセプターに嫌がられてしまいがちな3つのポイント
1.自分で考えない
わからないことを自分で調べずに、あまりにも簡単なことまですぐに聞いてくるプリセプティはいい印象を持たれないでしょう。自分で調べなければ知識は身につきません。調べて自分なりの考えを述べたうえで、合っているかどうかプリセプターに確認するように習慣づけましょう。
2.自己中心的である
相手のことを考えられない自己中心的なプリセプティは、だんだん周りの協力を得にくくなってしまう可能性があります。プリセプターは自分の業務をしながら新人看護師の指導をしています。時間と労力を費やして指導してもらっていることをつねに意識していくようにしましょう。
3.感謝と謝罪がない
「ありがとうございます」と「すみません」を適切なタイミングで言える看護師は、誰からも好かれます。わざわざ口に出すことが恥ずかしい、わざとらしいのではないかなどと思わず、感謝と謝罪の言葉はいつでも素直に口に出せるようになりたいですね。その素直さがあれば、きっとプリセプターにも支援してもらえるプリセプティになれるはずです。
関連記事:叱られることは、成長のステップと考えて
教える時、教わる時の姿勢
力強い味方、同期との関係を築くコツ・壊す原因
新人看護師にとって同期とは悩みを共感して励まし合える仲間であり、心強い味方です。人間関係の悩みを相談出来る同期がいれば、辛くても仕事を頑張れる力になりますね。
同期がいることのメリット
同期がいることでのメリットは、何といっても悩みを相談できることでしょう。人間関係の悩みだけではなく業務内容や看護ケアにいたるまで、同じ習熟度で歩んでいる同期の存在は、看護師のような専門職種にとってはとても貴重です。気兼ねなく話せる同期がいれば、仕事へのモチベーションも維持しやすくなりますね。
同期との関係を損ねないためのマナー
同期であっても、関係を損ねないためにマナーは大切です。依存しすぎず踏み込みすぎず、仕事とプライベートは区別し、つかず離れずの距離を保つことも大切です。お互いに思いやれる関係性であることが大切ですね。
関連記事:うまくいかない!同期との人間関係をよくするにはどうすればいい?
それでも辛くなったら、こうして乗り越えよう
いくら頑張っても、どうしても人間関係がうまくいかなくなることもあります。そんなときはどうすればいいのでしょうか。乗り越える方法のアドバイスです。
苦手な相手ほど積極的にコミュニケーションをとりに行こう
苦手な相手ほど、積極的にコミュニケーションをとりに行きましょう。人間ですから誰でも苦手だなと感じる相手は出てくると思いますが、避けてしまってはますます苦手になるばかりです。苦手と思っているのは実はあなただけで、相手は何も感じていないかもしれません。積極的に色々な側面から会話をしてみることで、苦手感が消えるきっかけがつかめるかもしれません。
一人で抱え込まない
それでもどうしても辛くなったときには、一人で抱え込まずに早めに誰かに相談することが大切です。たとえ解決できなくても話を聞いてもらうだけで気持ちの整理ができるかもしれません。
同期はもちろん、意外にも他の医療機関に就職した学生時代の友人などは、すぐに相談もできて気持ちもわかってもらいやすく、一歩引いた場所から共感を得られるでしょう。医療に関係のない別の職種の友人などであっても、第三者目線で意見をもらえるかもしれません。あなたのことを一番理解している両親や兄弟、姉妹に悩みを打ち明けるのもおすすめです。
自分自身でストレス発散をする
自分自身でストレスを発散する方法もあります。仕事のことは一切考えないで、趣味に没頭するのもいいでしょう。思いっきり遊んだり旅行をしたりして、自分自身の心のケアをすることは重要です。新型コロナ感染症予防の中で飲み会やコンサートなどには参加しづらい時期ですが、一人カラオケ、ソロキャンプ、映画鑑賞、オンライン飲みなど、あなたに合ったストレスの発散方法をぜひ見つけてくださいね。
関連記事:ナースのストレスコントロール法
こちらの関連記事も
・【看護師のマナー】第01回 挨拶・笑顔から、よりよい人間関係が生まれます
・【看護師のマナー】職場でのコミュニケーションの取り方
・コミュニケーションを良好に進めるための3つの手法
・“年下”先輩ナースとどう接する?社会人経験者の新人ナースの悩み
・うまくいかない!同期との人間関係をよくするにはどうすればいい?
イラスト提供:イラストAC