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【連載】看護部長インタビュー

第16回 リハビリ看護の奥深さや楽しさは3年間では語りつくせないほどです【東京湾岸リハビリテーション病院 看護部長】

  • 公開日: 2019/7/18
  • 更新日: 2020/3/26

 

東京湾岸リハビリテーション病院は、「幅広い病期に対応した切れ目のない治療」をモットーに、隣接した急性期病院との連携によって急変時の転院も可能な体制を整えています。今回は、回復期リハビリテーション病院でどのような看護が展開されているのかを同院の看護部長・伊藤和子さんに聞きました。

新設部門を任されて戦場のような日々でした

──開院とともに谷津保健病院から異動されたそうですが、リハビリテーション看護には長く携わっていたのですか。

地域の基幹病院である谷津保健病院には24年間勤務しましたが、そのほとんどは急性期の看護に従事していて、内科病棟主任や外科病棟・外来検査部門師長などを勤めてきました。転機は2004年、看護課で業務担当をしていた頃にリハビリテーション(以下、リハビリ)病棟が開設されたことです。

師長を誰に任せるのか検討していたら、私に白羽の矢が立ってしまった(笑)。リハビリ看護の経験はまったくなかったので不安はたくさんありましたが、新たな看護を学ぶ楽しさに気持ちを切り替えてチャレンジすることにしました。それがリハビリ看護との出合いです。

──それが後々、専門病院の開設につながっていくわけですね?

その後、これからの社会は若年層の脳血管障害などの増加で回復期リハビリの重要性が高まるという考えから、専門病院の開設へと話が進み、その中で看護部長を任命されました。

開院時の看護部は、新卒者、急性期病院からの転職者、リハビリ看護の経験者がいて、記録などの業務の仕方から、さまざまな知識や技術のレベル、看護観の異なる人たちで構成された状態。どうまとめていけばよいか、目の前にいる患者さんをケアするのに精一杯の状況で、ゆっくり考える暇もないまま手探りでのスタートでした。1年目はまるで戦場のようでしたね(笑)。

7名の医師と協働する利点を最大限に活かす

──これまでの激動の時期をどのようにして乗り越えてきたのですか。

患者さんは年齢層・病期ともに幅広く、その8割が脳血管障害による疾患で、身体に何らかの後遺症が残存しています。看護部には当初リハビリ看護の経験者が少なかったのですが、そんな状況にあってリハビリ専門医4名を含めた7名の医師が協働する利点を存分に活かせたことが幸いしました。

例えば、患者さんのADLの評価方法もその一つです。トイレ動作など看護師によって評価に偏りが出ないように、リハビリ専門医の指導の下、標準化したチェック項目をつくり、3日間十分観察した後、主治医とミーティングして評価を決定するようにしました。

──他職種との協働で何か得られるものはありましたか。

私自身もリハビリ専門医を間近に見ながら、リハビリ看護の学びはもちろんのこと、看護師の動かし方、OT、PT、STらセラピストとの関係性について考える機会となりました。また、セラピストからは患者さんの状態に合わせた基本動作を指導してもらい、病棟での訓練に活かしたり、その日に血圧が高いのであれば別メニューを組み立ててもらうなどしました。

こうして、リハビリのプロである専門医を中心に連携することでスタッフのレベルが向上し、患者さんを支える態勢が整い始めていったのだと思います。

──やはりポイントはチーム医療でしょうか。

回復期リハビリは、生活へ戻るための治療と残存する能力の向上だけでなく、退院後の生活を見越した家族看護も必要とされます。

それを支えるためには、セラピストやMSWなど多職種が入ったチーム医療は欠かせません。新設した病院を軌道に乗せるために、専門家らとともに学びながら歩んできたことで、自然とチーム医療が実践できたと考えています。

大事なのはできるADLを見極め、見守ること

──急性期と回復期リハビリでの看護に違いはありましたか。また、回復期リハビリ病院での看護の役割とは何でしょうか。

リハビリ看護は、「じっくり待つ、見守る看護」です。看護師が手を出して介助することは簡単ですが、患者さんのADLを高める訓練にはなりません。できるADLを見分ける判断が大事になります。

また、急性期医療での治療が終わり、回復期に転院してきたときの患者さんや家族は、大きな不安と期待を抱いています。患者さん自身、後遺症を受容しきれない葛藤や焦りの強い時期でもあり、受容できずに精神的に落ち込み、不安が強くなってしまうケースも少なくなく、メンタル面のフォローやケアがとても重要です。

──急性期看護とはやはり違うのですか?

このような気持ちを受け入れながら支援していくことが大切なのだと考えると、急性期看護と回復期リハビリ看護は役割こそ異なりますが、看護の本質に変わりがないことに気づきます。むしろ、患者さんを前にして、看護の基本や価値観が違ってはならないと思うのです。

また、リハビリというと、主治医やセラピストの役割ばかりが注目され、看護師はオーダーを待っていればよいとみられています。しかし、私は回復期リハビリ病院での主役は「看護師」だと考えています。

──看護師は何を心がければよいのでしょう?

どれだけセラピストの数が多く質が高くても、食事中や排泄の動作、会話の能力や理解力、在宅でのキーパーソンや介護力の評価、あるいは前述したように精神状態など、昼間の状態から夜間の様子まで、患者さんを観察、評価しフォローできるのは、病棟で24時間のケアを担う看護師ではないでしょうか。そのことを忘れずにいることが、リハビリ看護では大切なのだと思います。

(次のページは、伊東さんが感じているリハビリ看護の奥深さについてです。)

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