海外の医療に興味があっても、実際に海外を訪れ、医療現場に触れることは容易ではありません。そこで、カリフォルニア州サンディエゴ市最大のERを持つSan Diego Kaiser Permanente病院(ベッド数392床、ERベッド数100床、年間のER患者数約98,000人、手術件数25,000件という大規模病院)での自身の経験と調査をもとに、アメリカにおける最新の病院事情をまとめました。
電動ベッドの先を行く多機能ベッドってどんなもの?
今回は、ハイテクベッドのおはなしです。
入院患者さんに一番身近なものと言えば、ベッドではないでしょうか?
ベッドの安全性・便利性は、医療事故や看護師業務に大きく影響します。今でこそ電動ベッドが主流ですが、一昔前は、しゃがんでハンドルを回す肉体労働を余儀なくさせられた時代もありました。
今回は、今やベッドもハイテク時代というべく多機能を備えたベッドを紹介します。
<!–readmore–>
人間工学を駆使した患者さんと看護師に優しいベッド「Stryker3S」
今、アメリカでは患者の安全確保と満足度向上のため、従来のベッドから多機能のハイテク医療ベッドへの取り替えが盛んに行われているといいます。 こちらが、実習病院の一般病棟で使用されていたクイーンサイズはあるハイテク機能医療用ベッド「StrykerS3」です。
患者さんの安全安楽を画期的に向上し、医療者の希望を取り入れたstrykerS3の機能をまとめました。
- 離床センサーが内蔵されている。患者さんの状況に合わせて離床センサーの範囲をベッド中心やベッド全体などに選択が可能
- 8つのキーで患者さんのポジショニングやベッドの高さを変更可能
- 頭部拳上30度などデジタル数値化された表示画面で確認可能
- 体重計が内蔵されている
- 点滴ホルダーやコンセントが内蔵されている。これで移動時にバッテリー切れ、コードが引っかかるなどの場面を回避できる
- 特徴的なベッド柵は、頭部拳上をしてもベッド柵間の隙間を最小限に保ち、患者転落のリスクを予防。人間工学に基づき医療者の負担も軽減する設計となっている
日本の病院や施設では、高価な離床センサーや“てんとう(転倒)虫”は数に限りがある場合がほとんどでないでしょうか? このベッドのように内蔵されていれば、離床センサーが全患者さんに行き届きます。
患者さんの安全安楽だけではなく、医療者の負担も軽減してくれるベッドが普及するアメリカの医療現場はうらやましい限りです。
次回は、「おむつ」のはなしです。