2024年11月4日からスタートした1日3問国試ドリルは、月~金で1日3問ずつ配信しています。
このページでは、1日3問国試ドリルで配信した問題のうち、「老年看護学」に該当する問題と解答・解説を掲載します。振り返りにぜひ活用してください。【※毎週更新予定】
第1問:高齢者の歩行時につまずきが見られる場合、筋力低下が考えられる筋肉はどれか。
- 大殿筋
- 前脛骨筋
- 下腿三頭筋
- 大腿四頭筋
解答・解説
1.(×)大殿筋は臀部の筋肉で、股関節の伸展と外旋に作用する。 大殿筋の筋力低下は、歩行時のバランス低下の原因になる。
2.(〇)前脛骨筋はすねの筋肉で、足関節の背屈に作用する。前脛骨筋の筋力が低下すると、足関節背屈が不十分となり、歩行時のつまずきの原因になる。
3.(×)下腿三頭筋はふくらはぎの筋肉で、足関節の底屈に作用する。下腿三頭筋の筋力が低下すると、歩行時の蹴り出しやバランス低下の原因になる。
4.(×)大腿四頭筋は太もも前面の筋肉で、下腿の伸展に作用する。大腿四頭筋の筋力低下は、歩行時や立ち上がり時のバランス低下の原因になる。
第113回(2024年)
第2問:Aさん(90歳、女性)は、認知症で要介護3。デイサービスの送迎の際に、同居している娘から「食事は家族と同じものを食べていたのですが、昨日から下痢が続いています。発熱はなく、元気はあります」と看護師に話があった。デイサービスでは午前中に不消化便が1回あり、おむつ交換の際に、肛門周囲の発赤がみられた。Aさんへの対応で適切なのはどれか。
- 腹部マッサージを行う。
- 経口補水液の摂取を促す。
- 食物繊維を多く含む食事にする。
- 石けんを使って肛門周囲を洗う。
解答・解説
1.(×) 腹部マッサージは主に便秘のケアとして行われる。
2.(〇)下痢が続いており、高齢でもあることから脱水のリスクが高い。経口補水液の摂取を促すことは適切である。
3.(×)不消化便が出ており、消化しやすい食事が勧められる。食物繊維を多く含む食事は消化されにくいため、不適切である。
4.(×) 石けんは刺激が強いため、微温湯で肛門周囲を洗う。
第109回(2020年)
第3問:Aさん(73歳、女性)は、既往歴はなく自立した生活を送っていた。最近、尿意を我慢できず尿失禁することがあり、夜間の排尿回数も増えたため、病院を受診した。その結果、過活動膀胱と診断された。Aさんへの看護師の指導内容で適切なのはどれか。
- 腹筋を鍛える。
- 膀胱訓練を行う。
- 水分摂取を控える。
- 尿意を感じたらすぐトイレに行く。
解答・解説
1.(×)腹筋を鍛えても尿失禁は改善しない。腹圧性尿失禁では、骨盤底筋群を鍛えることで改善が期待できる。
2.(〇)少しずつ排尿間隔を延長することにより膀胱容量を増加させるのが、膀胱訓練である。過活動膀胱の行動療法として有効である。
3.(×)制限する必要はない。
4.(×)尿意を少しでも我慢し、膀胱容量を増加させる必要がある。
第110回(2021年)
第4問:老化に伴う血液・造血器系の変化で適切なのはどれか。
- エリスロポエチンが増加する。
- 黄色骨髄が減少する。
- 顆粒球数が増加する。
- 赤血球数が減少する。
解答・解説
1.(×)エリスロポエチンは赤血球の産生を促進する造血因子で、大部分が腎臓で作られている。加齢により腎機能が低下するため、エリスロポエチンの産生も減少する。
2.(×)加齢とともに骨髄は脂肪組織に置き換わり、黄色骨髄が増加する。
3.(×)顆粒球とは好中球・好酸球・好塩基球のことで、加齢による変化はあまりない。
4.(〇)加齢に伴い、赤血球数は減少する。
第112回(2023年)
第5問:老化による身体機能の変化と薬物動態への影響との組合せで正しいのはどれか。
- 血中蛋白の低下―薬効の減少
- 腎血流量の低下―薬効の減少
- 肝血流量の低下―薬効の増大
- 消化機能の低下―薬効の増大
解答・解説
1.(×)薬物の一部は血中蛋白と結合するが、残りは遊離している。血中蛋白が低下すると、遊離の薬物が増えるため、薬効が増大する。
2.(×)腎血流量の低下は薬物の血中半減期を増加させるため、薬効は増大する。
3.(〇) 肝血流量の低下は薬物代謝能を低下させるため、薬効が増大する。
4.(×)消化機能の低下は薬物の吸収を低下させるため、薬効が減少する。
第109回(2020年)