Aさん(82歳、男性)は、4年前にAlzheimer(アルツハイマー)型認知症の診断を受けた。要介護4で、1年前からグループホームで生活している。高血圧症に対して持続性カルシウム拮抗薬を内服している。他に治療を必要とする疾患は認められない。1週前から夜はほとんど眠らず、居間のソファに腰かけたり、歩き回ったりする状態が続いている。昼間もベッドに横になることはない。食欲が低下してきたが、先月よりも体重は2kg増加している。Aさんは廊下でうずくまっているところを発見された。肩呼吸をしており、四肢に冷感があり下肢の浮腫が強い。体温36.1℃、脈拍120/分、血圧86/50mmHg、呼吸数40/分であった。
Aさんは直ちに救急車で病院に搬送され、治療を受けて症状は軽快した。入院後1週が経過し、尿量が確保されていることを確認したため、入院直後から挿入していた膀胱留置カテーテルを抜去した。抜去3時間後、Aさんはグループホームの職員の名前を大声で呼び始めたため、病棟看護師が病室に行ってみると、Aさんはオムツを外して失禁していた。Aさんへの援助で適切なのはどれか。
1.鎮痛薬の使用を検討する。
2.膀胱留置カテーテルを再度挿入する。
3.排尿記録をつけ排尿パターンを把握する。
4.グループホームの職員に付き添いを依頼する。
―――以下解答―――
(解答) 3
<解説>
1.(×)鎮静剤の使用については医師が判断する領域である。
2.(×)膀胱留置カテーテルが必要な急性期は脱している。
3.(○)Aさんは排尿のため、オムツを外したと思われる。Aさんの排尿パターンを調べ、トイレ誘導することで自然に排尿できると考える。
4.(×)Aさんは身近な人に排尿を知らせたかったと思われる。Aさんの排尿のニードを満たすことが大切と考える。