コラム
  • 公開日: 2018/11/5

【連載】ナースの転職知恵袋

【看護師のリアル転職体験談 36】療養型病棟から介護系通所施設へ

1.子供たちが大きくなったことで、ライフスタイルを変えるべく転職

我が家には年子で3人の子供たちがいます。看護師の資格を取得してすぐに1人目の妊娠がわかり、一度は看護師そのものから離れていましたが、一番下の子が幼稚園へ入園したタイミングから今まで約15年間、少しでも家計を助けるため、療養型病院で働いてきました。

そして今年、一番下の子が高校を卒業して就職したことをきっかけとして、それまで経済的なことを考えて働いてきた療養型病院を離れ、自分の時間も持てそうな介護系の仕事へ転職する決意をしました。

2.前の病院を退職してから、新しい施設に転職するまでの流れ

今までの病院は看護師が足りず、毎月最低でも6回は夜勤をしなくてはいけず、体力的にもかなり厳しいと感じていました。40代となり、体力的にも疲れがとれにくくなっていたため、私は1日でも早く今の職場を辞めたいと考えていました。しかし悲しいことに、職場では人手不足ゆえに徹底的に退職を妨害してきました・・・。

STEP1:これまで病棟のためと頑張ってきたのに・・・

おそるおそる師長へ「退職したい」と口頭で伝えたところ、私はすぐに裏のカンファレンス室へ連れて行かれました。そして、「なんで急にそんなことを言うの?」「こんな人手不足なのに、なぜあなたは辞めたいなんていえるの?」と矢継ぎ早に私を責め立ててきました。

これまで、病棟のためと思い、休日であっても臨時で出勤したこともありましたし、熱を出し、お母さんがいいと泣いている子供を親に預けて出勤していました。なのに、辞めたいという一言をいっただけで、私のこれまでの努力がすべて水の泡になっているのを感じました。

そしてこの師長の言葉から、逆に「もうこの職場に未練はない」と思いが吹っ切れました。

STEP2:子供に協力してもらい、ネット上の求人を探す

これまで転職経験のなかった私は、転職のためにどうしたらいいのか、よくわかっていませんでした。そこで、頼りになる長男へ相談したところ、インターネット上に掲載されている求人情報の探し方を教えてくれました。

そして、去年就職活動をしたばかりの下の子も一緒に、職場探しの条件等を整理し、ネット上の求人を一つひとつ吟味しました。

STEP3:良さそうな求人へ、直接電話をしてみる

子供と一緒に求人を見ながら、良さそうなものをいくつかピックアップしました。しかし、求人票には有給休暇の日数やボーナスなど、知りたいと思う情報はあまり掲載されていません。

下の子曰く、「そういうのは直接電話して聞いてみるんだよ」とのことでしたが、自分から直接電話するなんて、と腰が引けてしまいました。すると上の子から、「これからずっとお世話になる職場なんだから、直接電話して雰囲気を確認することも大切では?」と言われ、「確かにそれも一理ある」と納得した私は、意を決して特に気になった数件の求人へ直接問い合わせの電話をしました。そして、一番条件の良いと感じた一つの職場へ面接に行きました。

STEP4:療養型病院で頑張ったことが評価されるうれしさ

面接に伺った職場は、デイケアを行っていました。

これまで療養型病院では多くの方が認知症を患っていましたが、そのデイケア施設は老年の精神疾患を抱えた方を対象としており、もちろん認知症の方もたくさん利用されていました。施設長は朗らかに「15年も療養型へ勤務されていた方が、当施設へ来てくださるのならば、大歓迎です」とおっしゃり、その場で内定をいただくことができました。

私のこれまでの仕事を評価していただけたようで、とても嬉しかったです。

STEP5:デイケアへ行くといった私に、師長が言ったのは

デイケアへの転職を決めた私は、次の日、師長へ改めて退職を申し出ました。師長はまさか本当に辞めるとは思っていなかったようで驚いていましたが、すでに転職先を決めたというと一言「本当はあなたに、来年師長になってもらいたかったのに」とおっしゃいました。

実は今年度いっぱいで部長が退任される予定であり、今の師長が部長に昇進するため、次期師長として私を考えてくださっていたそうなのです。これまでの言動から、本音を言うとこれ以上この人の下で働きたくないとも思っていたので、良いタイミングで転職できたのだなと思いました。

そして同時に、こんな私を師長にしたいと思っていただいていたことに対し、感謝の気持ちを持ちました。私は、予定通りそれから3ヶ月後、転職をしました。

3.転職してみて感じたこと

今回の転職では、子供たちの力を借りながら全部一人で行いました。私の場合はたまたま子供たちが協力してくれたので良かったですが、もしこれをすべて一人で行わなくてはいけなかったとしたら、とても無理だったと思います。

また、インターネット上に掲載されている求人へ問い合わせるのは、自分しかいません。直接電話をかけて、有給やボーナスについて問い合わせるのはとても勇気がいることであり、私はなかなかできませんでした。ですから、私のようにこういったことに苦手意識を持っている方は、無理をせず、転職サービス等を使っても良いと感じました。

4.転職してみて「良かったこと・悪かったこと」まとめ

今回の転職を通じて良かったこと、悪かったことは以下のようなことだと思います。

◎良かったこと:プライベートの時間が格段に増えた

これまでずっと病棟に勤務していたので、GWやお盆、年末年始も関係なく働き続けていました。しかし現在の職場は、そういった世間の大型連休は仕事も休みとなるため、15年ぶりにプライベートを充実させることができています。

先日も子供たちと一緒に予定を合わせて、家族旅行に行きました。こういった家族の時間を過ごせることができるのは、とてもありがたいことだと感じています。

△悪かったこと(1):報酬金額が想定以上に低かった

転職先そのものには満足している私ですが、お給料面でみるとやはり少し不満は残ります。夜勤もないですし、そこまで残業もないので、ある程度金額が下がることは覚悟していましたが、想定以上に少ないと感じました。また、ボーナス支給額も少ないため、経済的負担は軽減したとはいえ、今後のことを考えて、経済面の立て直しをしなくてはいけないと考えています。

△悪かったこと(2):職員間の関係があまりよくない

これはある程度仕方ないとは思うのですが、今の職場は介護職と看護職の仲があまりよくありません。療養型でもたくさんの介護職の方が働いていましたが、今の職場ほど軋轢みたいなものはありませんでした。同じ時間に昼休憩に入ると、気まずい雰囲気になり、あまり良い気分はしません。

5.自分で納得するまで調べ、考えたことが良かった

悪かったことをいくつかあげてしまった今回の転職ですが、全体を通して見ると、転職したこと自体はとても良い決断だったと思っています。そう思える理由は、子供と一緒に納得するまでそれぞれの職場を調べ上げたからだと感じています。例えば、今の職場は自転車でも十分通勤可能ですが、マイカーでの通勤もOKなので、天候が悪い時も安心して通勤することができます。

報酬金額こそ下がりましたが、その分家族とのプライベートな時間を増やすことができたので、精神的に豊かさを感じられるようになりました。皆さんもぜひ自分が納得できるまで情報を集め、どうか後悔をしない転職をしていただけたら、と思います。

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