近年、在留外国人や訪日外国人旅行者の増加により、日本の医療機関を外国人が受診することが増えている。
それに伴い、看護師が外国人患者さんに対応する機会も増え、言語や習慣の違いから適切な看護が提供できないなどの支障が出ていることも少なくないよう。
実際に外国人患者さんに対応して困ったことを参考にして、もっとグローバルに安心できる看護が提供する方法を考えてみては?
外国人患者さんへの対応
ナース専科調べ(2024年1月13日/有効回答数:563)
半数以上の多くのナースが言語の違いに苦労しており、患者さんに安心してもらいたいがそうもいかないもどかしさが募っているよう。
さらに、食事の習慣の違いや出産関連での習慣の違いもかなり大きく、治療の妨げとなることも…
外国人患者さんに対応したことのないナースも多いようだから、これからに備えて参考にしてみて!
言語の違い
翻訳機でも通じない
日本語が話せない患者さんにはスマホの翻訳機を使用しながらやりとりをしていたが、外国語にも訛りの強い患者さんには翻訳機をしようしても分かりづらい方が居てやりとりが困難だった。
ポケトークを使って簡単なやり取りはできるがニュアンスや医療用語が伝わりにくい。
通訳アプリを使って会話するので、すごく時間がかかる。
アプリの通訳内容が正確なのかわからず、中々話が通じなかった。
話せてもヒアリングが難しい
こちらから伝える場合は単語や簡単な英語で伝えることができるが、相手から長文の英語で会話された時に、何を言ってるのか全く理解できない。
細かい訴えや症状の聞き取りが難しかった。
ブラジルの方で言葉が通じずGoogle翻訳したりしていたが、ポルトガル語でなかなかコミュニケーションがとれず、状態の聞き取りが難しかった。
英語の方だったが、異国での入院のストレスもあった為、決まった事意外の日常会話をする為に色々調べて対応した。伝える事はできたが、返答がわからなかった。
英語圏以外の言葉は特に難しい
英語なら単語を並べて身振り手振りでなんとかなったが、ベトナム語、ハングル語となるとほぼお手上げでした。
スペイン語圏の患者さん。日本語が少し話せるけれど、移植を希望しており色々詳しく聞くのに苦労した。
ネパールから来日して間もなくて日本語がほとんど話せない患者様受け持った時に、職場の上司の方(ネパール人)によく使う単語を教えてもらって日本語とネパール語の表を作って対応した
アフリカの患者さんの分娩時 言葉と食習慣の説明が難しかった
インドの方に虫垂炎の手術の説明をするのに困った。
その方が働いているお店の方が協力をしてくれた。
言葉が通じないことでさらなる弊害が起こることも
言葉が伝わらないので相手も混乱して暴れたりすることがあった。
酸素カヌラを抜いてしまう事が多く、言葉が通じないため結局、拘束となった
お産でいきむ時に、声を出さずに気張ってくださいと何度言っても聞き入れられず、児心音が下がり、子宮底を圧迫。本来であればアプガールスコア8点くらいで出産のはずが、5点であった。海外からの産婦さんは、大声で叫びながら出産される人が多く、難産で無いはずの分娩が、難産となることが多い。
中国語しか話さない老年患者で、家族は透析を願っているが本人は願っていない状況。ご家族がいいように通訳していそうで、患者本人の意向がしっかり聞き取れなかった。
「言語が分からない」×「疾患」はお手上げ
なんとなくの英語はわかりますが、失語症のため英語も文法もめちゃくちゃになってしまった方の対応が大変だった経験があります。
英語を喋れるスタッフもいましたが、それでも解読不可能で大変でした。
アジア系や北欧系等の国籍の方が、認知症のため入院された際に、言葉が通じないがために、翻訳機を使用したりと工夫していましたが、体調不良等の言葉からの情報が理解できず、アセスメントに苦労しました。
ベトナムの方で失語失行もありこちらも全く喋られないし文化もわからないので意志疎通できず困りましたが、なんとかスマホで音楽を流したり文化を理解して喋りかけたりしました。
大切な「指導」にも支障が
NICU看護師です。
簡単な英語しか通じないママやパパに育児指導をどのように教えたらいいのかわからず困った。
帰宅後に気分が悪くなった時の説明が必要だったので、きちんと伝わったのか暫く心配だった
ベトナム語しかできなかったため、血糖測定手技の指導が大変だった
インド出身の若い妊婦さんが来た時、外来受診時は、日本語の解るお友達が付き添い通訳してくれてたのですが、分娩が終わり育児についての指導等で、英語もわからず、時間を要し結果、面会時間のご主人が来院するのを待って指導にあたったこと。
言語が分からないときの対応は?
中国語しか話せない患者さんで、外来は家族が通訳してくれたが、手術室では昔中国語を勉強した私が通訳することになり、事前に中国語の注意書きを作ったり、声かけの内容を中国語にした紙を用意した。
緊急入院時に付き添いで来た日本語がわかる友人の方に、タガログ語で10個ほどの質問内容を書いてもらい、返事の内容も想像つく限り羅列して記入してもらい、選んで頂けるようにした
10年位前は翻訳機器がなくロシアの患者さんは、英語も出来ないので、コミュニケーションに困り、通訳人に日常生活に必要な会話が出来るカードを作成してもらった。
誰に助けを求める?
中国人の患者さんで、救急外来に来られたのですが言葉がつうじず、同僚の看護師さんの旦那さんが中国後が喋れていたので電話して通訳してもらいました。
外来に来られた時に対応に困ったが、先生に対応してもらった
細かい不安を取り除くことが難しい
コミニュケーションの取り方で、どうしたら伝えることが出来るのか。Drは翻訳ソフトで話しをしていましたが、気持ちを和らげるような言葉がかけられたら良かったと思います。
オペ中に安心させたり、今から何をするということを顔のオペなどで身振りで表せない時
術前訪問で、ポケトークを使って行ったが、内容を理解出来たか、不安は解消されたのかの評価が難しかった。
ジェスチャーを交えたりして工夫をしましたが、うまく伝わらないことが多く、患者さんも不安を与えてしまったと思う。
習慣の違い
様々な習慣にどう対応する?
宗教上 お祈りの時間があり、部屋と時間の確保が一苦労。個室の希望もなく多床室のため病院中を巻き込み確保した。
面会に来る家族がいつもパーティーのようなご馳走を持ってきて長時間面会するのが当たり前の風習だったらしく、ご遠慮頂くようお伝えしましたが、退院するまで頻回に面会室でパーティーしてました。
入院中なのに奥さんと同じベッドで休む
食事の壁も大きい
中国の方で、食事が口に合わすスッポンなど差し入れてもらって食べていた患者さんがいた。言葉が通じず、特殊な食材の差し入れが続いた。
日本食は食べれないと言われた。
ロシア語しか話せず、あざらしの肉じゃないと食べられない、など普通の病院食をなかなか食べられなかった
食事を病棟の洗面台で電気調理器でキムチ鍋を作り始め、病室がキムチの匂いに!どう説明しても通じなくて泣きたくなった。韓国語まったくわからない。
南米系の患者様。絶食からの食事開始で流動食。ハンバーガーが食べたいと言われ、その後も食事の内容に不満をもち、こってり系の肉を差し入れされて、隠れてたべていた。
断食の習慣のある患者さんで、どうしても食事を摂取してもらえず体調管理が難しかった。
院内食は口に合わないとお国柄スパイスの効いた料理を持ち込み廊下まで匂いが充満していた
出産に関連した変わった習慣に苦労
出産後に赤ちゃんの耳元でお祈りを唱える習慣があり、面会制限があったり、状態の悪い赤ちゃんであると、応えられないが納得してくれない。強行突破して行ってしまう。
産科勤務時代、当時日本人妊婦の体重増加は普通10kg位だが、アフリカ人は2~30kg増加が正しいと患者に主張され、元々グラマラスボディから31kg増加で、無事に出産された時は、遺伝子習慣の違いに驚愕した。
産後は水を触れない、新生児にお湯を飲ませるなど、独特な習慣によって産後の生活指導が大変でした
離乳食が日本とは全く違うので、指導できなかった。
イラスト・まえかわしお