新人ナースに贈るエールの第1回は、最前線で不妊治療に取り組む「はらメディカルクリニック」院長の原利夫さん。「究極の自己犠牲」が座右の銘という原さんが、ナースに送るエールとは――。
ナースという仕事
ナースは、”白衣の天使”といわれますが、現代社会に降りてきた天使が、今まさに天使として羽ばたく日を迎えています。
誰にとっても社会人になり、職業を選択することは、非常に難しい判断と言えます。自分の適性、能力、やりたいこと、生き方、将来の不安など、本当の自分との内なる会話は、不安がいっぱいです。
現代の大学生の多くは、何がやりたいとかの具体的な目的もなく就活に入るため何十社もエントリーしたり、まったく違う業種を応募したり、目的があいまいなまま社会人となります。ですから、最近の総務省の統計によりますと、就職3年以内の離職・転職率は30%を超える状態だそうです。
そんな社会情勢の中、ナースという職業・医療業界で働くという目的意識を持つことは、人間形成で半歩前に出たと言えます。もちろん、ナースという職業に迷いや不安を感じることはあると思います。当然のことです。特に最近は、「自分探し」がかっこいい流行ですから、どうしても「これでいいのか、自分のやりたいことはこれなのか?」と思われると思います。
そんな時の、考え方のヒントをひとつご紹介しましょう。
「夜と霧」の著者E・フランクルは、「社会が自分に何をしてくれるかではなく、自分が社会に何が出来るかを考えるべきだ」と述べています。つまり、社会に貢献するということが、人としての生きる姿だということです。
※次ページでは「ナースの成長」についてお話します。