まなび
  • 公開日: 2017/12/15
  • 更新日: 2018/12/6

「前立腺がん」の看護事例を見てみよう

臨床看護シミュレーションアプリの「ほすぴぃ」では、様々な疾患を持つ患者さんの臨床看護を体験できます。
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ここでは前立腺がんの患者さん、とん助さんの入院前看護を少し覗き見してみましょう。
こんにちは!
わたしの名前は「こなす」、ほすぴぃで看護師さんに寄りそうプリセプターのような妖精のような存在。
これからよろしくね!
まず、基本的なことを確認しよう。
看護過程で大切な「SOAP」。何か分かる?

【S】主観的情報。患者さんの話など。
【O】客観的情報。観察・検査など。
【A】アセスメント。分析・評価。
【P】看護計画。

それではこの患者さんの入院前の様子を見ていこう!

前立腺がんの患者さん「とん助さん(55歳)」

健康診断で見つかっちゃったよ…。しかもこんなところにねぇ。
でも特に自覚症状がなかったし、健康診断行ってなかったらもっと悪化してたと思うとこわいね。
仕事もまだまだしたいのに。入院は嫌だなぁ。
この事例は
常磐病院の監修で
お送りします。
2ヶ月前に健康診断のため、近医受診。
血液検査で腫瘍マーカーであるPSA(前立腺特異抗原)の値が7.38ng/dlと高値であることが指摘され、当院へ紹介。
持参薬あり。
リバーロキサバン(イグザレルト)。
既往歴に「心房細動」があって、その薬を服用されているよ。
MRI実施の結果、前立腺右葉に所見確認。
前立腺生検の結果、右3/7 GS3+3 左3/7。
前立腺がんと診断。

前立腺生検は前立腺がんの確定診断には必須の検査だよ!
経直腸的・経会陰的・経尿道的の3つの方法があるけど、どの方法も1ヵ所ではなくて、前立腺内の広い領域から多所生検(10ヵ所以上)をおこなうよ。
生検後の合併症は重篤なときもあるから、生検前後の抗菌薬投与、患者さんに必要性や合併症の説明も併せておこなうことが大切。


前立腺がんは、初期では無症状のことが多いけど、進行すると膀胱刺激症状や排尿障害、下肢の浮腫、骨転移による骨痛など様々な症状が出てくるよ。
また治療の副作用の尿失禁性機能傷害は、男性として受け入れづらいものでもあるため、副作用への対処はもちろん、患者さんとご家族への精神的なサポートも重要になるよ。
多様な治療法が開発されているため予後は比較的良好だけど、その反面、治療の選択肢が多く決定に迷う患者さんが多いから、患者さんの思いを理解して、しっかり看護計画を立ててね。

骨シンチグラフィ・PETで転移なし。

前立腺がんは骨に転移しやすいため、全身の骨転移の有無を確認するためにおこなわれるよ。

前立腺全摘除術適応との判断あり、入院となる。
全身麻酔下ロボット支援下前立腺全摘除術、左神経温存予定。

腹部に穴を開けて、前立腺と精のうを摘出して膀胱と尿道を繋ぐ手術だよ。一般的には周りのリンパ節も一緒に取り除かれるんだ(リンパ節郭清)。
この手術のあとに、カテーテルを尿道からいれて、体の外に尿を排出できるようにする。
膀胱造影(CG)で尿が腹腔へ漏れていない(リークしていない)ことを確認してから、カテーテルは抜かれるよ。

「左神経温存予定」について補足。
神経を温存することで、術後の勃起障害を防ぐよ。
入院3日目にOPE予定。
この事例では前立腺がんの周術期、各段階の課題を踏まえた看護を中心に学んでいこう!

■術前
・全身状態の把握と精神状態の安定。
・既往歴関連の影響。
■術直後
・麻酔による影響。
・術後侵襲性(身体への物理的負担や影響)。
・術後の疼痛コントロール。
・不快症状の緩和。
・創部の観察方法。
・術後イレウスや深部静脈血栓症の予防。
・IN OUT バランスによる影響。
■術後退院日期
・退院後の生活に関した疑問や不安への介入。

入院前の情報確認は以上だよ!
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