日本にいると、国民皆保険の感覚は当たり前です。しかし、この制度が世界中で通用するわけではありません。海外で何かあったときに「知らなかった」では済まされない事態に直面します。それは、短期滞在でも同様です。そこで、自身の経験と調査をもとに、アメリカの最新医療制度事情をまとめました。
日本と同じ感覚で病院にかかると……
今回は、健康保険のおはなしです。
みなさんは、病院を選ぶとき、何を基準に選ぶでしょうか?
「医師の患者への対応」「清潔感」「立地条件や交通の便」「スタッフの対応や雰囲気」など、少なくとも私たちに選ぶ自由があるはずです。
この日本では「当たり前」と思われていることが、実はアメリカでは極めて恵まれた条件になります。
今回は、あまり知られていないアメリカの健康保険に関するおはなしです。
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恐ろしく複雑怪奇なアメリカの健康保険
アメリカの医療費がものすごく高額なことは、みなさん聞いたことがあるかもしれません。医療費については別の回で詳しく触れますが、健康保険自体も恐ろしく複雑です。
アメリカの医療業界は、2014年1月1日からオバマケアと呼ばれる公的な健康保険と各種民間の保険会社が共存し、複雑を超え混迷状態となっています。
そこで、今回は日本とは異なる驚くべきアメリカの健康保険の特徴をまとめました。
●症状よりもまず先に聞かれるのは、「保険は何ですか?」
入っている保険の種類で受診できる病院・クリニックが異なります。受診前に、必ず自分で保険会社に保険適応か確認します。
●「医師におまかせ」は禁物
入っている保険によって、保険でカバーできる診察内容・治療・処置が異なります。受診前に、自分で調べ医師に伝えます。「医師は保険のことを知っている」と思ったら大間違いです。後から莫大な請求書が届いても、医師の責任にはなりません。
●CT、MRIなど高額検査は許可制
CT、MRIなど高額な検査は、保険会社に事前に連絡し、許可書の発行が必要です。許可書が下りる前に施行した場合は、全額自己負担になります。
例)頭部MRI(P)約1,500ドル、頭部MRI(E)約2,400ドルが保険なし金額の一例です。すべて自己負担になったらキツイですよね。
●入院・日帰り入院も許可制
保険会社に事前に連絡し、許可が必要です。入院と外来では、保険の内容が異なりますので、自分で調べておく必要があります。
●Co-payシステム
Co-pay (定額負担金) が診察料とは別にかかります。これは、座っただけで取られる居酒屋の「お通し代」のようなもので、だいたい20~50ドルとられます。救急では、100ドル以上が一般的です。
次ページも引続きアメリカの健康保険の特徴についてです。