看護学生時代から、常に問われてきた「看護観」。
特に就職や転職する際には必ずと言っていいほど、自分の看護観を明確にしなければならず、改めて自分の看護を見つめなおすことも…
忙しい毎日の中で、実際に具体的に看護観を持って日々の看護にあたっている看護師はどのくらいいるのだろう?
全ての看護師が「看護観」を持っている?
ナース専科調べ(2023年7月11日/有効回答数:849)
明確な看護観を持っているナースとそうでないナースは半分半分という結果に。
看護観を持っているナースの多くは「寄り添う」をキーワードにして、誰にいつどんなふうに寄り添うのかも重要になってくるよう。
一方、忙しくて看護観どころではない場合も多いが、敢えて看護観を持たないナースの意見も聞いてみよう。
看護観を持っている
それぞれの立場に立ってみる
自分がその人だったらどうしてほしいのだろう? と相手の立場になって行動する
自分の家族だったらどんな看護を受けたいかを意識して関わっています。
対象となる患者が「自分だったら」「自分の大切な人だったら」と思いながら看護を提供する事
最も多い「患者さんに寄り添う看護」
患者さんの気持ちに寄り添い、患者さんの背景を理解して、心身ともに安心感を与えること。
患者さんに誠実に向き合い、その人の人生に寄り添うお手伝いをすること。
悩みや苦しみに対して聴くこと、寄り添うこと、伴走すること。その人が孤独にならないケアの提供をしている。気持ちが楽になる、元気になるような、人に勇気や希望が伝わる存在であることを心掛けている。
患者さんの持つ力を引き出す
患者さん自身が持ってる力を最大限に生かした患者さん本人が望む生活が送れるように支援する
患者さんの持っている力を見つけ、それを引き出していくこと。
利用者さんの潜在的な力を引き出して自ら自分らしい生活を見出せるよう生活の調整を手助けすること
その人らしい生き方を一緒に考える
患者さんの話を傾聴し、患者に寄り添い自分らしく生きられるように、一緒に考え、行動に移せる様に援助すること
患者さんがその人らしい生活をおくることができるよう支援すること。
患者自身に自分の人生を決めさせること
家族への看護も大切にしたい
看護師がしてあげたいことではなく、患者家族が何を望んでいるかを大切にすること
患者とその家族を含めて、病気を持ちながらも笑顔で過ごせて、乗り越えられるように寄り添うこと。
その人とその家族のもつ力を引き出す。
私の病院では終末期の方がほとんどであり死への捉え方について深く考えることが多くありました。その中で私は、患者さん家族が悔いを残さず死を受け止められるよう患者さん、家族に寄り添いたいとかんがえている
在宅・退院後を見据えた看護
患者さん、家族に寄り添って安心して在宅で生活できるように援助すること
慣れ親しんだ地域で、できる限りその方が望む生活をして頂くこと。
患者さんの入院前の生活を知り、退院後に困らないようADL向上に務め、家族とも関わる
多少厳しくても後から患者さんがあのときあの看護師の話を聞いていてよかったと思ってもらえるように、退院後の生活を意識しながら関わっている。
正しい知識や情報提供も大切
患者さんの気持ちに寄り添い安心して治療や検査を受けて頂くため情報を正しく伝え理解と了承を得ることが大切である
たくさんの知識と高い看護ケア技術で患者さんの苦痛をより早く軽減させる
看護技術も大切
安全、確実に業務を遂行する事。
正確な看護技術の実施とその人にとっての安楽な看護
看取りの看護への価値観
人生のエンディングでは、不必要な医療介入はいらないのでは、と思っています。最後までその人の力で生き抜くには、苦痛を取り除くような医療的な処置のみにして、暖かさ、心地よさなどを重視しています。
看取りの方ばかりなのでその人らしい最後にしてあげたい、一人で死なせない
最後まで口から食べれる生活を支援。心残りのない看護を実践
患者さんの想いを大切にし、寄り添うケアをおこなうことで最後まで患者さんのQOLの向上を目指すこと。
看護観は持っていない
敢えて看護観は持たない
看護感というよりも患者さんに対して何が一番大切なのかを重視したい
自分の中での色々な経験もあり、看護観も絶対という物ではなく、患者さんを取り巻いている環境で判断しています
正義の反対は、相手の正義、だったりするので、あえて明確な看護観を持ちたくない。
患者さんによって看護観も変化する
患者さんごとにやりたい看護が違うから
患者さんをみてると、その都度変わるから、明確な看護観が無い。
看護観と言うと壮大すぎてわからない。実際にはひとりひとりに向き合うしかない。
忙しすぎて看護観どころではない
忙しくて目の前のことをこなすのに精一杯で、看護観など考えてる暇がない
業務優先になってしまい看護観を考えるのが難しくなった。
昔はあったけど…
昔はあったが今は遠くに忘れてしまった
夢や理想があった頃に描いてた看護観も実際の忙しい現場で見失ってしまった
最初はあったのかもしれないけど、すっかり気持ちが荒んで、淡々と仕事をこなすのが1番だと思う様になった。
イラスト・まえかわしお