看護師をしていると言ったとき、「給料いいんでしょ?」と聞かれたことがある人は少なくないのではないでしょうか。そして、その言葉にモヤッとしたことがある人も。心身を削って働いているのだからこれくらいはもらって当然、むしろ割に合わないと思っているかもしれません。
この記事では、看護師・准看護師の平均年収について調べ、まとめてみました。それに加えて、年収を上げるための方法についても考えてみたいと思います。
看護師の平均年収はいくら?
厚生労働省の調査(令和元年賃金構造基本統計調査)によると、看護師の平均年収は482万4000円だとされています。これは、平均年齢39.5歳・月収33.4万円×12ケ月分+年間賞与81.6万円というデータから計算した金額です。
この平均年収には各種手当が含まれ、所得税や社会保険料などが控除される前の額になります。
准看護師の平均年収はいくら?
厚生労働省の調査(令和元年賃金構造基本統計調査)によると、准看護師の平均年収は402万5000円だとされています。これは、平均年齢50.2歳・月収28.2万円×12ケ月分+年間賞与64.1万円というデータから計算した金額です。
この平均年収には各種手当が含まれ、所得税や社会保険料などが控除される前の額になります。
看護師・准看護師の年収、比較してみた!
平均年収はわかりましたが、これだけでは高いといえるのかどうか判断できませんね。看護師・准看護師の平均年収を全職種の平均年収と比較してみましょう。
看護師と全職種の平均年収
看護師(男女) | 全職種(男女) |
482.4万円 | 500.6万円 |
看護師(男) | 全職種(男) |
495.2万円 | 559.8万円 |
看護師(女) | 全職種(女) |
481.0万円 | 388.0万円 |
出典:令和元年賃金構造基本統計調査
准看護師と全職種の平均年収
准看護師(男女) | 全職種(男女) |
402.5万円 | 500.6万円 |
准看護師(男) | 全職種(男) |
423.9万円 | 559.8万円 |
准看護師(女) | 全職種(女) |
399.6万円 | 388.0万円 |
出典:令和元年賃金構造基本統計調査
看護師・准看護師共に、平均年収は全体と男性では全職種よりも低く、女性に限れば全職種よりも高いことがわかります。このことから、看護師・准看護師の平均年収は、女性の職業の中では高い部類に入るけれど、全体から見るそれほど高くないということです。しかも、准看護師の平均年収は、女性の職業の中でもごく平均的で、全体から見るとかなり下回っています。
次に、平均年収について看護師・准看護師と他の医療職を比較してみましょう。
看護師・准看護師とその他医療職の平均年収
看護師 | 482.4万円 |
准看護師 | 402.5万円 |
薬剤師 | 560.9万円 |
放射線技師 | 501.7万円 |
臨床検査技師 | 460.7万円 |
リハビリセラピスト | 409.0万円 |
出典:令和元年賃金構造基本統計調査
医師を除く主な医療職の中では、薬剤師の平均年収が頭一つ飛び抜けており、それに放射線技師・看護師が続くという構図になっています。准看護師の平均年収は、ここに挙げた医療職の中では最も低くなりました。
また忘れてはならないのは、看護師・准看護師の平均年収には夜勤手当が含まれるということです。心身に相当な負担のかかる夜勤をした上での、この年収。どう感じるでしょうか?
看護師・准看護師の生涯年収は?
看護師・准看護師の平均年収は、年齢と共に上昇します。ピークになる年齢と額は以下の通りです。
看護師・准看護師の平均年収のピーク
年収がピークになる年齢 | ピーク時の金額 | |
看護師(男) | 52.2歳 | 574.8万円 |
看護師(女) | 57.3歳 | 533.8万円 |
准看護師(男) | 62.4歳 | 484.2万円 |
准看護師(女) | 57.7歳 | 448.6万円 |
出典:令和元年賃金構造基本統計調査
平均年収のピークを過ぎると、その後は緩やかに減少していきます。それでは、22歳から64歳まで働いた場合、生涯年収はどのくらいになるのでしょうか?看護師・准看護師の年代別平均年収データを基に試算すると、以下のようになります。
看護師・准看護師の生涯年収(22~64歳で働いた場合)
看護師(男) | 2億1906万円 |
看護師(女) | 2億956万円 |
准看護師(男) | 1億9053万円 |
准看護師(女) | 1億6292万円 |
看護師では2億円超・准看護師では1億円後半の生涯年収が得られることがわかりました。ちなみに性別を問わない全職種の生涯年収(22~64歳で働いた場合)は、2億1593万円です。
年収を上げるためにはどうすればいい?
ここまでは平均年収についてご紹介してきましたが、働き方によっては年収を上げることが可能です。そのための方法には、主に以下のようなものがあります。
夜勤や休日出勤の回数を増やす
夜勤や休日出勤の回数を増やせば、その分の手当てが増えます。ですが、過重勤務になると心身の健康を害したりインシデントの危険性が増したりするため、無理のない範囲で行うことが重要です。
役職を上げる・資格を取る
管理職になると給与がベースアップしたり、専門・認定看護師などの資格を取ると手当てが支給されたりします。その分責任が重くなることを受け入れる・チャンスを逃さないなどの心掛けが必要になるでしょう。
転職する
うまくいけば、最も効果的な方法が転職です。ですが、あくまで“うまくいけば”の話なので、リスクも少なくはありません。現在の施設に勤続して昇給していくのと、転職で得られる今後の年収のどちらがよいのか、慎重に検討する必要があります。
また、職場環境が変わることによるストレスはそれなりに大きいので、給与以外の条件も併せて満足できそうかどうかをよく考えてから決断することをお勧めします。