今回は、ALSを発症した利用者さんのケースをご紹介します。
住み慣れた自宅へ
70歳代後半の男性は妻と二人暮らし。3年ほど前にALS(筋萎縮性側索硬化症)を発症し、東京女子医科大学病院での入院期間を経て、住み慣れた自宅へ戻った。ケアプロが介入するきっかけは、同病院の退院調整ナースからの依頼だった。
退院時は自発呼吸が可能で、食事介助は口元へ持っていけば食べることができたが、症状が進行するといずれは自発呼吸も困難になり、人工呼吸器の装着を検討しなければならない。
苦しむようなことはしたくない!
ところが利用者さんはとても意思の強い方で、気管を切開してまでの人工呼吸器装着は絶対拒否。入院中に同室のALS患者さんが気管切開をして、とても苦しんでいたのを見ていたこともあり、「そんな苦しむようなことをしないで、死にたい」と言っていたのだ。
高齢の妻は人柄のよい女性だが、難病の夫を自宅で介護することに不安が強い。頼りになる長男は介護関係の仕事で多忙なため、なかなか実家へ顔を出せないでいる。