共働き世帯が当たり前の世の中になりました。共働き世帯の中でも「パワーカップル」と呼ばれる高収入世帯が最近話題です。 看護師もパワーカップルに該当する可能性がありますよ。
今回はパワーカップルについて、仕事と家庭を両立するポイントを解説するので参考にしてみてください。
パワーカップルとは?
パワーカップルとは「夫婦格差社会」という本に登場した言葉で、夫婦ともに高収入の世帯を指します。*1 著書内ではパワーカップルの年収などは明確に定義されていません。パワーカップルの定義は様々な説がありますが、「世帯年収1,000万円以上かつ夫婦の年収格差が小さい」がおおよその目安です。
総務省の公表によると、共働き世帯の平均世帯年収は729万円、世帯年収1,000万円以上の共働き世帯は16.7%だと明らかにされています。*2 夫婦共に年収500万円以上あれば世帯年収1,000万円を超えるので、まったく手が届かない数字ではないでしょう。 パート勤務では看護師でもパワーカップルの年収に届かないので常勤として働くことが必須条件です。福利厚生の整った規模の大きめの病院で経験年数を重ねたり、管理職になったりすればパワーカップルも夢ではありません。いかに共働きを無理なく持続し、年収を高めていくかがポイントと言えます。
パワーカップルは資産形成において圧倒的に有利!
パワーカップルは資産形成において圧倒的に有利であり、教育資金や老後資金といった、まとまったお金の準備がしやすいのが特徴です。パワーカップルには以下の3つの資産形成に有利な特徴があります。
①税金で有利になりやすい
日本の税制は「累進課税制度」であり、所得が高くなるほど税率も上がっていく仕組みです。 累進課税制度では夫婦のどちらかが大きくお金を稼ぐよりも、夫婦で分担してそれなりにお金を稼ぐ方が税金面で有利となります。同じ世帯年収であるなら、片働き夫婦よりもパワーカップルの方が低い税率で済みますので、その分資産形成に多くの資金を回せます。
②夫婦ともに厚生年金に加入している
常勤社員として働いている場合、夫婦ともに厚生年金がもらえます。 仮に国民年金のみの場合、夫婦合わせても年間約156万円しかもらえません。*3 将来もらえる年金が多いということは、その分資産形成において自由に使えるお金が増えます。子どもの教育資金や自己投資に多くのお金を回すことができれば、より豊かになれる可能性が高まるでしょう。
③収入のリスク分散ができている
夫婦ともにしっかりとお金を稼いでいると、どちらか一方が働けない状況になった時でも生活が破綻しにくいと言えます。 もし、夫婦どちらか一方の収入に頼って生活していた場合に、収入源が途絶えてしまうと資産を取り崩して生活していかなければなりません。万が一を想定して収入をリスク分散することは大切です。
パワーカップルの2つの落とし穴
パワーカップルであることは良いことばかりではありません。 パワーカップルがはまりがちなのは以下の2つの落とし穴です。
①とにかく忙しくて時間がない
夫婦ともに常勤として働き、それなりに収入があるとなると、仕事が忙しい可能性が高くなります。看護師であれば管理職やリーダークラスの働きが求められます。自分の仕事のみをするのではなく、部下や後輩の動きにまで気を配り部署全体のマネジメントが必要なのでと忙しくなりがちです。なかなか家庭に割く時間が取れず、家事や育児との両立がストレスに感じてしまうかもしれません。家事育児だけでなく、夫婦の会話の時間を作るための工夫も必要です。
②収入が増えた分、支出も同じように増えてしまう
実は夫婦の収入が増えると、支出全般も同じように増える傾向があります。*4 例えば食費を見てみると、支出における食費の割合を示す「エンゲル係数」は世帯年収500~550万円で25.6%なのに対し、世帯年収1,000~1,250万円では21.7%です。(エンゲル係数が低いほど、生きていくのに必要な食費以外の支出が多いことを示します)
看護師のパワーカップルが仕事と家庭を両立するポイント
とはいえ、先に触れたとおり、パワーカップルは夫婦ともに仕事に追われて時間がなくなりがちです。仕事と家庭を両立するには、合理的にお金を使うことも必要になってきます。
合理的なお金の使い方とは、手間を省くためにお金を使うということです。例えば、以下のような手段が考えられます。
看護師は心身ともにストレスフルでハードな職業ですよね。仕事でパフォーマンスを発揮するために必要な支出は経費と割り切ってしまうのをおすすめします。
家事代行サービスやベビーシッターに抵抗感がある方もいるかもしれませんが、専門職に依頼して手を借りることは医療と変わりません。先進国の所得の高い家庭では当たり前に見られる光景です。パワーカップルの豊富な資金力はQOLを高めるために活用しましょう。
また、夫婦の関係性をいかに対等に保つかも考えていかなければなりません。家事は女性がするものと思い込んでいる男性もまだまだ多いでしょう。特に看護師はついつい必要以上に身の回りの世話を焼いてしまいがちです。夫婦共働きである以上、仕事も家庭も対等な関係性を保ちましょう。合理的なお金の使い方で生み出した時間で夫婦の会話を定期的にするのがおすすめです。
看護師は長く働き続ければ高水準の収入をキープできる!
高齢化が進行する日本において、看護師の需要はますます高まっていきます。 働く場所も、病院にとどまらず地域や企業など、多様な働き方が選択できるようになるでしょう。 看護師の収入は景気の影響を受けにくいのが特徴で、長くしっかりと働き続けることで高収入をキープできます。 パワーカップルは、仕事の責任や忙しさがありますが合理的なお金や時間の使い方、夫婦の協力があれば豊かな生活が送れると思います。 仕事も家庭も充実したパワーカップルを目指してみませんか。
参考文献
*1 橘木 俊詔,迫田 さやか.夫婦格差社会 二極化する結婚のかたち.中央公論新書.2013年
*2 総務省統計局.”家計調査 2019年”(参照 2020-3-2)
*3日本年金機構.”老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・計算方法”(参照 2020-3-2)
*4 総務省統計局.”家計調査 2019年”(参照 2020-3-2)
この記事を書いたのは
看護師FP:しまづ 看護師として働く中で、お金の知識がないと時に自分や大切な家族の生活を脅かすことを実感し、ファイナンシャルプランナーの資格も取得。みなさんのお財布の健康を守るお手伝いをさせていただきます!
イラスト・まえかわしお