単一民族が主流であった日本も近年は多くの外国人も増えてきました。医療ツーリズムといって、自国では受けられない、または安価で質のよい医療を求めて国を超えて治療を受けに来る産業も増えてきました。そしてまた日本はアジアより外国人ナースを受け入れるようになりました。このような中で看護も日本人だけに通じるものでなく、さまざまな文化に対応できるような看護力も求められてきています。
この連載では、多くの人種があつまる、人種のるつぼであり、また外国人ナースを長く受け入れているアメリカの看護より、私の実体験も含めた国際派ナースへのレシピをご紹介したいと思います。
外国で働くなら言語習得は当たり前とはいえ……
アメリカでは長くの間さまざまな国から外国人ナースを受け入れてきました。アメリカの公用語は英語ですので、RN(レジスタードナース、正看護師)またはLPN(ライセンストプラクティカルナース、準看護師)の資格を取りたい場合は、ナースになるための試験と一緒に英語の試験も課されます。日本に来る外国人ナースが日本語を上達させなければいけないのと同じです。
最近のニュースから日本で働こうとする外国人ナースたちは日本語の習得にとても苦労しているというのをよく聞きますが、同じような経験をした私にとってもその苦労は痛いほどわかります。外国で働くなら、外国語の習得は不可欠! と一言で言ってしまうことは簡単です。そして、それが当たり前なのですが、実際、その立場になってみないとどれだけ大変なことかというのは想像がつき難いのではないでしょうか?
テキストに載っていない口語
英語を話す人たちにとって日本語と言うのはカテゴリー3という、中国語、アラブ語、韓国語などが含まれ、特に習得が難しい言語の中のひとつであることはご存知でしょうか?(資料1参照)
これは英語を話す人にとっての難しい言語の分類ですが、難易度に多少の差はあってもどんな外国人にとっても日本語が難しい言語であることは変わりないと思います。
英語は、日本語のようにひらがな・カタカナ・漢字と分かれていません。ですが、テキスト上で学ぶすべての英単語が実際の生活で役に立つわけでもありませんでした。実際、口語というのはどこの国でもテキストにはなかなか載っておらず、しかも現場で働くとき使うものは口語であり、これは何度も話して使うところからしか上達出来にくい部分なのです。
ある研究では外国人ナースで言語習得が未熟であると、見下される傾向があるとありました。言葉が足りないがために、能力を過小評価されてしまう可能性があるというわけです。アメリカでも起こっていることですから、日本でも起こりえますね?
(資料1)
http://multilingualbooks.com/languagedifficulty.html
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