看護師の仕事の中で「お看取り」はとても重要な役割だが、常に正解がなく看護師の本当の力を試されると言っても過言ではない難しいケアの1つ。
さらに、「お看取り」の経験は看護師ごとの看護観に大きな影響を与えることも多いはず。
お看取りを経験して多くの看護師たちは何を思い、看護観にどんな変化があったと感じているのだろうか?
お看取りの経験は看護観を変える?
ナース専科調べ(2021年12月17日/有効回答数:160)
約6割のナースはお看取りを経験したことで看護観が変化したと回答。無力感や後悔を感じることも多いけど、看護観を見直したりさらに看取りの看護を深めるきっかけにも。
看護観が定まっているナースも、自分の看護観が不透明なナースも、たくさんのナースのお看取りに対する思いを知ることで、改めて自分の看護観を見つめなおすきっかけにもなるはず!
看取り後に看護観の変化あり
無力感を感じることも多い
亡くなった後で、後悔しても何もできないということを、看取りの時にいつも感じる。
無力感を感じた
看護師として出来るキャパを感じた
看護師としての後悔も
もう少したくさん話をしていればと思った。
もっと患者の状態の異変に気づき、処置・治療ができていたらと思う
知識がもっとあれば助けることができたと思った。
どこまで医療行為をして良いのか、患者さんはほんとはどうしたかったのかなど、いまだに正解がわかりません
看護観を考えるきっかけに
何ができるかを真剣にその人の最後の手助け出来るように考えるようになった。
施設での看取りを経験し,医療行為重視でなく寄り添い安らかな最後とはと考えさせられました.
看取りを経験して、その日を振り返ったときにもっと出来ることがあったのではないかと思ったり、その前に患者さんの異変にもっとはやく気づいて何か対応できたのではと思い、看護1つ1つを振り返りほんとうに最適だったか考えるようになった。
自分自身の人生観も変化
今日を悔いなく生きようと思うようになった
人生の最後をどう終えるか。自分や家族はどうしたいのか。考えるようになった
看取りを通して生きることを考えるようになった。
看取りの看護を深めたい!
どのようにすればより安楽に穏やかな最後を迎えられるかと看護のクオリティを高めたいとおもうようになった
家族の思いや利用者にとって一番いい方法等看護師としてできることは何かを考えて日々学ぶようになった
家族への心理的アプローチの未熟さを感じ、更に勉強しなければと思った
治療の過程の看護より、看取りに携わる看護の難しさを感じ、体の変化(1から)学び直したいと思った。)
高齢者にのぞまない必要以上の点滴が苦しみを増していく、穏やかな死を迎えさせてあげられないことを、年をとり普通に死んで逝くことをのぞむ方に最後までその思いに寄り添えるようになりたいと思いました!
力不足があるのに患者さんは感謝してくれた。もっと頑張らないといけないと思った
普段の看護への影響
日々のケアを手を抜かず丁寧に行うようになった。
穏やかに旅立てるよう、こちらも常に穏やかに余裕をもって接しようと思った
死に立ち会わせてもらい、患者さんとの出会いは本当に一期一会であり、今すべきケアを大事に大事に関わらせていただこうと思った。
ただ後悔しないように患者さんが求めていることはすぐに対応出来るように意識するようになった。
家族看護の重要性を再認識
看とりのときは家族看護を考える必要性を強く感じた。
緩和ケア病棟を経験しその人らしく逝くことに、患者家族に看護師として何ができて次の課題は何か考えれるようになった。
家族との時間をつくるためにどうしたらいいかと思うようになった
看取り後も看護観に変化なし
既に看取りの覚悟はできていた
見取りをする覚悟で看護師になっているため
看取りに関わることが多い特養老人ホームに勤務した時点で理想的なケアについて考えていた
若い頃からホスピス勤務だったため、そこで死生観を学ばせていただいた感じです
病院でも施設でも自宅でも、御本人ご家族にとって満足していただけるような看護を提供してきた
変化ではなく自分の看護観を再確認
患者様の気持ちに寄り添える看護を目指したいと再確認できた
最期の時を大切に過ごして欲しいと言う気持ちは変わらなかった。
元々、患者と家族の望む方向に支援したいと思っていたから。
いつも自分の家族だったらと思い接しているので特に変わらない
自分の人生観は変化した
看護観に変化はないが、人生観は変わった。
もともと延命治療に対して疑問を感じていて、人が自然に亡くなる過程が病院では難しいと感じていました。正直、初めての看取りでは「自分はこの様な亡くなり方はしたくない」と思った。
後悔のないように生きようと思った
看取りが続くと…
日々、行われる看取りに、感情を表す事をしなくなった
おみとりが多く変化は無い
続くとどうしても業務的になってしまう。
業務が優先になってしまうことも
業務に差し障りのないよう死後処置を手早く行うことの方が優先順位が高くなった
他の業務もあるので、ご家族の気持ちに寄り添う余裕はないことがバレないように気をつけていた。
どんな患者さんでも同じように接している。感情移入し過ぎて、業務に支障をきたしたくない。
人はいつか死ぬし、業務の一環と考えるようになった
イラスト・まえかわしお