まなび
  • 公開日: 2019/12/23

被災時には特に注意が必要になるバイタルサイン。災害高血圧とは?

災害高血圧
読み方:さいがいこうけつあつ

 

災害高血圧

災害後に生じる高血圧(≧ 140/90 mmHg)と定義されている。災害高血圧は、災害時に好発する循環器疾患の発症リスクとなる可能性が高い。

そのため、災害後の循環器疾患の抑制の最初の第一歩は血圧測定と言える。災害高血圧の検出は災害ストレスが個人に及ぼす精神的・身体的影響を血圧で知ることもできるのだ。

症状

被災直後から発生して、生活環境と生活習慣が回復・安定するまで持続する。しかし、高齢者や微量アルブミン尿を有する慢性腎臓疾患、肥満・メタボリックシンドローム。

他にも食塩感受性が増加している患者の場合、災害高血圧が遷延することが多い。

治療

①非薬物療法

災害時には食塩感受性が増大するだけではなく、そこに平時とは異なる食生活により食塩摂取が増加した場合、災害高血圧が発生する可能性が高くなる。

そのため、睡眠環境の改善や昼間の身体活動の維持による生活のサーカディアンリズムを保ち、徹底した減塩が重要となる。

②薬物療法

災害高血圧の降圧目標レベルと、推奨される降圧薬に関する十分なエビデンスはない。しかし、これまでの非災害下のエビデンスと災害時の経験から、血圧160 mmHg以上では降圧薬を処方して、災害高血圧の最終降圧目標は140mmHg未満がよいとされている。

災害高血圧の血圧レベルは2週間毎に再評価して、降圧療法を見直すことが望ましい。コントロール不良例だけでなく、新規に生じた災害高血圧では、被災環境の改善によって降圧してくる場合もある。

漫然と降圧薬の投与を続けてしまうと、低血圧で日常生活動作の低下や転倒が生じたり、高リスク患者においては心血管イベントのリスクが増加することもあるから注意が必要。

血圧レベルが120mmHg未満の降圧療法中の患者の場合は、低血圧症状の有無に注意。 災害後の新規発症の災害高血圧患者では、降圧薬終了のタイミングが重要。

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