一人暮らしは初期費用や生活費など、思いのほか費用がかかるものです。今回は社会人の一人暮らしにかかる費用や平均貯蓄額を徹底解説します。また、看護師におすすめの節約術やお金の管理方法も紹介します。今後計画的に貯金できるようぜひ参考にしてください。
目次
社会人の一人暮らしにかかる費用は?
社会人の一人暮らしにかかる初期費用と1ヶ月の生活費をそれぞれ解説します。
一人暮らしの初期費用:家賃の4〜6倍が目安
初期費用とは賃貸契約にかかる費用のことです。一人暮らしの初期費用は家賃の4〜6倍が目安といわれています。以下は、初期費用の内訳と項目ごとの相場をまとめた表です。
初期費用の項目 | 内容 | 相場 |
---|---|---|
敷金 |
大家さんや管理会社に預ける費用 ※家賃滞納時の保証金や退去後の清掃費として差し引かれる |
家賃の1ヶ月分 |
礼金 | 大家さんへのお礼金 | 家賃の1ヶ月分 |
仲介手数料 | 不動産会社に支払う手数料 | 家賃の0.5〜1ヶ月分 |
家賃(共益費) |
入居した日からの日割り家賃と共益費 入居した月の翌月1か月分の家賃と共益費 |
家賃の1ヶ月分 |
火災保険料 | お部屋の火災保険料(2年更新が一般的) | 15,000〜20,000円 |
鍵の交換費用 | 鍵の取り替えに必要な費用 | 15,000〜20,000円 |
保証会社利用料 |
連帯保証人がいない場合に必要な費用 ※保証会社との契約が必須の物件も多い |
家賃の0.5〜1ヶ月分 |
初期費用は一般的に上記のような項目がありますが、実際に支払う金額は住みたいエリアや物件、不動産会社によって異なります。さらに、引越し時期によっても変動する場合があります。
また、はじめて一人暮らしをする人は、初期費用のほかに引越し費用、家具家電・生活用品代などがかかります。そのため一人暮らしを始めるにはある程度まとまったお金が必要です。
社会人になって一人暮らしを始める人は計画的に費用を貯めておきましょう。物件によっては敷金や礼金、仲介手数料が無料のところもあるため、初期費用をおさえたい人は検討してみてください。
一人暮らしの1ヶ月の生活費:およそ18万円
総務省が公表している2022年の家計調査結果では、民間借家(賃貸物件)に住んでいる単身世帯の一人暮らしの1ヶ月の生活費は178,138円となっています。以下は生活費の内訳と平均額をまとめたものです。
賃貸物件に住んでいる単身世帯の平均生活費(1ヶ月)
上記のデータは全国平均であるため、住んでいるエリアにより家賃や光熱費はばらつきがあります。とくに家賃は地域や物件の間取りに影響し、全国賃貸管理ビジネス協会が公表している全国平均家賃では、全国の地域別の平均家賃は3万円台から9万円代までと差があることがわかります。
もちろん家賃以外のお金の使い方にも個人差はありますが、社会人から一人暮らしを始める人は平均生活費の目安を知っておくことが大切です。
賃貸と寮でかかる費用は異なる
看護師が働く職場は、寮が完備されているところも少なくありません。賃貸と寮では、一人暮らしにかかる費用が大きく異なります。以下の表は賃貸と寮でかかる費用がどのくらい違うのか、初期費用の目安や家賃、生活費を比較したものです。
賃貸 | 寮 | |
---|---|---|
初期費用 ※引越し代・家具家電代含む |
約50万円〜 | 約20万円〜 |
1ヶ月の平均生活費 | 178,138円 | 141,356円 |
平均家賃 | 54,406円 | 9,966円 |
賃貸と寮では、とくに初期費用と家賃で大きな差があります。賃貸は物件にもよりますが、賃貸契約に必要な敷金・礼金などの初期費用、引越し代、家電家具の購入費用を含めると50万円程度必要です。一方、寮は敷金や礼金が必要ないため、引越し代と家具家電の購入費用だけですみます。
また総務省統計局が公表している家計調査によると、1ヶ月の生活費のうち食費や光熱費などは賃貸と寮であまり差はありません。しかし、賃貸のほうが寮よりも圧倒的に家賃が高いため、1か月の平均生活費も賃貸のほうが高くなります。
寮費用は病院によりさまざまですが、家賃は賃貸物件よりかなり安く設定されているところも多いようです。一人暮らしの費用を安くおさえたい人は寮がおすすめです。
社会人の貯蓄事情
ここからは、実際に社会人がどのくらい貯蓄できているのかデータをもとに解説します。
【年齢別】一人暮らしの平均貯蓄額
金融広報中央委員会が公表している家計の金融行動に関する世論調査より、単身世帯の年齢別金融資産保有額(以下貯蓄額とする)をまとめました。
平均値 | 中央値 | 金融資産がない人の割合 | |
---|---|---|---|
全国 | 871万円 | 100万円 | 34.5% |
20代 | 176万円 | 20万円 | 42.1% |
30代 | 494万円 | 75万円 | 32.4% |
40代 | 657万円 | 53万円 | 35.8% |
50代 | 1,048万円 | 53万円 | 39.6% |
60代 | 1,388万円 | 300万円 | 28.5% |
平均値は、すべての貯蓄額を調査した人数で割った値を示し、中央値はすべてのデータを順番に並べたときにちょうど真ん中にくる値のことです。
平均値は、高所得者や高額資産保有世帯の貯蓄額に影響され極端に高くなりやすいので、より実態に近い値を知りたい場合は中央値を参考にするとよいでしょう。ちなみに20代の一人暮らしの貯蓄額の平均値は176万円となっていますが、中央値は20万円とかなり差があることがわかります。
20代一人暮らしで貯金するのは難しい
上の家計の金融行動に関する世論調査の表を見ると、20代で金融資産がない人の割合は全体の42.1%となっています。つまり一人暮らしをしている20代の約4割は貯蓄ができていない現状があるということです。
一方、ソニー生命が実施した社会人1年目と2年目の意識調査2023では、初任給の使いみちについて「貯金」と回答した社会人1年目が44.4%と最も多く、貯金を増やしたいと考えている新社会人が多いこともわかります。しかし、一人暮らしとなるとお金を貯めるのは簡単なことではないといえるでしょう。
看護師の貯蓄事情
一般的に給料水準が高いといわれている看護師の貯蓄事情はどうなのか、ナース専科では現役看護師を対象に貯蓄に関するアンケートを実施しました。
アンケート結果では、8割以上の看護師が貯蓄していると回答しています。将来に備えてなんらかの資産形成をしている人は多いようです。貯蓄している人と貯蓄していない人、それぞれの意見を見てみましょう。
【貯蓄している人】
- 老後が心配だから貯金している
- 看護師としてのキャリアアップ目的ではなく、子育てのために貯蓄している
- 病気など何かあったときのために貯金している
【貯蓄していない人】
- ストレス発散のために浪費してしまう
- 毎月定額ずつ貯金しようとしているが、支出が多くたまにしかできていない
- まだ新人なので奨学金の返済にあてている
貯蓄する理由として結婚や子育て、老後など、将来のためという意見が多くなっています。一方で、貯蓄していない人の意見を見ると、一般的に給料水準が高いといわれている看護師でも余裕がない人もいることがわかります。
若いうちからお金を貯めるためには、意識して節約やお金を管理する必要がありそうです。
看護師におすすめの節約術3選
ここでは看護師におすすめの節約術3選を紹介します。社会人になって計画的に貯金・貯蓄するためにも、看護師ならではの節約術を知っておきましょう。
固定費から見直す
固定費とは光熱費や携帯代など、毎月必ず必要な費用です。固定費は一度見直しておけば、その後もずっと節約効果が続きます。一人暮らしを始めるタイミングから固定費を安くおさえて節約を心がけましょう。まず見直したい固定費をまとめたので、ぜひ参考にしてください。
自炊の習慣をつくる
一人暮らしを始めたら自炊を習慣にして、食費をおさえてみましょう。最近では一人暮らしの作り置きレシピや時短レシピも充実しています。
ただし仕事が始まると、慣れない環境や忙しさで自炊する余裕がなくなるので、無理は禁物です。まずは1週間に1回や1品だけなど、自分ができる範囲でチャレンジしてみましょう。ゆるく自炊するだけでも外食が続くよりは金銭的にも栄養的にも良いはずですよ。
お金を使わないストレス発散方法を見つける
看護師ならではの節約術として、お金を使わないストレス発散方法を見つけることをおすすめします。看護師は忙しく心身の負担も大きいため、ストレス発散として浪費してしまう人は少なくありません。
たまにはご褒美に好きなものを買うのは良いのですが、お金は有限です。買い物や友達との遊びに使いすぎて散財しないように注意しましょう。
また、あまりお金がかからない趣味やストレス解消法を見つけておくと、その後の人生にもプラスです。自然と触れる趣味や没頭できることなど、自分にあったストレス発散方法を見つけてみてください。
余裕があったらチャレンジ!お金が貯まる管理テク
ここでは計画的にお金を貯めるための管理テクニックを紹介します。働きだして余裕が出てきたら実践してみてくださいね。
自分の収支を把握する
社会人として給料がもらえるようになったら、まずは1ヶ月の自分の収支を把握しておきましょう。どの程度の収入と支出があるか把握していないと貯金できる額がわからないからです。
しっかり管理するのが苦手な人は、ざっくりでも良いので自分の収支を把握しておきましょう。細かく計画的に管理したい人は、家計簿手帳やアプリがおすすめです。
貯金・貯蓄用の口座を作る
計画的にお金を貯めたい人は、給料口座とは別に貯金・貯蓄用の口座を作るのもよいでしょう。収入と支出、貯金をひとつの口座で管理するのは便利かもしれませんが、手元にお金があると使いすぎることにもつながります。
自分の収支をだいたい把握したら、別の口座を開設し一定額を先に口座に移す先取り貯金で計画的に貯金してみましょう。銀行によっては目的別に口座を分けることができるところもあるので、活用してみてください。
費用別に月予算を決める
仕事に慣れて収支の管理や一定の貯金ができるようになってきたら、費用別に月予算を決めて管理してみましょう。毎月変動する食費や交際費、美容代などは用途別に予算を決めておくと節約が意識できるようになります。
月末に余ったお金を貯金に回せるうえ、予算と支出を把握し定期的に見直すことでさらなる節約効果も期待できますよ。
iDeCoやNISAで運用する
定期的に貯金ができるようになってきた人は、よりかしこく資産形成するためにiDeCoやNISAでの運用を検討してみてください。iDeCoやNISAは国の制度を利用し、節税しながら資産運用できる制度です。
もちろん投資のためどちらもメリットとデメリットはありますが、節税や非課税のため資産運用をはじめるにはおすすめです。
一人暮らしをはじめる人へプチアドバイス
はじての一人暮らし、はじめての仕事で不安を感じている人は多いでしょう。実際に仕事が始まると慣れない環境に戸惑い、仕事も生活も思い通りにいかないことがあるかもしれません。
まずは何事も完璧を目指しすぎないようにしてくださいね。また一人暮らしのやりくりは、次のポイントを意識しながら自分にあった方法を見つけてみてください。
- 貯金は将来の自分を豊かにする投資と心得る
- 仕事が始める前に貯金できる仕組みを整えておく
- 余ったお金を上手に活用して生活を楽しむ
一人暮らしにかかる費用を理解しておこう
社会人の一人暮らしは、初期費用のほか毎月の生活費に約18万円かかります。社会人になって貯金ができない人もいるため、給料水準が高めの看護師であっても貯金するには上手にやりくりする必要があるでしょう。将来の自分のライフプランやキャリアプランのためにも、早いうちに節約術やお金の管理術を身につけ貯金ができるようにがんばってくださいね。
【こちらもチェック!】基礎看護技術を学ぼう
新人看護師は覚えることも多く、日々の勉強が大変ですよね。ナース専科では、看護師さんに有益な看護知識に関する情報を日々発信しています。以下では、新人看護師が知っておきたい基礎看護技術について、図や画像を使いながら目的、根拠、手順、手技のコツまで詳しく解説しまとめています。ぜひご活用ください!
参考
総務省統計局:2022年 家計調査 家計収支(2024年1月4日閲覧)
全国賃貸管理ビジネス協会:全国家賃動向(2024年1月4日閲覧)
金融広報中央委員会:令和4年 家計の金融行動に関する世論調査(2024年1月4日閲覧)