「親の介護の準備っていつから始めるものなのかな?」
「看護師だから親の介護を丸投げされそう…」
「お金や時間はどれくらいかかるのかな?」
そんな風に考えたこと、ありませんか? 実は、一般的に介護にかかる費用は平均500万円にもなります!
特に看護師の場合、親の介護が必要になったときに「“看護師だから”と丸投げ」されがちです。しかも、往々にして「急に始まりいつまで続くかわからない」かつ「金銭的負担が大きい」ので、何もない時から考え始めておきたいことです。
今回は、介護にかかる費用や期間、注意すべきポイントを解説していきます。
親の介護の費用は500万円かかる!!
介護に必要な費用の平均は、月7.8万円/初期費用69万円とされています。 また、介護が続く平均期間は4年7ヶ月(54.5ヶ月)というデータ*1も。
費用の総額を試算してみましょう。
驚くべきことに親の介護に必要な費用の総額は500万円近くになります!
もちろん、要介護者の状態や在宅か施設か、利用する介護サービス、介護期間などにより大きく数字は変動しますが、とはいえこの金額は、目安として覚えておくと良いと思います。
介護に必要な【お金・時間・エネルギー】はどうやって準備するの?
親の介護には多くのお金・時間・エネルギーが必要になります。 特にお金の準備は時間がかかりますので、親が元気な時から始めておきたいものです。 それぞれ準備方法をチェックしていきましょう!
お金
介護費用は要介護者である親の資産や年金を切り崩していくのが基本です。 それでも不足する分を親族で補っていくというスタンスを持ちましょう。 デリケートな問題ですが、話し合えなくなってからでは大変なので、介護費用についてどうするのか、今のうちにコミュニケーションを取って準備しておいた方が良いと思います。
ちなみに、要介護者である親の資産や年金を把握することで介護の予算がわかります。これは在宅か施設かを選択する際などに重要な判断材料となるので、できるだけ正確に把握しておくことが大切です。
時間
介護にかかる時間は、要介護度が上がるにつれて増えていきます。 特に在宅での介護をする場合、より多くの時間を介護に費やさなければならないかもしれません。 親の介護も大切ですが、あなた自身の生活が苦しくなってはいけません。利用できる在宅介護サービスを調べておく、職場にどのような介護休暇・介護休業があるかを確認しておくことが大切です。
エネルギー
時間と同様、必要なエネルギーも要介護度が上がるにつれて増えていきます。 大切なのは1人で抱え込まないことです。
特に看護師は親族から介護を丸投げされるケースが目立ちます。 仕事をしながら介護までがんばってしまうと、あなたまで倒れてしまいかねません。 介護は長期戦なので利用できる資源やサービスを最大限に活用しましょう。 負担を減らすことは手抜きではありません。 ケアマネージャーとも相談して無理なく介護を続けられる体制を整えましょう。
注意ポイント① 在宅か施設か
在宅と施設のどちらを利用するかで費用や負担が異なります。
在宅の場合、要介護者の住み慣れた自宅で生活を続けられるのが特徴です。 介護サービスの利用は要介護度に応じた支給限度額以内であれば1割の負担です。 支給限度額以内の利用にとどめておけば、毎月かかる費用の負担が施設に入所した場合に比べてグッと抑えることができます。 家のリフォームや介護用品の準備といった初期費用も、補助金が利用できるため負担が抑えられるでしょう。
その反面、要介護者を見守る家族の身体的・精神的な負担は避けられません。 特定の家族に介護の負担が集中すると共倒れになってしまいかねませんので注意が必要です。
施設の場合、介護の主体はプロである介護・医療スタッフになります。 家族の身体的・精神的負担を大幅に抑えることができます。しかし反面、施設利用の費用が必要となり、有料老人ホームであれば月15~30万円前後にもなります。また、要介護者が住み慣れた自宅を離れるストレスや施設での生活に馴染めずに退所する場合も少なくありません。
在宅と施設のどちらを利用するかは、費用や負担だけでなく要介護者や家族の価値観を含めて総合的に考えて判断しましょう。
また、介護期間が予想よりも長くなり、介護度が上がり負担も増加することがあります。 「最期まで在宅で介護をしたい!」という思いがあっても、実現できない場合もあるでしょう。 途中でプランの変更が必要となる場合もありますので、柔軟性を持って対応したいですね。
注意ポイント② 介護の負担は平等に分担する
いくら看護師と言っても、親の介護に必要なお金・時間・エネルギーを1人で抱え込むことはできません。 使える資源は最大限に利用し、親族で不満の無いように平等に介護は分担しましょう。
親族が介護未経験の人ばかりであれば、看護師のあなたが率先して役割分担をし、必要な介護を教えていくのがオススメです。 食事介助や入浴介助といった毎日やることは親族の誰もができる状態にしておくことが理想です。
介護の負担が特定の誰かに集中してしまうと親族間でのトラブルに発展してしまいます。 介護が原因でトラブルが発生して最も悲しむのは要介護者である親ですよね。 しっかり準備して親族で手を取り合って介護に臨みましょう。
参考文献
*1 平成30年度「生命保険に関する全国実態調査」(平成30年12日発行)(2020年2月6日閲覧)
この記事を書いたのは
看護師FP:しまづ 看護師として働く中で、お金の知識がないと時に自分や大切な家族の生活を脅かすことを実感し、ファイナンシャルプランナーの資格も取得。みなさんのお財布の健康を守るお手伝いをさせていただきます!
イラスト・まえかわしお