まなび
  • 公開日: 2024/11/12

第114回看護師国家試験対策|1日3問国試ドリルの出題問題・解答・解説【老年看護学】

2024年11月4日からスタートした1日3問国試ドリルは、月~金で1日3問ずつ配信しています。

このページでは、1日3問国試ドリルで配信した問題のうち、「老年看護学」に該当する問題と解答・解説を掲載します。振り返りにぜひ活用してください。【※毎週更新予定】




第1問:高齢者の歩行時につまずきが見られる場合、筋力低下が考えられる筋肉はどれか。

  1. 大殿筋
  2. 前脛骨筋
  3. 下腿三頭筋
  4. 大腿四頭筋
※配信日:11/6

解答・解説


1.(×)大殿筋は臀部の筋肉で、股関節の伸展と外旋に作用する。 大殿筋の筋力低下は、歩行時のバランス低下の原因になる。
2.(〇)前脛骨筋はすねの筋肉で、足関節の背屈に作用する。前脛骨筋の筋力が低下すると、足関節背屈が不十分となり、歩行時のつまずきの原因になる。
3.(×)下腿三頭筋はふくらはぎの筋肉で、足関節の底屈に作用する。下腿三頭筋の筋力が低下すると、歩行時の蹴り出しやバランス低下の原因になる。
4.(×)大腿四頭筋は太もも前面の筋肉で、下腿の伸展に作用する。大腿四頭筋の筋力低下は、歩行時や立ち上がり時のバランス低下の原因になる。
第113回(2024年)


第2問:Aさん(90歳、女性)は、認知症で要介護3。デイサービスの送迎の際に、同居している娘から「食事は家族と同じものを食べていたのですが、昨日から下痢が続いています。発熱はなく、元気はあります」と看護師に話があった。デイサービスでは午前中に不消化便が1回あり、おむつ交換の際に、肛門周囲の発赤がみられた。Aさんへの対応で適切なのはどれか。

  1. 腹部マッサージを行う。
  2. 経口補水液の摂取を促す。
  3. 食物繊維を多く含む食事にする。
  4. 石けんを使って肛門周囲を洗う。
※配信日:11/13

解答・解説


1.(×) 腹部マッサージは主に便秘のケアとして行われる。
2.(〇)下痢が続いており、高齢でもあることから脱水のリスクが高い。経口補水液の摂取を促すことは適切である。
3.(×)不消化便が出ており、消化しやすい食事が勧められる。食物繊維を多く含む食事は消化されにくいため、不適切である。
4.(×) 石けんは刺激が強いため、微温湯で肛門周囲を洗う。
第109回(2020年)


第3問:Aさん(73歳、女性)は、既往歴はなく自立した生活を送っていた。最近、尿意を我慢できず尿失禁することがあり、夜間の排尿回数も増えたため、病院を受診した。その結果、過活動膀胱と診断された。Aさんへの看護師の指導内容で適切なのはどれか。

  1. 腹筋を鍛える。
  2. 膀胱訓練を行う。
  3. 水分摂取を控える。
  4. 尿意を感じたらすぐトイレに行く。
※配信日:11/20

解答・解説


1.(×)腹筋を鍛えても尿失禁は改善しない。腹圧性尿失禁では、骨盤底筋群を鍛えることで改善が期待できる。
2.(〇)少しずつ排尿間隔を延長することにより膀胱容量を増加させるのが、膀胱訓練である。過活動膀胱の行動療法として有効である。
3.(×)制限する必要はない。 
4.(×)尿意を少しでも我慢し、膀胱容量を増加させる必要がある。
第110回(2021年)


第4問:老化に伴う血液・造血器系の変化で適切なのはどれか。

  1. エリスロポエチンが増加する。
  2. 黄色骨髄が減少する。
  3. 顆粒球数が増加する。
  4. 赤血球数が減少する。
※配信日:11/27

解答・解説


1.(×)エリスロポエチンは赤血球の産生を促進する造血因子で、大部分が腎臓で作られている。加齢により腎機能が低下するため、エリスロポエチンの産生も減少する。
2.(×)加齢とともに骨髄は脂肪組織に置き換わり、黄色骨髄が増加する。
3.(×)顆粒球とは好中球・好酸球・好塩基球のことで、加齢による変化はあまりない。 
4.(〇)加齢に伴い、赤血球数は減少する。
第112回(2023年)


第5問:老化による身体機能の変化と薬物動態への影響との組合せで正しいのはどれか。

  1. 血中蛋白の低下―薬効の減少
  2. 腎血流量の低下―薬効の減少
  3. 肝血流量の低下―薬効の増大
  4. 消化機能の低下―薬効の増大
※配信日:12/4

解答・解説


1.(×)薬物の一部は血中蛋白と結合するが、残りは遊離している。血中蛋白が低下すると、遊離の薬物が増えるため、薬効が増大する。 
2.(×)腎血流量の低下は薬物の血中半減期を増加させるため、薬効は増大する。 
3.(〇) 肝血流量の低下は薬物代謝能を低下させるため、薬効が増大する。 
4.(×)消化機能の低下は薬物の吸収を低下させるため、薬効が減少する。
第109回(2020年)


第6問:入院中の高齢者への看護師の対応で適切なのはどれか。

  1. 入院当日から複数の看護師が関わる。
  2. 1回の訪室で多くの情報を聴取する。
  3. 1日のスケジュールは口頭で説明する。
  4. 退院後の生活を予測して情報収集する。
※配信日:12/11

解答・解説


1.(×)高齢者は環境の変化への対応が困難なため、入院当日に複数の看護師が関わることでより混乱を招くことが予測される。
2.(×)長時間の訪室は患者に負担となるため、要点を絞って情報収集を行う。
3.(×)口頭では記憶に残りにくく、後から確認することができないため、書面を見ながらの説明が適切である。
4.(〇)退院を見据えて情報収集をすることは適切である。
第112回(2023年)


第7問:高齢者のサルコペニアの予防に関する指導内容で適切なのはどれか。

  1. 読書をする。
  2. 飲酒をやめる。
  3. 塩分を制限する。
  4. 筋肉に負荷をかける運動をする。
※配信日:12/18

解答・解説


1.(×)サルコペニアとは加齢に伴う骨格筋の量の低下により、筋力や身体機能が低下した状態である。読書では活動量の低下を招くため、不適切である。
2.(×)飲酒は直接的にサルコペニアに影響しないため、適切とは言えない。
3.(×)塩分の制限は直接的にサルコペニアに影響しないため、適切とは言えない。
4.(〇)サルコペニアの予防には、適切な栄養摂取と運動習慣が効果的であり、筋肉に負荷をかける運動をするのは適切である。
第113回(2024年)


第8問:30歳を100%とした生理機能と比較して、老年期において機能の残存率の平均値が最も低下するのは次のうちどれか。

  1. 基礎代謝率
  2. 最大換気量
  3. 細胞内水分量
  4. 神経伝導速度
※配信日:12/25

解答・解説


1.(×)30歳を100%とした場合、老年期の基礎代謝率は80%程度である。
2.(〇)30歳を100%とした場合、老年期の最大換気量は50%以下に低下する。
3.(×)30歳を100%とした場合、老年期の細胞内水分量は80%程度である。
4.(×)30歳を100%とした場合、老年期の神経伝達速度は90%程度である。
第111回(2022年)


第9問:高齢者が術後に呼吸器合併症を発症しやすい理由はどれか。

  1. 1秒率の減少
  2. 残気量の減少
  3. 嚥下反射の亢進
  4. 気道の線毛運動の亢進
※配信日:1/1

解答・解説



1.(〇)加齢により、1秒率(努力性肺活量に対する1秒量の割合)は減少する。これにより、術後の肺炎や無気肺、人工呼吸器からの離脱困難が生じやすい。
2.(×)加齢に伴う肺弾性低下により、呼出力が低下し残気量は増大する。
3.(×)高齢者では嚥下反射の惹起遅延がみられる。
4.(×)高齢者では気道の線毛運動が低下する。
第111回(2022年)


第10問:加齢に伴う血管壁の硬化による血圧への影響はどれか。

  1. 収縮期血圧は上昇し、拡張期血圧は低下する。
  2. 収縮期血圧は低下し、拡張期血圧は上昇する。
  3. 収縮期血圧も拡張期血圧も上昇する。
  4. 収縮期血圧も拡張期血圧も低下する。
※配信日:1/8

解答・解説


1.(〇)加齢に伴う動脈硬化により、血管抵抗が増すため収縮期血圧は上昇し、血管の弾性が低下するため拡張期血圧は低下する。
2.(×)
3.(×)
4.(×)
第110回(2021年)


第11問:老化による免疫機能の変化はどれか。

  1. 胸腺の肥大
  2. T細胞の増加
  3. 獲得免疫の反応の低下
  4. 炎症性サイトカインの産生の減少
※配信日:1/15

解答・解説


1.(×)加齢により胸腺は退縮する。
2.(×)胸腺の退縮に伴い、T細胞産生能は低下する。
3.(〇)老化により免疫機能が低下すると、獲得免疫応答が低下したり、過剰な炎症反応などの変化を示したりする。
4.(×)高齢者は炎症性サイトカイン産生量が増加し、胸腺の退縮を加速させることが近年の研究で明らかになった。
第109回(2020年)


第12問:後期高齢者医療制度が定められているのはどれか。

  1. 介護保険法
  2. 老人福祉法
  3. 高齢者の医療の確保に関する法律
  4. 地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律〈医療介護総合確保推進法〉
※配信日:1/22

解答・解説



1.(×)介護保険法は、介護保険制度についての法律である。
2.(×)老人福祉法は、老人の福祉に関する原理を明らかにし、老人の福祉を図るための法律である。
3.(〇)後期高齢者医療制度は、高齢者の医療の確保に関する法律に定められている。
4.(×)医療介護総合確保推進法は、医療・介護提供体制の構築や、医療・介護を対象とした新たな税制支援制度の確立など、地域における医療と介護の総合的な確保を推進するための法律である。
第110回(2021年)


第13問:加齢に伴う高齢者の循環器系の変化で正しいのはどれか

  1. 運動時の心拍出量が増大する。
  2. 拡張期血圧が上昇する。
  3. 心室壁が厚くなる。
  4. 脈圧が狭小化する。
※配信日:1/29

解答・解説


1.(×)運動負荷時の心拍出量の増加は加齢とともに低下する。
2.(×)加齢により動脈硬化が進行し弾力性が低下することで、収縮期血圧が上昇する。
3.(〇)加齢により左室壁が厚くなる。
4.(×)加齢に伴い、血管壁の弾力性が低下し、脈圧(収縮期血圧-拡張期血圧)の幅は大きくなる。
第111回(2022年)


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