【精神】52歳の男性。会社員。9年前にアルコール依存症のために入院し、3か月のアルコール依存症リハビリテーションプログラムを受け退院した。退院後は自助グループに参加しながら順調に断酒を続けていたが、最近の半年間は参加していなかった。5日前から連続飲酒を始め、やめることができずに家族に付き添われて精神科病院を受診した。患者は、医師の説得に応じて2度目の入院をした。入院直後から粗大な全身の震え、不眠、多量発汗がみられた。眼振はなかった。前回の入院時には、入院3日に「壁中に虫が這いまわっている」と訴え落ち着かない状況があった。
今後の状態で最も予測されるのはどれか。
1.肝性昏睡
2.振戦せん妄
3.ウェルニッケ脳症
4.アルコール性認知(痴呆)症
―――以下解答―――
(解答)2
<解説>
1.(×)肝性脳症は、肝硬変の非代償期でアンモニアの代謝が肝臓でできなくなり、脳障害を起こした状態である。
2.(○)振戦せん妄とは、アルコールを長期に過剰に摂取した依存症患者が、断酒したときに出現するせん妄状態をいう。不安・興奮・錯乱などのほか、小動物の幻視、手指の振戦、頻脈、発汗などがみられる。
3.(×)ウェルニッケ脳症とは、重篤な脳障害のひとつである。
4.(×)アルコール性認知症とは、長期のアルコール摂取によって脳に器質的な病変を起こし、痴呆症状が出現するものをいう。