第2回は化学療法・抗がん剤の副作用とそれに対するナースの役割です。アメリカではナースにどんな役割が求められているのかについて話します。
2日間の講習で基本を学ぶ
抗がん剤の投与を仕事上必要とするナースはONS(癌看護師協会)の主催するChemotherapy and Biotherapy provider courseを受講し、試験後に認定証が発行されます。その2日間の講習で、大まかな抗がん剤の種類、取り扱い方法、副作用と対処法、緊急時の対応などを学びます。ですが、この2日間では全ての抗がん剤が話し合われるわけではないので、講習後のナースの自己学習が重要となってきます。
主な副作用とナースが行う対処法
吐き気・嘔吐
- 急性悪心:治療の直後から3日以内に起こる悪心ですが、化学療法の種類によっては、前もって吐き気止めの薬を飲み始めるように指導します。
- 遅延悪心:治療後5-7日ころ起こる吐き気・嘔吐は、食事の前に吐き気止めを飲んだり、食事を3回ではなく量を減らして5-6回に分けて食べたりすることを指導します。
倦怠感
化学療法によるものなのか、貧血、又は栄養不良なのかなど、根本的な原因を突き止めることからはじめますが、規則正しい生活、少しの運動、休息など生活習慣の改善を指導することで倦怠感が緩和されることが多くあります。
続いても引き続き、副作用とナースが行う対処法について解説します。
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リアクション
まれに化学療法を開始して間もなく(1-2分以内)に突然の吐き気、掻痒、呼吸困難、発熱、血圧の上昇などが起こりますが、ドクターに連絡の前に、ナースが基準に沿い、ステロイドや抗ヒスタミン剤などの処置を行い、観察を続けます。
味覚の変化
味覚を失い、口に入れるもの全てが鉛のような味になることがありますが、患者への指導として、何か食べ続けられるようなものを探す必要があります。
極端な話、毎食ハンバーガーでも、アイスクリームでも、それしか食べられない場合には、無理やりに栄養面を考えバランスの摂れた食事よりも、患者本人の、体重や体力の維持に重点をおきます。
神経障害
指先やつま先の神経麻痺や痺れを早いうちに報告するように指導します。
また抗がん剤によっては冷たい物に敏感になるので、冷凍庫・冷蔵庫から物を取り出すときに注意するようにも指導します。
臨機応変に対応し、悪化する場合にはドクターへ報告する
化学治療の副作用は上記の他にまだまだありますが、患者それぞれ年齢、持病などにより副作用の出方が変わってくるので、臨機応変に対応していくことが大切といえます。
ほとんどの場合は、上記のような対処法で副作用は軽減されますが、患者が対処法を拒む場合や、副作用が悪化する場合はドクターへ報告し、抗がん剤の量の調節や期間の調節などが検討されます。
次ページでは、抗がん剤のトレンドについて紹介します