海外の医療に興味があっても、実際に海外を訪れ、医療現場に触れることは容易ではありません。そこで、カリフォルニア州サンディエゴ市最大のERを持つSan Diego Kaiser Permanente病院(ベッド数392床、ERベッド数100床、年間のER患者数約98,000人、手術件数25,000件という大規模病院)での自身の経験と調査をもとに、アメリカにおける最新の病院事情をまとめました。
安全と効率をかなえる最新機器
今回は、ハイテク点滴ポンプのおはなしです。
ハイテクを駆使して薬品の医療安全を徹底しているのは、前回お話ししたハイテク薬品管理マシーン「Pyxis」だけではありません。
今回は、1台で最大4本の点滴管理が可能なアメリカのハイテク点滴ポンプを紹介します。
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ハイテク点滴ポンプ「Alaris PC」
まず、実習病院先San Diego Kaiser Permanente Hospitalの点滴管理のきまりはこちらです。
- 点滴ポンプは全てのベッドサイドに設置する
- 100mLの抗生剤などを含むすべての点滴は、必ずポンプを使用する
「点滴ポンプがない」と走り回る必要がない環境だけでもうらやましいですが、こちらの点滴ポンプはかなりの優れものです。
その驚くべきハイテク機能を備えた“Alaris PC”の機能をまとめました。
- 点滴ポンプ本体は、ワイヤレスのPCとして機能する
- 病院で一般的に使用されているほぼすべての薬品の点滴内容がインプットされている
- 薬品を選択すると、自動的に最も頻度の高い薬品量・滴下速度・時間・予定量が表示される(例えば、ロセフィンを入力すると、自動的に、ロセフィン1g/滴下時間30分/予定量100mLと表示されます)
- 点滴中は、スクリーンに薬品名/内容量/滴下速度/今までの投与量が表示される
- バッテリー量がリアルタイムで表示される
- 1台で、最大4本の点滴管理が可能
- PCA(Patient Controlled Analgesia:自己調節鎮痛法)、シリンジポンプも接続可能
- EtCO2測定(終末期呼気炭酸ガス濃度)、SAT測定(血中酸素濃度)も接続でき、ベットサイドモニターとして使用も可能