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【連載】知っておきたい お金のはなし

看護師も老後2,000万円必要?独身の場合は?本当に老後必要な金額を考えよう

  • 公開日: 2021/8/5

 

少し前に話題になった、老後2,000万円問題。
「本当に2,000万円も必要なの?」
「看護師で独身の場合は?」
と思った人もいるのではないでしょうか?


 

結論から言うと、看護師や独身の場合は2,000万円必要とは限りません。
2,000万円とは、夫65歳・妻60歳以上で無職の夫婦の平均的な生活費を元に導き出された数字です。


専門職である看護師は60歳以降も働く人が多いですし、独身であれば夫婦2人暮らしほどの生活費はかかりません。看護師だからといって老後も安泰とは言えませんが、結局一人ひとり必要な老後資金は違うのです。


そこで気になるのが
「じゃあ、看護師である私の老後資金はどうやって考えたらいいの?」
という疑問ですよね。


この記事を読めば、看護師のあなたに必要な老後資金の考え方と積み立て方法がわかります。
「老後資金の考え方や、貯め方がわからない」
こんな看護師さんは、ぜひ参考にしてください。

 

老後2,000万円の根拠をわかりやすく解説

まずは「老後資金2,000万円」の根拠を見ていきましょう。
元になっている数字は、総務省の「家計調査」による老後の高齢者世帯の生活費です。

<2,000万円の根拠1)>

・2017年度の「家計調査」によると、夫65歳以上・妻60歳以上の高齢無職世帯の毎月の生活費は5.5万円不足している
・毎月5.5万円の不足が30年続けば、合計金額は2,000万円

つまり、60歳以降は働かず年金暮らしをしている夫婦の平均生活費から単純計算した数字が2,000万円です。

しかし専門職である看護師の場合、60歳以降も嘱託やパートといった形で働く人は多いです。また日本看護協会の調査によると、全看護師のうち31.7%の人が独身者となっています。

働き方も生き方も多様化している現代。
手に職があり自立できる看護師の老後が、「定年後は仕事を辞めて年金のみで暮らす夫婦」になるとは限らないでしょう。

また同じ年の調査では、60歳以上の高齢無職世帯の貯蓄平均は2,384万円あることがわかっています2)。老後資金が2,000万円不足するとしながらも、平均では2,000万円超の貯蓄があるのです。

老後2,000万円は、「元々2,000万円の貯蓄があるから毎月5.5万円取り崩している」金額なのかもしれません。

看護師で老後も働きやすいからといって、まったく貯蓄をしなくていいということではありません。

大切なのは、2,000万円という数値に惑わされないこと。
自身の働き方や結婚の有無など今後のライフスタイルをよく考えたうえで、本当に必要な老後資金を考えることです。

 

看護師が考える老後資金のポイントは年金・退職金と老後の生活費・働き方

看護師さんが自分にとって必要な老後資金を考える際のポイントは、以下の3つです。
・老後にもらえるお金=「年金と退職金」の目安を確認しておく
・老後の生活費の目安をざっくりと決めておく
・老後の働き方を考えておく

これらは今後の結婚や子どもの有無、ライフスタイルによって変わってくるため、現時点ではっきりした答えは出せません。

まずは老後のお金に関する平均的な実態を把握しておき、いくつかのパターンを計算して備えておきましょう。ここでは看護師が知っておきたい平均的な老後の実態を紹介しますので、自身の老後を考える際の参考にしてください。

看護師の定年年齢や老後の働き方

看護師はそれぞれの勤務先によって定年年齢が決まっていて、平均的な定年年齢は60歳です。

ただし、看護師という資格に定年はありません。
そのため60歳以降も、嘱託看護師やパートとして勤務するケースは多いでしょう。

日本看護協会の調査によると、60 歳以上の看護職員には以下の雇用継続措置がとられています3)
・65歳までの継続雇用制度を導入している施設:71.8%
・定年を 65 歳に延長している施設:6.9%
・定年制度を廃止している施設:0.6%

およそ80%近くの施設が、60歳以降も今の職場で働ける環境を整えています。
また現在の職場で継続して働かなくても、訪問看護師や介護施設への転職といった働き方もあります。
今後日本は少子高齢化が加速していくため、病院や介護施設からの需要が途切れることはないでしょう。

他方で、「看護師としての働き口はあっても収入が下がる可能性」には注意が必要です。

非正規雇用の看護職員の平均時給は、1,400円~1,600円程度3)
時給1,500円だと、1ヶ月140時間働いても21万円です(1日7時間×月20日働くとして計算)。
勤続10年の看護師(非管理職)の給与平均は約32万円3)ですので、10万円程度収入が下がる可能性があります。

いくら働き口があるとはいえ、老後の生活費に見合う収入でなければ生活は厳しくなります。
老後にはいくらぐらいの生活費が必要なのか、年金はいくらくらい見込めるのか。
それぞれの目安を確認しておくことが大切です。

看護師の年金・退職金・老後の生活費の平均額(単身・夫婦の場合)

ここでは老後にもらえる年金・退職金と、老後の生活費はどれくらいかかるのかの目安をご紹介していきます。

「老後も働けばいいから……」といっても、収入より生活費が高ければ家計は赤字です。
年金と退職金、そして老後の生活費を見越したうえで、自身の老後の働き方を考えてみてください。

単身世帯 夫婦
年金4) 国民年金 平均月額5.6万円
※満額受給なら月額6.5万円
厚生年金 平均月額14.4万円
退職金5)
(高校卒)
定年退職 平均支給額1,618万円
勤続20~24年 平均支給額525万円
勤続25~29年 平均支給額745万円
老後生活費 (60歳以上の単身世帯)
平均月額13.9万円6)
(60歳以上の夫婦ともに無職の世帯)
平均月額23.9万円6)
(60歳以上で夫婦のどちらかが働いている世帯)
平均月額28.8万円7)

上記はあくまで平均額です。
実際に自身の老後資金を考える際は、以下の方法で確認しましょう。

<自身の年金・退職金・老後の生活費を確認する方法>

・年金受給額の計算
(1) 毎年誕生月前後に届く「ねんきん定期便」で見込額を確認する
(2)【おすすめ】日本年金機構のホームページで「ねんきんネット」に登録し、「年金見込額試算」ツールを使う
▼「ねんきんネットとは?」▼
https://www.nenkin.go.jp/n_net/nenkinnet.html

・退職金額の確認
社内の退職金規程や説明資料を確認し、退職金制度を確認。計算方法がわからない場合は人事や総務担当者に目安を尋ねてみよう

・老後生活費
老後生活費は各家庭の住居の状況(持ち家か借家か)やローン完済状況によって大きく異なる。一般的な目安は現在の生活費の60%~70%と言われているが、自身で「どのような老後にしたいか」を考え、家族と話し合うことも大切

日本看護協会の調査8)によると、看護師が老後の収入源としてもっとも頼りにしているのは公的年金でした。しかし一方で、20代・30代の看護師で老後の公的年金予定額を把握している人は10%未満にとどまっています。

20代・30代でしっかり将来の年金予定額を把握しておけば、老後に向けて今蓄えるべき金額を考えやすくなります。上記でご紹介した方法で公的年金や退職金を確認し、老後の生活をシミュレーションしておくようにしましょう。

 

老後資金が足りない!そんな時は「じぶん年金」を始めよう

「独身ならいいけど、結婚して子どもができたら足りなくなりそう」
「まだ若いし、結婚や将来のことがわからないから検討がつかない」
という人もいるでしょう。

金額が足りない人や将来がわからず不安な人は、自身で備える「じぶん年金」を始めることをおすすめします。20代・30代の若いうちに始めれば、毎月貯める金額も少なくすみます。
将来結婚して子どもができたり、独身でマンションを買ったり。
自分がどのような選択をとるかわからないからこそ、何かしらの「じぶん年金」があれば安心できるのではないでしょうか。

自分で老後資金に備える「じぶん年金」として、おすすめの方法は以下の3つです。


<おすすめ!3つの「じぶん年金」>

・iDeCo(個人型確定拠出年金)
保険・預金・投資信託の中から自分で選んだ商品で運用をする私的年金制度。掛金は全額所得控除・運用益も非課税で節税効果に優れているが、途中でやめたり、資金を引き出したりできない。60歳まで資金を引き出せないため、「老後資金準備と節税に特化した商品」を求めている人に適している

・つみたてNISA
金融庁が「長期投資に優れている」と認可した投資信託で積み立て投資をする制度。投資信託なのでリスクはあるが、長期的に積み立てしやすい商品が登録されているため、比較的低リスクで運用できる。運用益は20年間非課税。積み立て金額は自由に設定でき(年間40万円まで)、積み立てた資金はいつでも引き出せる。「お金に色を付けずに老後資金の運用を始めたい」に適している

・個人型年金保険や終身保険などの貯蓄型保険
万一の死亡保障をベースに、老後資金も用意できる商品。あらかじめ将来の受取金額を把握できること、元本保全性が高い点が特徴。保険機能がベースであるためリスクが低く、それゆえリターンも低い。「遺族保障を持ちつつ手堅く老後資金を備えたい人」には適している

iDeCoは毎月5,000円から、つみたてNISAは月々数千円程度から始められます。
貯蓄型保険は年齢やプラン・保険会社によって違いますが、20代であれば月々5,000円~1万円程度で始められるケースが多いでしょう。

いずれにしても、始める年齢が若ければ若いほど有利に老後資金を用意できます。
「退職金や年金だけでは将来に不安がある」人も、「結婚するかどうかもわからないし、将来が漠然としていて不安」という人も、今のうちから少しずつ積み立てを始めておけば選択肢が広がります。

もし制度や商品選びで迷ったら、ファイナンシャル・プランナーへ相談してみてはいかがでしょうか。
ファイナンシャル・プランナー、通称FPとは、お金の専門家です。
あなたの人生設計を共に考え、その人生に必要な資金はいくらなのか、その資金を用意するために何をすればいいのかを教えてくれます。

「iDeCoとつみたてNISAはどちらがいい?」
「つみたてNISAの投資信託選びはどうすればいい?」
「貯蓄型保険の選び方は?」
こうした疑問にも答えてもらえます。
迷った時は専門家に相談し、将来の不安を解消してくださいね。

 

 

出 典

1)金融庁金融審議会:金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」.https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20190603/01.pdf(2021年7月21日閲覧)
2)総務省:家計調査報告[貯蓄・負債編]平成29年(2017)平均結果の概要(二人以上の世帯).https://www.stat.go.jp/data/sav/sokuhou/nen/pdf/h29_gai.pdf(2021年7月21日閲覧)
3)日本看護協会:2019年 病院看護実態調査.2020日本看護協会調査研究報告.https://www.nurse.or.jp/home/publication/pdf/research/95.pdf(2021年7月21日閲覧)
4)厚生労働省年金局:令和元年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況.「表8 厚生年金保険(第1号) 受給権者平均年金月額の推移」「表20 国民年金 受給者の平均年金月額の推移」.https://www.mhlw.go.jp/content/000706195.pdf(2021年7月21日閲覧)
5)厚生労働省:平成30年就労条件総合調査 結果の概況.4 退職給付(一時金・年金)の支給実態,(2)退職事由別退職給付額」.https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/18/dl/gaikyou.pdf(2021年7月21日閲覧)
6)総務省統計局:家計調査年報(家計収支編)2019年(令和元年)家計の概要.Ⅱ 総世帯及び単身世帯の家計収支,<参考4>高齢無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯),図1 高齢夫婦無職世帯の家計収支-2019年-.https://www.stat.go.jp/data/kakei/2019np/gaikyo/pdf/gk02.pdf(2021年7月28日閲覧)
7)政府統計の総合窓口(e-Stat).家計調査 家計収支編 二人以上の世帯,表番号005 用途分類(世帯主の年齢階級別).https://www.e-stat.go.jp/(2021年7月28日閲覧)
8)日本看護協会医療政策部編:日本看護協会調査研究報告<No.92>2018 2017年 看護職員実態調査.https://www.nurse.or.jp/home/publication/pdf/research/92.pdf(2021年7月21日閲覧)

 

この記事を書いたのは

服部 椿
金融代理店での勤務経験と自身の投資経験を活かしたマネーコラムを多数執筆中。
子育て中のママFPでもあり、子育て世帯向けの資産形成、ライフプラン記事の執筆が得意。
保有資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士

記事監修:株式会社ファーストプレイス

イラスト:tetekun




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