コラム
  • 公開日: 2019/6/25

【連載】ナースの転職知恵袋

【看護師のリアル転職体験談 67】外科のクリニックから訪問看護へ転職

1.知り合いからの勧めで、転職を決意

委員会やサービス残業にうんざりし、外科のクリニックへ転職してから5年がたった頃。町を歩いていると、偶然看護学校時代の友人に出会いました。

彼女は訪問看護師として次の訪問先へ行く途中だったので、お互い連絡先を交換してすぐに別れたのですが、そのときの彼女の生き生きとした表情が、ずっと私の頭の隅に残っていました。そして気がつくと彼女に「訪問看護について、いろいろと話しを聞きたい」と伝えていました。これが、私の転職したきっかけです。

2.前のクリニックを退職してから、新しい職場に転職するまでの流れ

外科クリニックそのものへ特に不満もないのに、なぜか強烈に「訪問看護師になりたい」と思ってしまった私。元々一度決めたら突っ走る性格だったため、日に日に訪問看護師になりたい気持ちが勝ってしまい、彼女と再会した翌月には、彼女へ「あなたが務めている訪問看護事業所を紹介してもらえないか」と聞いていました。

STEP1:訪問看護事業所から「なるべく早く」と言われる

彼女は早速事業所の上層部へ話しをしてくれたそうで、その週のうちに、事業所から直接連絡をもらいました。その方曰く「ちょうどあなたが住む地域で新しく事業所を開くことになったから、ぜひすぐにでも来て欲しい」というのです。

さすがにすぐはちょっと…と思ったのですが、「なるべく早く来て欲しい」と熱烈なラブコールをいただいてしまいました。提示された条件もとても良かったため、「早く次のステップへ行きたい」という思いが強くなってしまい、私はそのまま「わかりました」と答えてしまいました。

STEP2:主任は反対、でも院長はまさかの…

なるべく早く、が具体的にどれくらい早いのかわかりませんでしたが、次の事業所へ行くためには、それまでの職場を辞めなくてはいけません。そこでまずは看護主任へ「突然で申し訳ございませんが、来月いっぱいで退職させていただきたいと考えています」とお伝えしました。

すると主任は「何を言ってるの?こんな条件の良いクリニックなんてまずないのに。これまでも、あなたの都合に合わせてスケジューリングもしてあげたじゃない」と大反対されました。

一方で、院長先生はまさかの「あ、なら仕方ないですね。わかりました」とあっさり退職を認めたんです!実はここ数年でクリニックは赤字経営に陥っていたらしく、院長は密かにスタッフの誰かに辞めてもらいたかったそうなんです。お互いの利害が一致したことで、私の退職はすんなり決まってしまいました。

STEP3:退職が決まってから始まった、あからさまな「いじめ」

退職が決まった翌日、いつも通り出勤すると、なぜか私の内履きがいつもの下駄箱にありません。いろいろと探し回ると、なんとあったのはゴミ箱の中。呆然としていると看護主任が出勤してきて、笑顔でこう言い放ったのです。「あら、なんで内履きがこんなところにあるのかしら。まぁ、これまでの行いからしたら、こういったことをされても当然ね」

なんというか、こんな幼い嫌がらせをしてきたことに、がっかりというか、悲しいというか、怒りすらわきませんでした。今までクリニックのためにと自分なりに頑張ってきたつもりでしたが、それがこういった最後を迎えてしまうことに、悔しくも感じました。

その後も私の持ち物が次々と紛失し、その都度ゴミ箱や外のゴミ収集場においてあったりしましたが、犯人の隠し場所がそのどちらかしかなかったので、ある意味とてもわかりやすくもありました。そして私は持ち物がなくなる度に院長へ報告し、その都度、院長より謝罪を受けていました。

STEP4:院長から受け取った「贈り物」

幼児でも行わないような嫌がらせを受け続けた私でしたが、なんとか最終出勤日まで勤め上げることができました。出勤最終日、滅多にスタッフ全員を集めることがない院長が珍しく全員を集め、そしてこう言いました。

「今日で〇〇さんが退職されます。これまで約1ヶ月半に渡り、〇〇さんへ嫌がらせをしていたスタッフがいましたね。クリニックの経営者として、これほど悲しいことはありません。クリニックも赤字経営ですし、来月からはその犯人は減給とさせていただきたいと思っていますので、心当たりのある方は、早めに僕へ報告してください」

それは、嫌がらせに耐えてきた私への、ささやかな贈り物だ、と感じました。
そして顔色を一変させた看護主任を背に、私は新たな訪問看護師としての第一歩を踏み始めました。

3.転職してみて感じたこと

今回の転職は、ご紹介したように急転直下の流れでした。本当に自分が訪問看護をやりたいのか、なぜ訪問看護をやりたいのかを理解していないまま転職してしまったが故に、転職後に勉強しなくてはいけないことが膨大にあり、とても苦労しました。

訪問看護という仕事に慣れてきた今は、転職してよかったと思えているのですが、この2点を確認した上で転職したほうが、勉強へのやる気も違ったと思いますし、苦労も違ったと思います。

もし皆さんの中でも訪問看護を検討されている方がいるのなら、自分がなぜ訪問看護をやりたいのか、自分は本当に訪問看護にあっているのかを理解した上で転職されることを強くオススメします。

4.転職してみて「良かったこと・悪かったこと」まとめ

今回の転職を通じて良かったこと、悪かったことは以下のようなことだと思います。

◎良かったこと(1):給料・福利厚生など、全ての条件が良い!

私が今働いている訪問看護の事業所は、24時間対応型であることから、お給料はとても良いと思います。またそれだけでなく、多くの病院も加入している某福利厚生会社に登録しているため、福利厚生も充実しています。

例えば、人間ドッグも提携している病院へ行けば、自己負担は1万円未満で、基礎的なものの他に様々なオプション検査も受けることができるんです。人手不足といわれている訪問看護だからこそ、ここまで良い条件がそろっているのだろうな、と感じています。

◎良かったこと(2):人間関係が良い

私の事業所には現在、私を含め5名の看護師が働いています。お子さんがいる方から新卒で入職された方、もうすぐ定年となる方まで年齢層も様々ですが、お互いがお互いの良い点を生かした看護を展開しており、全員それぞれ尊敬できる方ばかりです。

訪問看護は基本的に一人で訪問しますが、お互いに情報共有することで、より良い看護を提供できるようにしなくてはいけません。人間関係が良いからこそ、気軽に情報共有ができる環境となり、みんなが働きやすい職場になっているのだと思います。

△悪かったこと:通勤時間が大変&運転が辛い

今の事業所は市街地に位置しており、基本的に車通勤はNGなので、公共交通機関を利用しなくてはいけません。自宅から事業所まで、車で直接行くと20分もかからないのですが、公共交通機関を使うと電車&バスを使わなくてはならず、なんと1時間もかかります。この40分の差はかなりきついです。

そして、そもそも運転が苦手な私にとって、各利用者さんのご自宅まで車で行かなくてはいけないというのも、かなり苦痛です。先ほどご紹介した「本当に自分にあっているのか、検討した上で転職した方が良い」というのは、こういった「苦手なことがないかどうか」という確認をした方が良い、という意味でもあります。

ちなみに、私の上司は犬が大の苦手なので、飼い犬がいるお家への訪問が苦手、といっていました・・・。

5.なぜ訪問看護へ転職したいのか、その理由を自分の中で明確にしておくべき

訪問看護は、一対一で看護を提供するため、毎日自分の提供している看護が患者さんのためになっているかどうか、確認しながらの日々です。そのため、「訪問看護は私に合わない」と、就職後数ヶ月で辞めてしまう方も多いのがまた、訪問看護の特徴だと思います。

もし今、訪問看護へ転職を検討されている方がいるのならば、なぜ自分が訪問看護へ転職したいのかをもう一度、自分の中で明確にしてみてください。明確にできれば、きっと私のようにあれこれ悩むことなく、スムーズに訪問看護師として働けるはずです!

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