国際化の時代、看護師にも英語は必要でしょうか? 移住者や観光客が増えているから、というのはもちろん、実はそれ以上に、看護師に英語が必要なワケがあるのです。看護師と英語の深ーい関係を、英語教育の現状に触れながら、解き明かしていきます。
教育現場に広がる「英語熱」
皆さんは、「英語熱」という言葉をご存じでしょうか?
「英語熱」とは、より良い高等教育のため、将来のキャリアアップにつなげるため過熱する英語教育をいい、日本を含むアジア諸国で一種の社会現象となっています。
習い事ランキング11年連続不動の第1位、進む英語教育の低年齢化は、日本に広がる英語熱のほんの一例といえるでしょう。
看護の分野も例外ではありません。
看護大学・看護学校の90%以上が入試に英語を必須とし、入学後も必修科目としてカリキュラムに含まれるほど、英語は重要視されています。しかし、実際の医療現場で外国人相手に英語を使う機会は、めったにないのが現状ではないでしょうか。
<!–readmore–>
看護師に英語は必要か?
海外からの旅行者が増え、メディカルツーリズムという言葉が定着したとはいえ、入院や外来の患者層をがらりと変えるほどの影響力はまだありません。
また、海外の優れた医療機器が次々と輸入される一方で、全ての英語表示がわからなくてもなんとなく使っている、翻訳された説明書で切り抜けることができるなど、切羽詰まった英語の必要性に出くわす機会はほとんどないでしょう。日ごろ必要性が感じられないものに、だれも貴重な時間やお金を注ぎたくないのは当然です。
「それでも看護師に英語は必要なのか?」
その答えは「YES」です。
ここではあえて、英語教育にもの申し異論を唱える意見にフォーカスを当てます。懸念される英語教育の落とし穴に触れながら、なぜ英語なのか、なぜ日本人に英語は必要なのか、そしてなぜ看護師に英語は必要なのか、その答えを導いていきましょう。
次回は、的を射た英語教育への異論についてです。